ネットショップの売り上げ販路を伸ばすために、多店舗展開は有効な手段です。多くのネットショップは自社サイトのみならずAmazonや楽天市場など店舗を広げ、売上を確実に伸ばしています。今回は多店舗展開を考えている方に向けて、考え方からメリット、デメリットを紹介します。多店舗展開する上での懸念点を解消し、ネットショップ成功に向けての準備を整えましょう。

ネットショップにおける多店舗展開

多店舗展開の定義

販売経路が1つだけだったものを2つ以上に増やすことが多店舗展開です。コロナ禍で客足が途絶えてしまった居酒屋が商品を楽天市場などのモールに出店することやアパレルを主軸としていたネットショップが化粧品などの新ブランドの立ち上げをすることも多店舗展開に含まれます。次項で多店舗展開のケースをご紹介します。

多店舗展開のケース

自社ECサイト→自社ECサイト+モール(楽天市場)
自社のECサイトに加えて1つのモールに出店し販売経路を増やすことは一般的な手法です。誰もが知っているモールに出店することで、自社では接触できなかった顧客へアプローチすることができ、売上拡大が見込めます。売り上げが地道に伸びてきたフェーズでこの手法を取るのが一般的とされています。楽天市場などのモールでは多くのユーザーが日々アクセスしているため、集客に困ることが少ないのがメリットです。

自社ECサイト→自社ECサイト+2つ以上のモール(楽天市場、アマゾン、Yahoo!)
2つ以上のECサイトに出店することで複数の販売経路を獲得でき、1つのモールに出店するよりも多くの顧客へアプローチできます。初期投資の費用はかかるものの、売上の増加や自社に適したモールを確認できることが特徴です。モールはそれぞれの独自性を持っており、ユーザーが訪れる目的はモールによって異なります。Amazonであれば「商品がいち早く欲しい」、楽天市場であれば「ポイントを貯めてお得にショッピングしたい」といったニーズが存在します。自社のサービスはどのモールに適しているか見極め、売上の獲得が見込めるモールを選択するようにしましょう。

モール(楽天市場)→モール(楽天市場)+モール(Amazon)
楽天市場など1つのECサイトで販売していたネットショップがAmazonにも出店し販売経路を増やすことも多店舗展開の1つです。ネットショップそれぞれの特徴を運用しながら把握でき、それぞれの顧客ニーズに合わせた継続的な運用ができるのが1つのメリットです。自社サイトの運用をしなくていい反面、自社のブランド力を高められないという注意点もあります。

自社ECサイト→自社ECサイト+新ブランドの自社ECサイト
既存ブランドに加えて新ブランドを立ち上げることも多店舗展開の1つです。多角化戦略とも呼ばれ、異なる分野への進出は経営における分散投資をすることができます。力を入れるべき分野を1つでなく複数の分野に展開することで、今までとは異なる顧客へのアプローチを可能にします。総合的な売り上げが作れるのはもちろん、それぞれの認知拡大にも繋げられます。

同じECサイトに2店舗以上出店することも可能(楽天市場、Yahooのみ)
知らない方も多いかもしれませんが、楽天市場とYahooは1つのブランドで2店舗以上出店することが可能です。出店するメリットとしては、パイの奪い合いをせず、それぞれのブランドが異なる顧客層にアプローチをすることができるという点です。また、全く同じブランドでもファッションなど多くの顧客層がいるネットショップであれば、2店舗以上出店することで店舗別で売り上げを上げることができます。1店舗目は20代男性向けのシャツ、2店舗目は50代男性向けのスーツなど同一ブランドでも顧客層が異なれば、敢えて店舗を分ける方が役割がはっきりします。自社が扱っている商品の顧客層の幅が広ければ、同じECサイトで2店舗以上出店することを検討しましょう。

