銀行振込を午後4時まで延長 15年度中にも、通販需要などに対応

営業時間延長で、利用者の送金は便利に

全国銀行協会(全銀協)が、銀行や信用金庫などで当日中に送金ができる時間帯を広げる方針を固めたことが10日、分かった。
振り込みができる時間を平日の午後4時まで1時間延長するか、段階的に24時間化を目指すか検討を続け、12月をめどに結論を出す。早ければ2015年度中にも開始する、という。今のところ、1時間延ばして4時までとする案が有力だ。

多くの銀行では、営業時間は平日午後3時までとなっている。3時を過ぎればシャッターが降りて、窓口は利用できない。まだ中で客が待っていても、まずは新しいお客さんが入ってこられないようにし、すでに中にいた客はシャッター横の通用口か非常口から退出することになる。
キャッシュディスペンサーは利用可能だが、振込については「翌日扱い」となる。何事につけスピード化が進んでいる現代社会では、「もう少し取扱時間が長ければいいのに」と感じている人は多いだろう。

背景には、インターネットの通信販売などで即時決済の需要の高まりがある。「早く商品を送ってほしいので、今日付けで振込みたい」とか、「明日が引き落としなので、今日のうちに口座に入金しておきたい」というようなとき、3時というのはビミョーな時間帯だ。用を済ませて銀行に向かっても、間に合わないことがしばしばある。
しかし、4時まで延長されれば、かなり解消できるだろう。もちろん「夕方6時まで」「夜9時まで」という要望はあるとしても。

■営業時間延長で、商取引に影響も

銀行が3時に閉まるのは、銀行法の施行規則で「銀行の営業時間は、午前九時から午後三時までとする」としているのが、根拠となっている。閉店後、銀行員は店内でその日あったお金の出入りを確認したり、融資に関する書類を作成したり、さまざまな作業をしている。

銀行業務の終了時間は、建前としては5時である。そして、5時に業務を終了しようと思えば、逆算して3時に閉める必要があるようだ。それでも、実際には残業して、7時〜8時くらいに退出するケースが多い。
ちなみに銀行振込でもキャッシュディペンサーではなく、窓口を利用すると、「当日扱い」は2時までである。これは人の手で処理する分、時間がかかるからである。
営業時間が延長されると、退出時間も遅くなるだろう。実際、最近は5時あるいは7時まで窓口が開いている銀行もあるが、当然、職員の退社時間は遅くなっている。
また、システムを変更する場合には多額の費用が必要で、規模の小さな金融機関には経営の重荷となる怖れもある。

そう考えると、銀行としてはこの件は慎重に検討したいところだろうが、世の中の流れには逆らえなくなっているのだろう。

なお、営業時間が延長になれば、手形や小切手などの商取引慣行にも影響しそうだ。企業の経営者には、そういうことが気になるかもしれない。