コールセンターの委託費用の相場は?料金体系や自社運営との違いを紹介

ECのミカタ編集部

コールセンターの外部委託(コールセンター代行)を検討するにあたり、「委託費用にはどのような料金体系があるのか」「外部委託と自社運営とでは費用にどの程度差があるのか」を知りたいと考えることもあるのではないだろうか。今回は、コールセンター代行に委託できる業務の内容や自社運営・外部委託それぞれの場合の費用など、委託費用の詳細について紹介する。費用の違いや注意すべきポイントをおさえ、導入の検討に役立ててほしい。

コールセンター代行とは

コールセンター代行とは、電話によって顧客とのやり取りを行うコールセンター業務を、外部の専門業者に委託すること。コールセンターには「自社運営」と「外部委託」の2つの運営方法があり、コールセンター代行は後者にあたる。

コールセンターを外部委託するメリットは、「さまざまなコストを削減できる」「コア業務に注力できる」「質の高い電話対応を顧客に提供できる」などがある。特に以下の悩みをもっている場合などは有効だ。

●問い合わせ対応でコア業務に集中できない
●コールセンターを設置するスペースがない
●人員不足で顧客対応に時間がかかっている
●コールセンターやカスタマーサポートの経験・ノウハウが少ない
●新規開拓のための施策を行いたい
●低コストでコールセンターを運用したい
●質の高いカスタマーサポートを行いたい

委託できる業務内容

コールセンターの業務は、大きく「インバウンド業務」と「アウトバウンド業務」に分けられる。それぞれの業務の具体的な内容を見ていこう。

インバウンド業務

インバウンド業務とは、顧客からの電話を受けて対応する業務全般のこと。具体的な内容は以下の通りだ。

●商品に関する問い合わせへの回答
●商品受注
●予約対応
●キャンペーンやトライアルの受付
●テクニカルサポート
●クレーム対応
●緊急窓口業務

インバウンド業務には、商品の受注や予約対応から、商品の使い方やサービスの仕組みなどをわかりやすく説明するといったカスタマーサポートまで、幅広い業務がある。委託する業務によって、人員体制や費用が変動する。

アウトバウンド業務

アウトバウンド業務は、コールセンターから顧客に電話をかける業務全般を指す。具体的な内容は以下の通り。

●新規顧客の開拓
●市場調査(満足度調査、アンケート調査)
●イベント告知
●既存顧客へのフォロー

アウトバウンド業務は新規顧客の拡大や既存顧客の継続などを目的とした電話を行うことから、「テレアポ」「テレマーケティング」とも呼ばれる。

その他の業務

コールセンター代行で委託できる業務の範囲はさまざまで、サービス会社によっては次のようなプランを提供しているところもある。

●電話以外にメールやチャットにも対応しているプラン
●特定の業界・ジャンルに特化したプラン
●注文の受付や発送までを行うフルフィルメントプラン
●ユーザー目線で品質チェックを行う覆面調査プラン

コールセンターに関わる費用

コールセンターに関わる費用は、「自社運営の場合」と「外部委託の場合」で大きく異なる。ここでは、それぞれの場合に発生する主な費用と相場を紹介する。

自社運営の場合

コールセンターを自社で運営する場合に必要となる費用は以下の通りだ。

このほか、会社の状況によっては、初期費用の中に電話対応への環境の整備として、防音・遮音対策の工事料金が必要になる場合もある。

なお、システム導入費用は、コールセンターの規模や導入するシステムの内容によって大きく異なるのが特徴だ。最低限の設備に留めるような小規模のコールセンターであれば、数十万に抑えられる可能性がある。一方で、十分な設備を整えた大規模なコールセンターを検討する場合は、導入時にシステム費だけで200万から300万の大幅なコストが発生するケースも考えられる。

代行業者に外注した場合の費用内訳

コールセンターを外部に委託する場合の費用は、一般的に「初期費用」と「月額基本料」で構成される。「月額基本料」は代行会社が設定している料金体系によって異なり、それぞれの費用相場は次の通りだ。

外部委託の場合

コールセンターを外部に委託する場合の費用は、「初期費用」と「月額基本料」で構成される。「月額基本料」は代行会社が設定している料金体系によって異なり、それぞれの費用相場は次の通りだ。

コールセンター委託費用の仕組み

コールセンター業務を外部に委託すると、自社運営の場合に必要となる設備費や光熱費、システム費用や人件費を「委託料・代行料」として集約することが可能になる。そこで大きなメリットとなるのが、コールセンターの運用に関わる費用を「固定費」ではなく「変動費」とし、コストを削減できることだ。

コールセンターはインターネットに慣れていない人の注文手段としてだけでなく、商品や発送・決済についての細かな問い合わせや要望に応じられるため、顧客サービスの向上や販売機会の獲得手段としても有効だ。一方で、自社の取扱商品やサービスによっては、繫閑差によって人員の調整が難しくなったり、余分なコストが発生したりすることもあるだろう。

コールセンター代行には、自社の経営状況やニーズに応じた料金プランを選択し、変動費によってコストを抑えることで、低コストでコールセンターを維持できるという利点がある。

コールセンターを委託する場合、費用で気をつけたいポイント

次に、コールセンターを委託する際に気を付けたい、費用のポイントを紹介する。

コールオーバー料金に注意する

コールオーバー料金とは、「月額固定型」の料金プランにおける課金システムのこと。設定したコール件数を超えると、超過料金がかかる仕組みだ。1コールあたりのコールオーバー料金の相場は、100〜250円。