ネットショップの多店舗展開のメリット

売上の最大化

多店舗展開する最大のメリットは多くの顧客へアプローチでき、売上を最大化できることです。多くの顧客に自社商品を知ってもらう機会を作ることで、自然と商品を購買してくれる可能性は高まります。業績が好調でも、販売経路が1つだけでは売り上げには限界があります。楽天市場でしか商品を販売しておらず、Amazonでは販売していなかったらどんなにいい商品でも、ユーザーに自社商品を知ってもらうことはできません。Amazonでいい商品があれば、同じような商品を楽天市場で探さず、商品を購入してくれる可能性が高かった顧客を逃すことになります。商品をまず知ってもらうという認知獲得に、多店舗展開は有効です。また、ECサイトは実店舗同様、リピーターがつきやすい性質があるため多店舗展開をすることは必須と言えるでしょう。

モール別のイベントの恩恵を得れる

楽天市場やAmazonなどモールに多店舗展開する場合は、定期的に開催されるイベントの恩恵を受けることができます。モール側も店舗同様、売り上げを上げるためお得なセール期間を設けています。特に楽天市場やAmazonにおいてはセール時にTVCMなど大体的に広告を配信しているので、通常時よりもアクセスユーザーは爆発的に増えています。楽天市場では楽天スーパーセール、Amazonではブラックフライデーがあるので、イベントを有効活用し売り上げに繋げましょう。

販売チャネルを増やすことによる分散投資

多店舗展開することで経営に関するリスクを分散することができます。ネットショップのみでの販売は、常にリスクがつきまとっています。SEOの順位が下がると売り上げに影響が出ることや、トラブルに巻き込まれると閉店に追い込まれてしまうなど、販売経路が1つだと様々な要因で売り上げに影響します。多店舗展開していれば、1つの店舗の売り上げが悪くとも他の店舗で補填できるため、事業規模が大きければ大きいほど販売経路を2つ以上にすることは大切です。

ネットショップの多店舗展開のデメリット

商品の登録や在庫など管理に手間がかかる

ECサイトでは手作業で商品の登録や在庫管理をしなければいけません。商品登録の作業1つとっても写真の撮影や商品説明の作成、カテゴリを分けるなど多岐に渡ります。商品登録の作業はネットショップ立ち上げの段階で発生しますが、ネットショップを運営していく上で在庫管理は重要かつ面倒な作業です。ECサイトによっては、在庫が少なくなってきたらメールの通知をしてくれる機能もあるので、効率的に運用をするためにもECサイトの特徴をそれぞれ理解しましょう。

コストがかかる(月額の手数料や初期費用など)

ネットショップを多店舗展開する場合は月額の利用料や初期費用がかかります。それぞれのモールごとで料金体系や金額が異なるので、一部抜粋して紹介します。

Amazon

楽天市場

自社が取り扱っている商品や売上規模を加味しながら、モールを選ぶようにしましょう。

ネットショップで多店舗展開を成功させるには？

ネットショップで多店舗展開をする上でのメリット、デメリットを紹介しました。ネットショップで多店舗展開を成功させるポイントを解説します

ECサイトそれぞれの特徴を把握すること

ネットショップを多店舗展開する上で、各ECモールの特徴は必ず抑えましょう。国内では楽天市場、Amazon、Yahoo!の3つが代表的です。それぞれの利用者は楽天市場が5370万人、Amazonが5120万人、Yahooが2900万人と楽天市場とAmazonが飛び抜けて利用されています。それぞれのECモールの特徴を解説していきます。

楽天市場
楽天市場ではHTMLタグを使用できるので、店舗ページに独自性を持たせることができます。HTMLタグを使用することで競合の商品ページとの差別化ができ、自社ページでの購入に繋げやすくなります。その他にも、コンサルタントが専属でついてくれることや売り上げを上げるための施策を楽天大学で解説しているなど、ネットショップを多方面からサポートしてくれることが楽天市場に出店するメリットです。手厚いサポートを受けながら、ネットショップを運営していきたい方は、まず楽天市場を検討しましょう。

Amazon
Amazonの特徴は商品を早く発送できることに加えて、FBAというシステムを利用できることです。FBAとは商品の在庫管理や包装、発送といった面倒な作業をAmazon側で代行してくれるサービスを指します。ネットショップの運営において在庫管理や発送作業は時間と手間がかかるため、手間を削減できるその利便性の高さからAmazonを選ぶショップも多くあります。

