【フューチャーショップ】2021年10月〜12月の流通額は昨対比112%の503億円 同期のECを取り巻く環境も分析
株式会社フューチャーショップ(本社:大阪市北区、代表取締役:星野 裕子、以下フューチャーショップ)は、同社が運営するSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズの2022年10月〜12月の流通額は503億円(昨対比111.68%)であったことを公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
継続利用店舗の上位5業種
1年以上継続利用した(契約日が2020年10月1日より前)店舗に限定して流通額を調査し、上位5業種の昨対比をまとめたのが表1だ。
今回の調査では「旅行用品・旅行予約」が前年同期間比300%越えと、大きな伸びが見られた。前回の調査と同じく好調だったのは「楽器・音楽機材」「ダイエット・健康」、クリスマスなど年末のイベントで購入機会が増える「ゲーム・おもちゃ・ホビー」もECでの購入が定着したのか好調だった。「本・CD・DVD」もいわゆる「推し消費」が発生した影響で好調だった。
一方、外出増加の影響を受け実店舗での購入に流れたのか、昨年同期間より流通額が縮小を見せた商材もあった。
・装飾品など、高価格帯の商材
・飲食店の営業再開の影響か、洋酒(一方、日本酒や焼酎などは堅調に増加)[4]
・車やバイク用品など、移動手段に関わる商材
・贈り物など
利用状況調査
下記の4項目について、期間中の生活者のEC利用状況を調査した。調査対象は、2020年・2021年10月〜12月、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出している。なお、前回までのプレスリリースで調査した店舗さまとは異なる店舗構成とのことだ。
1.注文件数の変化
2.購入単価の変化
3.新規顧客利用状況
4.決済手段の変化
◆注文件数の変化
PCのみでの販売店舗が母集団にあったため、499店舗を対象に調査している。対象店舗の注文件数は表2の結果のとおり、すべてのデバイスにおいて増加した。2021年10月〜12月期では、デバイス全体の注文件数は昨対比123.42%だった。
◆購入単価の変化
変わらず両デバイスとも向上、また継続してPCは2割ほど購入単価が高い結果だった。ECでの購入単価は昨年同月と比べ向上しており、この結果は2020年10月〜12月期の調査から継続している。
◆新規顧客利用状況
表4が対象店舗の新規会員増加率平均だ。会員機能を利用していた496店舗が調査対象となっている。期間中の平均は130.07%という結果だった。年末に近づくにつれ、EC新規利用は微減する結果が出た。
実店舗利用機会増加による影響が考えられるか、20年同時期の同調査や状況を振り返ってみると、調査対象店舗は異なるものの、下記2点の特長が見られた。
・20年も年末に近づくにつれ新規顧客利用増加率が微減。
・20年同期間の鉄道営業収入や百貨店売上高は昨対割れ。
これらから、20年は21年とは違い外出機会は復活せず、ECから実店舗に購入機会が流れたわけではないものの、21年と同じく年末に近づくにつれEC新規利用は微減していたと推測している。
以上から、21年の新規利用増加率の微減は外出増加にともなう実店舗利用機会増が影響した結果ではなく、年末商戦には以前利用したことのあるECサイトをリピート利用することが多い、などの新規EC利用の時期的な変動から出た結果と推測している。
決済手段の変化
グラフ1
グラフ2
利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済(Amazon Pay、楽天ペイ(オンライン決済)、Apple Pay、PayPay、d払いなどのキャリア決済)」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1とした結果がグラフ1だ。「現金・その他」から「ID・QR決済」利用にシフトしている結果だった。
また、決済方法を3カテゴリーすべて提供している店舗に限定(n=354)して調査した結果がグラフ2だ。グラフ1と同じく、「現金・その他」から「ID・QR決済」利用にシフトしており、「ID・QR決済」の利便性や各自展開しているキャンペーンやプロモーションをうまく活用し、ECでのお買い物を楽しむ生活者が増加していると推測している。
最後に、決済方法を3カテゴリーすべて提供している店舗に限定した各決済手段の成長率についてだ。緊急事態宣言解除後、決済手段別では「現金・その他」利用は昨対割れという結果となった。仮説として、「現金・その他」利用層が実店舗での購入に流れているのかもしれないと分析している。
2021年10月〜12月のECを取り巻く環境
緊急事態宣言解除後、外出機会が増加した背景を受けてか、「旅行用品・旅行予約」などの商材が好調だった。その一方、実物を見て購入したい意向が強い商材など、EC以外での購入が復活したと予想される商材については流通額の縮小が見られた。
EC利用は昨対比111.68%と増加。百貨店の売上高プラス転換や、外出機会の増加を受けEC利用には向かい風と推測されたが、継続的にEC利用が拡大。決済利用状況は「現金・その他」から「ID・QR決済」利用にシフトした。
2021年10月1日に緊急事態宣言が解除。その影響で外出機会増加や実店舗での買い物増加が見られた。一方でネットショッピング支出額は増加するなど、実店舗での消費が増え、EC利用が減った、というわけではなさそうだ。
(1)鉄道営業収入が回復、飲食店の営業時間延長 → 外出機会が増加。EC利用機会・時間が減少したと推測。
JRの鉄道営業収入は、年末にかけて増加傾向。中でも、旅行が増加したのか中長距離が特に増加している。また、酒類を提供する飲食店も10月下旬から営業時間の延長開始。そのため、11月からコミュニケーションの場が広がり、インターネットやECの利用頻度・時間は減少したと推測している。
(2)全国百貨店売上高は数ヶ月ぶりに昨対比プラス転換。
21年10月の全国百貨店売上高概況は3ヶ月ぶりに昨対比プラスに転換し、11月も継続してプラス。11月は入店客数も4ヶ月ぶりのプラスになるなど、実店舗でのお買い物が増加している。
(3)ネットショッピング支出額は増加。
総務省統計局が2人以上の世帯対象に行った調査では、21年11月のネットショッピング支出額は昨年同月比14.5%増の21,858円、利用世帯の割合は同2.6ポイント上昇の54.4%。21年10月も昨年同月比を超える結果となり、ECを利用する金額は年々増加している状況だ。
また、項目別で見ると21年11月は「食料」や「旅行関係費」「衣類・履物」や「チケット」の順で対前年で増加したことから、今までの巣ごもり時期と異なる商材の購入が増加したと推測している。