OMOとは? O2O、オムニチャネルとの違いや成功事例を解説
コロナの影響により、ネットショッピングが当たり前の時代になり、ネットショッピングの利用者は増加傾向が続いています。洋服や電子機器のみならず、日用品や食材など、ネットショッピングでの購買対象商品は今も広がり続けています。
また、近年のスマートフォン機能やアプリケーションの発達により、ネットショッピングにおける購買体験の価値観は多種多様になってきています。顧客の購買体験を向上させるマーケティング手法が今回紹介するOMO(オーエムオー)です。
今回の記事では、顧客の利便性に優れているOMOとは一体何なのか、また、OMOを活用し購買体験を成功に導くためにはどのようなことを考慮しなければならないのか、導入事例を元に詳しく解説していきます。
OMOとは?
OMO(オーエムオー)とは一体何なのでしょうか?OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの境目を作らずに2つを融合させた顧客の購買体験を実現する、販売マーケティング方法のことを指します。
OMOの代表事例として顔認証だけで決済が完了する無人スーパーや、アプリで食事を注文して30分以内に届くデリバリーフードなどがあげられます。オンライン=スマートフォンアプリ、オフライン=実店舗の両方を活用したマーケティングスキームと捉えてください。
具体的な事例は「OMOで成功した例4選」に載せているため、ここでは概念を抑えて、具体例は後半で紹介します。
OMOの特徴として、主軸は顧客の利便性にあり、OMOを実施することは、つまり企業が顧客に対して、より良い顧客体験を追求することにあります。
例えば、顧客が実店舗でメガネを購入した際に、顧客の視力やメガネのサイズなどの情報をオンライン上で顧客のアカウントに記録し、次回以降の買い物で、実店舗、ECサイト双方で、顧客に最適な商品が購入できるようにする取り組みもOMOにあたります。
OMOは、QRコードでの決済が普及している海外諸国では事例が多数存在していますが、DXの普及が遅れている日本での事例が現在多くはありません。
しかし、近年QRコード決済の急速発達や、コロナ禍におけるオンラインサービス需要の急上昇により国内でも徐々に取り組む企業が増えはじめています。
あくまでもOMOは顧客体験を主軸に置いています。
今まではどのような商品を購入するかという「モノ消費」が主流でしたが、商品そのものに加え、どこで、どのような状況で、どのような方法で購入するかといった「コト消費」が主流になり、購買の体験も消費の価値とみなされる現代にあったマーケティング手法といえます。
OMOと比較されるO2O、オムニチャネルとの違い
OMOについて検索するとO2O、オムニチャネルというワードが出てきます。
OMOとは何が違うのでしょうか?
O2Oとは
O2O(Online to Offline)とは、メディア、SNS、ホームページなどのオンライン上で情報発信を行い、オフラインの実店舗への来店を誘導するインターネットを利用したマーケティング方法です。オンラインからオフラインへの誘導としての意味だけでなく、実店舗からオンラインへ誘導することもO2Oに含まれます。
例えば、割引クーポンの発行、位置情報サービスなどで消費者を実店舗へ誘導です。
ECの例だと、オンラインショップで閲覧していた商品を実店舗で購入してもらえるように実店舗で利用できるクーポンの発行などがあります。
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、実店舗やホームページ、口コミサイト、雑誌やカタログ、などのあらゆる販売・流通チャネルを統合し、企業と顧客の接点を様々な場所で持つマーケティング方法です。企業は、多様な購買チャネルを持つことで、商品を購入してもらえる機会を増加させることができます。
顧客は購入するチャネルを意識することなく、買いたいと思ったタイミングで商品を購入することができます。例えば、実店舗で自分の欲しかったサイズがなかった場合に、取り寄せしたり、ECで購入できたりと、顧客の導線に合わせた販売があります。
OMOとの1番の違いは、主軸です。
OMOの主軸は顧客にあるのに対して、O2Oとオムニチャネルの主軸は企業にあります。
OMOを運用するメリット・デメリット
OMOを導入することは、企業にとっての具体的なメリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
メリット
真の需要の発見
顧客がどのようなワードを検索してサイトにきたのか、商品を購入する決め手となったものは何か、どの決済方法を利用しているか、どれぐらいの頻度で同じ商品を購入しているかなどの商品取引における全ての導線をデータ化することができます。データ化した情報を元に、顧客が何を求めているのか「真の需要」を発見することができます。顧客が企業に対して何を求めているのかを追求するのがOMOです。
また、顧客データをを元に客に寄り添ったサービスを提供し、ECサイトをグレードアップさせることで、顧客満足度を向上させるだけでなく、その後顧客がまた購入するという好循環を生むことができます。
新規顧客獲得
OMOでは実店舗の購買体験と同等もしくはそれ以上の価値をオンライン上で提供することで、オンライン上で簡単に決済を完結させることができるので、利便性を求める新規顧客を獲得することが期待できます。
例えば、頻繁に購入しない商品であっても以前に購入した商品データや決済データを元に、商品をすぐに購入することが可能です。
OMOでは、顧客が求める条件に沿った商品情報の比較表を表示させることで、効率よく顧客に商品情報を提示することができます。情報を記録することもできるので、顧客が商品を購入しやすいサイクルを作り出します。利便性を求める顧客に対し、スマートに商品を購入できるサイクルを提示することで、新規顧客の獲得に繋がります。
デメリット
オンラインに対する抵抗がある顧客が存在する
日本は海外諸国と比較して、オンライン店舗よりも実店舗の数が多いのが現状です。また、近年急速にオンライン決済サービスが普及しましたが、対応しきれていない店舗もあります。世代問わず、商品取引の全てをオンラインで完結させることに抵抗があるユーザーはOMOの戦略を適用させることが難しいでしょう。
OMOで重要な、「より良い顧客体験」を創造できるか否かが、オンラインに対する抵抗を払拭する鍵となります。
キャッシュレス決済の普及率が低い
⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会が2021年に発表した「キャッシュレス・ロードマップ2021」によると、日本のキャッシュレス決済使用状況は年間支払い金額のうち24.2%でした。キャッシュレス決済状況1位は、94.7%で韓国でした。日本では、生活の中の出費のうちだいたい4回に1回の割合でキャッシュレス決済が利用されているということがわかります。
急速に発展した決済方法についていけない顧客も大勢いるので、まだまだキャッシュレス決済が普及したとは言い難い状況です。キャッシュレス決済、つまりオンライン上での決済を前提にOMOの取り組みが組まれるため、韓国のように90%以上普及するようになるまでは、利用者は限定的で、確実にOMOマーケティングを成功させることができるのかは不確かだと言えるでしょう。
OMO上でマーケティングを成功させるには?
