パーソナルデータ活用サービスの利用意向は約3割、サービス選択の条件は「安全管理措置の確保」がトップに

ECのミカタ編集部

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「パーソナルデータの活用に関する一般消費者の意識調査」を実施。その結果を公表した。

パーソナルデータ活用サービスの利用意向は約3割

パーソナルデータ活用サービスの利用意向は約3割

パーソナルデータを活用したさまざまなサービスの利用経験・今後の利用意向について尋ねたところ、利用経験のある人は10.6%となった(「利用したことはあるが、今後は利用したいとは思わない」「利用したことはあり、今後も利用したいと思う」の合計)。そのうち、「利用したことはあり、今後も利用したいと思う」は8.0%であった。

一方、「利用したことはないが、今後利用したいと思う」「利用したことはあり、今後も利用したいと思う」を合計した今後の利用意向は31.1%となった。今後のパーソナルデータ活用サービスの普及に向けては、利用経験はないが、今後の利用意向はある23.1%に対するアプローチが鍵になると考えられる。

サービス選択の条件は「安全管理措置の確保」がトップ

サービス選択の条件は「安全管理措置の確保」がトップ

次にパーソナルデータを活用したサービスを選択する条件(競合優位性)を尋ねたところ、「安全管理措置の確保(22.1%)」がトップであった。

このことから、サービス提供の際には、データ漏えいなどの防止策や、問題が発生した際の対応策や責任を明確にするなど、利用者が安心感を得られる措置を講じることが利用促進のポイントになると思われる。

「安心して利用できる運営業態」の上位は金融・インフラ

「安心して利用できる運営業態」の上位は金融・インフラ

さらに「安心して利用できるパーソナルデータ活用サービスの運営業態」について聞いた結果、最も信頼度が高いサービスの運営業態として「銀行(23.2%)」「クレジットカード会社(18.4%)」といった金融機関がトップであった。次いで、「電気・ガス・水道業(17.2%)」「郵便(13.0%)」などのインフラ企業が上位に挙がっている。

最も回答の割合が多かったのは、銀行は、消費者の預金を取り扱うことによる既存の信頼性が、データの取扱いに対する信頼につながっていると考えられる。

金融資産情報や位置情報は「どのような条件でも提供したくない」が6割超

金融資産情報や位置情報は「どのような条件でも提供したくない」が6割超

「パーソナルデータの提供の対価として求める金銭的条件」について尋ねたところ、「どのような条件であっても企業に提供したくない」と回答したパーソナルデータについて、「株式や債券、口座残高等の金融資産情報(ストック)」は63.5%、「位置情報」は62.6%、「年収、借入等のその他の金融情報(フロー面)」は62.5%、「Webアクセス履歴」は61.5%と、60%以上の回答が集まった。

一方で、「予防接種情報(新型コロナウイルスワクチン等)」「趣味・嗜好」「電力、ガス、水道の使用量」「身長、体重、歩数等」については、「どのような条件であっても企業に提供したくない」との回答は50%未満にとどまり、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いとの回答が多かった。

公共的な利用目的であればパーソナルデータを提供してもよいと考える人が増加

公共的な利用目的であればパーソナルデータを提供してもよいと考える人が増加

続いて、「パーソナルデータ提供の抵抗感がない利用目的」について聞いた結果、「どのような利用目的であっても提供したくない」の回答は37.6%にとどまり、「健康・医療・福祉(42.7%)」「防災等の災害・安全対策(36.0%)」「公的サービス改善(27.3%)」「安全保障(23.2%)」といった公共的な利用目的であれば提供してもよいとの回答が多かった。

パーソナルデータ活用サービスを提供する民間企業においては、自社の事業領域を活かしつつも、公共的な要素をサービスに組み込むことが、利用者獲得の鍵となる可能性がある。

「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」へのニーズがトップで5割弱

 「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」へのニーズがトップで5割弱

さらに、「パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズ」を尋ねたところ、「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」が最も利用ニーズが高く、肯定的な回答(「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の合計)は47.3%にのぼった。次いで、「医療機関間等での検査結果データ共有サービス(46.1%)」が上位に挙がっている。

本調査結果から、一般消費者におけるパーソナルデータ活用サービスの利用経験や認知はまだ低いことが明らかになった。また、サービスの選択の際は、データの安全な管理やサービス運営者の信頼性を重視する層が多いことから、パーソナルデータ活用サービスの普及においては、こうした消費者の意向やニーズを踏まえて検討していく必要があるだろう。

ECのミカタ通信22号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事