Yahoo! ショッピング
ユーザーの利用者は楽天市場やAmazonに比べて少ないものの、Yahoo! ショッピングの出店店舗は87万店舗と最も店舗数が多くあります。店舗数の多さの理由は出店するハードルの低さにあり、初期費用と月額の利用料は無料、広告で収益を得ているビジネスモデルなので、コストをかけずに出店することができます。また、Yahoo! JAPANで商品を検索するとYahoo! ショッピングの商品が表示されるため、どのモールに出店しようか迷っている方は、まずYahoo! ショッピングを試すことをお勧めします。

イベントを有効活用すること

前述の通り、モールそれぞれでイベントが開催されるため、そのイベントに合わせて施策を考える必要があります。イベント時にやる施策として挙げられるのがクーポンの配布と広告の出稿です。

クーポンの配布
モール独自の大型のセールがある際は、期間限定で割引クーポンをユーザーに配布しましょう。クーポンは店舗で発行する必要がありますが、適用金額や割引額、使用期限など店舗で自由に決めることができます。クーポンを配布することで、ページに訪れたユーザーをそのまま購入に繋げられることや定期的に商品を購入するリピーターになりやすいといったメリットがあります。また、プラスのことがあるとユーザーは高くレビューをつける可能性があるので、商品の利益が出るようにクーポンを利用するべきです。

広告
広告出稿はモールのTOPに商品を表示させること、検索結果で上位になることを可能にさせます。モールの広告の種類はリスティング広告、ディスプレイ広告、インフルエンサー広告、リターゲティング広告、アフェリエイト広告があります。広告の出稿はクーポン配布に比べ多少のコストがかかりますが、より多くのターゲットにアプローチできるというメリットがあります。広告と商品には相性があるので、競合調査や専門のコンサルタントのアドバイスをもとに自社の商品がどの広告に適しているか確認するようにしましょう。

ネットショップの多店舗展開する際のオススメ代行会社

ネットショップの多店舗展開を成功させるためのポイントを解説しました。次に、負担を軽減するためにもオススメの代行会社を紹介します。

サヴァリ株式会社

サヴァリ株式会社は10年以上の歴史があり、ECのミカタが選ぶEC支援企業ベスト100の「運営代行部門」に選ばれるほどの運営代行に強みを持っています。楽天市場、Amazon、Yahooショッピングに強みをもっており、EC戦略の立案からSEO対策、商品登録、ページ作成などECサイト全般を代行します。料金は1ヶ月10万円からとなっています。

ごえん株式会社

ごえん株式会社はECサイトを立ち上げたばかりの会社から年商1億円といった大きな規模の会社まで代行をしています。魅力的な商品の撮影やweb制作、在庫管理など立ち上げから運用まで手厚くサポートをしてくれるのが選ばれている理由の1つです。また、ヤフオクとYahooショッピングに役立つツールを期間限定で無料提供しているので、お試しで使ってみましょう。(2022/03/10現在)
料金はWeb上に記載がないため、直接お問い合わせするようにしましょう。

ホームアットラスト株式会社

ホームアットラスト株式会社はYahooショッピングBest Store Awards2017ベストパートナー賞を受賞したことのある、圧倒的実績を持つ会社です。その実績を信頼し、ローンチに関わったネットショップの90%がその後も継続しており、顧客満足度も高く評価されています。サービスとしてはECサイトの構築や商品ページ&LPの作成、メルマガ配信代行です。月額100,000円で始められるので、失敗したくない！というネットショップにオススメのサービスです。

まとめ

本記事では売上販路を拡大するために、ネットショップの多店舗展開を検討している人に向けてメリットやデメリットを解説しました。多店舗展開をすることは売上を伸ばすという意味では非常に有効ですが、出店し手が回らなくなる状態を避けるために前もって運営体制を考えておくべきです。運営を代行する場合は、料金、サポート内容を踏まえた上でネットショップを成功させるイメージが湧くか考えることをお勧めします。