コールオーバーの件数が多い場合やコールオーバー単価が高い場合は、最終的に支払う費用が予算を大幅に上回る可能性もある。委託する代行会社の料金プランの詳細をきちんと確認し、中長期的なコストも把握することが重要だ。

業務内容によって料金が異なる

委託する業務内容によって、料金が異なることにも注意が必要だ。コールセンター業務の内容は顧客からの電話に対応するインバウンド業務が大半だが、顧客へのアプローチを行うアウトバウンド業務も委託する場合の費用は、インバウンド業務に比べ高く設定されていることが多い。

また、どのような業務を委託するかは、「人員体制」や「対応時間」にも影響する。幅広い業務を委託するのであれば当然複数人を配置する必要があり、「専任」か「兼任」かによっても料金は異なる。「平日のオンタイムのみの対応」と「365日24時間対応」とでも費用総額は大きく変動するため、コールセンター代行の導入を検討する際には、自社の予算や費用対効果を比較したうえで選択するようにしよう。

コールセンターを委託する際の選び方

最後に、コールセンター代行会社を選ぶ際のポイントを紹介する。

費用面

ここまで紹介したように、コールセンター代行業者の料金体系は業者によってさまざまだ。また、業務内容や対応時間など、委託範囲によっても費用は大きく異なる。どの業者が適しているかは委託者が求めるものや規模感によって変わるため、まずは自社が抱える課題を洗い出し、複数社の見積もりをとってみるとよいだろう。

セキュリティ面

コールセンターの委託において、個人情報や機密情報の漏えいは企業全体に影響を及ぼすため、セキュリティ対策に関する情報を事前に確認することが重要だ。プライバシーマークの取得や、情報の管理をどのように行っているのか詳しく確認しよう。また、「セキュリティ意識を高める教育をおこなっている」など、オペレーター育成に関する情報の有無もチェックしておこう。

サービス内容

代行業者に外注した場合、提供する業務内容が自社の求めているニーズと合致しているかの確認も不可欠だ。ニーズにあわない代行業者を選んだ場合、「オペレーターが質問に答えてくれなかった」など、顧客満足度の低下を招きかねない。委託業者によって得意分野や特徴が異なるため、導入事例などもチェックしながら、自社に適した会社を見極めていこう。

オペレーターのクオリティ

顧客対応を実際に行うオペレーターのクオリティは、顧客満足度に直結するため大切なポイントだ。オペレーターの経験値や実績の確認を怠らないようにしよう。委託会社によっては、実際のコールセンターサービスの受電内容を聞かせてくれるケースもある。さまざまな方法で対応の品質を確認し、納得のいくサービスを見つけよう。

VoCの共有

顧客からコールセンターに寄せられる内容を自社のビジネスに反映していくためには、代行会社の「VoC」の共有についての確認も大切だ。VoCとは、問い合わせやクレームといった顧客からの生の声のことで、企業にとってサービス改善を図る重要なヒントとなる。

月間におけるVoCの収集・分析、電話内容の「見える化」などさまざまな形で、情報共有を行う体制が取られているかを確認しよう。

利用するサービス内容に応じたシステム共有

ECサイトのコールセンター業務においては、受注や注文処理も行われるケースが一般的だ。そのため、自社で扱う受注処理システムの連携は可能なのか、選定時に確認しておくと、いざ委託業務を拡大したい場合にもスムーズに対応できる。

委託業者の中には、コールセンターのみならず、戦略立案や運営代行、広告運用など総合的にサポートするサービスを提供するケースもある。コールセンター以外にも課題を抱えている場合には、これらサービスの利用も検討してみてはいかがだろうか。

多言語サポートの対応

自社の商品やサービスを海外向けに展開している場合、日本語以外での顧客対応が必要となる。現在越境ECに取り組んでいる、または取り組む予定がある場合には必ず事前に多言語でのサポート対応があるかを確認しておこう。

コールセンター委託費用に関するFAQ

コールセンターを外部に委託するメリットは?

コールセンターを外部に委託する主なメリットは、コスト削減、専門的なサービス、柔軟な対応、集中的なリソース管理だ。とくに、内部でコールセンターを運営するのは非常にコストがかかるが、外部に委託することで固定費を変動費に変えられるため、うまくコストをおさえられる。また、外部の代行会社であれば、基本的に、顧客サービスのプロが対応してくれるので、ノウハウや経験をもっている点も魅力のひとつである。

委託するコールセンターの品質面が不安

コールセンターの品質を担保するには、事前に品質の基準とKPI(Key Performance Indicators)の設定をし、委託先の業者と擦り合わせを実施することをおすすめする。また、品質基準やKPIの設定をもとに、定期的にレポートを受け取るべきである。契約後にも定期的に顧客満足度を調査したり、不定期でコール監査を実施したりすることも品質保持のうえで効果的だろう。

まとめ

コールセンターの委託費用は、「月額固定型」と「従量課金型」のどちらの料金体系を選択するか、「人員体制」「対応時間」「業務内容」などによって異なる。コールオーバーの料金や業務の専門性などによっても変動するため、導入を検討する際は料金プランの詳細や中長期的なランニングコスト、費用対効果を確認したうえで、複数社を比較するとよいだろう。

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