高島屋とトランスコスモスの合併会社発足 新たなプラットフォームハブの構築を目指す
「クールジャパン」をワールドワイドに展開 海外でも人気な日本製品を市場成長の促進剤に
株式会社高島屋(以下「高島屋」)は、昨今急速なEC市場成長が話題にあがるアジア諸国連合(ASEAN)地域への進出に向け、国内システム開発会社大手のトランスコスモス株式会社(以下「トランスコスモス」)と組み、日本の良質な商品を海外に向け提案、供給する卸・小売販売事業を目的とした合併会社をシンガポールに設立することを、両社合同で発表した。
設立目標は2015年春、資本金等は今後詰めていくが、高島屋が株式の過半を取得する方針だ。企業向けの卸し業を通じて日本製品を広く海外に展開する、企業間のBtoBに特化したプラットフォームの立ち上げを基本軸とするも、個人向けにも業務を拡大していく予定である。
高島屋は既存の取引先など含め幅広く商品を調達する「仕入れ」を担当し、トランスコスモスはタイやシンガポールなどで提携しているEC事業者などに商品を供給する「卸し」を担当する。主な取り扱い商材は、食料品や衣料品などを想定している。
新興国の経済発展により、消費市場の拡大と同時に、ハイクオリティな日本のコンテンツを求めるニーズが高まっている。その半面、輸入手続きや言語の問題など様々な障壁により積極的な参入にいたらない場合が多く、海外からのニーズがあるにも関わらず多くの魅力的な商品が国内に留まっている状況が続いている。
今回の高島屋とトランスコスモスの合併会社設立で、従来なかった新しい効率的な仕組みを構築し、日本の質の高い商品を海外市場に流出するとともに海外販売網を開拓する事業展開を推進していくというのが両社の意向だ。
続く国内企業の海外進出
また、住友商事も先日、マレーシアで日用品のネット販売を本格的に開始した。子会社の「爽快ドラッグ」が日本国内で展開している日用品ECサイトをモデルにし、マレーシア全域に向けて日用品の販売を展開する見通しだ。
アジア諸国で高まる消費市場拡大の流れにのり、様々な国内企業が海外進出を果たしている。とはいえ、日本国内で激安商品を販売しているわけではない高島屋などが、日本よりも物価の安い国へ進出する裏にはどのような戦略が込められているか気になるところだ。国内製品のクオリティは保ったまま流通経費をプラスしてでも進出を目指す背景には、それだけ広大なニーズが存在していることへの証明にもつながるだろう。
今後、進出する諸外国企業の市場テコ入れにより、アジアのEC市場がどのような進化を遂げていくのかとても興味深い。