では実際にOMOを取り入れマーケティングを成功させるために、企業が抑えるべきポイントはどのようなものがあげられるでしょうか?
顧客目線で考える
OMOで大切なことは顧客体験を提供することです。オンライン・オフラインを区別して考えるのはあくまでも企業であり、ユーザーではありません。オンライン・オフラインの区別なく、どのような顧客体験がユーザーを満足させることに繋がるのかを常に考えて、運営する必要があります。顧客体験を提供することで、顧客は何度も自社の商品やサービスを購入しやすくなります。
最新の体験を提供する
OMOはデータを分析して、顧客へサービスを還元することができます。既出の顧客体験を分析し、その上で新たに追加できるものはないかと、追求する必要があります。
顧客がOMOに求めるものは、既出のサービスを超越した新しいサービスの提供です。自社が提供するものだけでなく、業界全体の顧客体験を把握し、自社の顧客体験をよりオリジナリティがあるものにしていきましょう。また、既存サービスの延長線上で何が不足しているのかを把握し、それを補うことができるような戦略を立てましょう。
OMOで成功した事例4選
OMOを取り入れた日本の成功事例と、海外諸国の成功事例をご紹介します。
日本「Zoff」
世界規模で販売を行っているメガネ専門店の「Zoff」。オンラインストアのIDとコミュニケーションツール「LINE」を連携させることで顧客のレンズの度数・種類や保証書などを「LINE」上で一括管理できるサービスを提供しています。
顧客は購入するたびにレンズに関する情報を再入力する必要がなく、また実店舗で商品を購入する際にも、フレームを選ぶだけで商品を購入することができます。一見、メガネの購入は時間がかかる面倒なものに見えがちですが、そのような手間を省いた顧客体験を「Zoff」は提供しています。
アメリカ「Walmart」
アメリカ全土で展開されている、大手スーパーマーケット「Walmart(ウォルマート)」は、大手ECサービスAmazonに対抗するために、OMO施策の予算を多く見積もっていました。
その成果の1つが、顧客がWebサイトで購入した商品を店舗で受け取る巨大な保管機械、「ピックアップタワー」です。ネット注文時に発行されたバーコードを「ピックアップタワー」のパネルに読み込ませると、5 〜10秒で商品を受け取ることができます。
中国「平安保険(PING AN)
OMO浸透率世界No. 1の中国国内で、最も大きな保険グループの1つである平安銀行は、専用アプリを活用したOMOによってマーケティングを成功させました。平安保険は、信頼できる地域の医療機関を探すことができる「グッドドクター」アプリを提供しています。
医師にチャットで質問をしたり、医療機関の予約などができるサービスです。このアプリの特徴は平安の顧客でなくても利用できることです。病気やけがの治療ですぐに医者の診察が必要なユーザーのニーズに大きく応えることができました。平安保険は、医療と市民を繋げる大きな役割を果たしました。
中国:Luckin Coffee
創業から約1年で、中国全土に2000店舗を展開したコーヒーチェーン「Luckin Coffee」が提供するサービスです。コーヒー文化がまだ浸透しきっていない中国では、コーヒーは比較的高級なものとして扱われます。Luckin Coffeeでは、専用のアプリを使って事前注文をすることができます。並ばず、会計はアプリで決済するので支払の手間もなくお店に行くだけですぐに商品を受け取れます。並ぶことが苦手な方にも人気の商品で、中国でのOMO成功例の1例です。
まとめ
今回は顧客と運営が、より便利に取引を行うことができるOMOについて解説しました。OMOを導入するにあたって、自社の現状のサービスを見直す必要があります。自社のサービスをしっかりと見直せば、今後、OMOを導入するビジョンが浮かび上がってくると思います最新マーケティングのOMOを活用し、EC運営に新たな風を吹かせましょう。