電通系4社が2021年の国内ネット広告媒体費分析レポートを公表

ECのミカタ編集部

国内電通グループのデジタル広告領域をけん引する4社(CCI/D2C/電通/電通デジタル)は、電通が2022年2月に発表した「2021年 日本の広告費」の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、さらに2022年の予測を加えた「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

▶調査主体:株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)/株式会社D2C/株式会社電通/株式会社電通デジタル

▶調査時期:2021年12月~2022年2月

▶調査方法:以下の調査に基づき、推定作業を実施

① インターネット広告媒体社等を対象としたアンケート調査(web調査)  「2021年(令和3年)日本の広告費 インターネット広告媒体売上 についてのお伺い」として実施
② 同、追加ヒアリング調査
③ 各種データ収集・分析

※資料内グラフにおける数値は、表示単位未満を四捨五入して表示しているため、計算値が一致しない場合がある。

動画広告は前年比132.8%の5,128億円

動画広告は前年比132.8%の5,128億円

2021年のインターネット広告媒体費は、2兆1,571億円(電通「2021年日本の広告費」より)。そのうち構成比が高いのは検索連動型広告(37.0%)とディスプレイ広告(31.8%)で、あわせて約7割を占める。ビデオ(動画)広告は前年比132.8%の5,128億円と大きく伸長し、初めて5,000億円を突破した。

インターネット広告媒体費を取引手法別に見ると、現在の主流となっている運用型広告は前年比126.3%の1兆8,382億円で、インターネット広告媒体費全体における構成比は85.2%となった。

予約型広告は前年比111.1%と伸長したものの、運用型広告が拡大の一途をたどり、構成比は10.4%に縮小した。一方成果報酬型広告は前年比95.4%と減少が続く。

運用型「動画広告」と「ディスプレイ広告」が前年比130%超

運用型「動画広告」と「ディスプレイ広告」が前年比130%超

取引手法別×広告種別では、運用型の「検索連動型広告」がインターネット広告媒体費全体の37.0%と最も構成比が大きく、次いで運用型の「ディスプレイ広告」が28.1%と続いている。

運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比133.8%と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体における構成比は19.9%となった。運用型の「ディスプレイ広告」も前年比134.1%と大きく伸長した。

ビデオ(動画)広告費5,128億円のうち動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告は2,921億円(構成比57.0%)で、ウェブ上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるアウトストリーム広告は2,207億円(構成比43.0%)となった。また取引手法別では運用型広告が83.7%を占める。

ソーシャル広告費も前年比134.3%と大きく伸長

ソーシャル広告費も前年比134.3%と大きく伸長

ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告は前年比134.3%の7,640億円と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体の35.4%となった。また、ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が3,168億円で最も規模が大きい。「動画共有系」が大きく伸長した。

また2022年のインターネット広告媒体費も継続的に伸長し、前年比115.0%の2兆4,811億円まで拡大すると予測。2022年のビデオ(動画)広告は前年比120.5%と高い成長率を維持し、6,178億円まで拡大すると予測している。

コロナ禍による下振れから回復

公表内容によれば、2021年の日本の総広告費は通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)で、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の影響が下半期にかけて緩和し、広告市場全体が大きく回復した。

とりわけ「インターネット広告費」は継続して高い成長率を保ち、2兆7,052億円(前年比121.4%)に達し、「マスコミ四媒体広告費」の総計2兆4,538億円を初めて上回った。

また「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、動画広告やソーシャル広告の伸びが成長を後押しし、2兆1,571億円(前年比122.8%)となった。

新型コロナウイルスによる感染拡大の影響については、ワクチン接種が進んだことやオミクロン株がこれまで感染拡大を引き起こした型にくらべると弱毒化していることから、予断は許さないものの、中長期的には収束の兆しが見えている状況であり、広告への投資も回復していくことが考えられそうだ。

ただ2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻といった世界をゆるがす新たな事態も発生し、対ロシア制裁の影響や、以前から進んでいたインフレに対処すべく、日本以外の先進各国中央銀行の金融引き締め政策が進行しており、今後もそうした世界情勢や経済・金融の状況が広告費に与える影響にも注視が必要となりそうだ。

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