オーガニック製品経験者の60%が化粧品、83.2%が農産物を購入【ネオマーケティング調査】

ECのミカタ編集部

生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)では、世の中の動向をいち早く把握するために、独自で調査を行なっている。

今回、2022年4月8日(金)~2022年4月13日(水)の6日間、全国の20歳~69歳の男女400人を対象に「オーガニック」をテーマにインターネットリサーチを実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

▶調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施

▶調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳~69歳の男女で、オーガニック製品またはオーガニックフードを今まで複数回購入したことがある人

▶有効回答数:400名

▶調査実施日:2022年4月8日(金)~2022年4月13日(水)

購入しているオーガニック製品(食品)は?

購入しているオーガニック製品(食品)は?

オーガニック製品を複数回購入したことがある人に、自身が購入しているオーガニック製品は何か聞いている(オーガニック製品:農薬や化学肥料、化学物質を使わずに作られたもので、太陽、水、土地などの自然の恵みのみを取り入れて加工・製作した製品と定義)。

「化粧品」が約60%でトップとなり、「衣服・靴」が44.3%で続いた。また同様に、オーガニックフードを複数回購入したことがある人に、自身が購入しているオーガニックフードは何か聞いた(オーガニックフード:栽培から加工まで、太陽、水、土地などの自然の恵みのみで作られた食品のことと定義)。

「農産物(野菜や穀物等)」のみで80%以上を占めたが、「お酒以外の飲料」「お酒(ワイン等)」もそれぞれ26.1%・24.9%と一定の割合を集めており、オーガニック飲料も徐々に浸透してきている様子がうかがえる。

次にオーガニック製品またはオーガニックフードを購入するようになったきっかけを聞いている。どちらも同様に、「テレビ(メディア)」が36.6%で最も高い割合となった。一方で、「SNS(おすすめとして表示される記事や広告)」が約20%、「SNS(他人の投稿)」が約16%と、SNSをきっかけとする割合の合計が「テレビ(メディア)」を上回る結果となった。

オーガニック製品(食品)は高い?

オーガニック製品(食品)は高い?

オーガニック製品またはオーガニックフードを購入する際に、認証(農畜産物を対象にした「有機JASマーク」、オーガニックコスメの「コスモス認証」等)を確認するか聞いている。

「確認している」「たまに確認している」と回答した割合は、オーガニック製品・オーガニックフードともに74.1%となった。「確認している」割合だけでも30%だった。オーガニック製品・オーガニックフード購入者は、「オーガニック」というキーワードだけでなく、認証も確認して購入する傾向が強いことがわかる。

また自身が購入しているオーガニック製品またはオーガニックフードの販売価格は、オーガニックでない製品と比較して高いかどうか聞いている。どちらも、「高い」「やや高い」と回答した割合で90%以上を占めた。オーガニック製品・オーガニックフードの販売価格は非オーガニックよりも高額であること、高額だと認識したうえで購入しているということが分かった。

オーガニック製品(食品)を購入する理由は?

オーガニック製品(食品)を購入する理由は?

オーガニック製品を複数回購入したことがある人に、オーガニック製品を購入する理由を聞いた。「化学物質が不使用であることに安心するから」と「身体に余分なものを入れたくないから」の割合がともに40%を超えた。

前掲した設問【購入しているオーガニック製品/フードの、非オーガニックと比較した販売価格】で分かった通り、オーガニック製品が非オーガニックよりも高額だと認識しつつも、化学物質への不安感の払拭をメリットとして購入する人が多いことが分かり。

また、「肌が敏感だから」と回答した割合は21.3%であり、「製品の質、または効能が高いと感じるから」の35.0%よりも13.7ポイント低く、さらに「環境に配慮したいから」「生産者を応援したいから」よりも約6~10ポイント低い点にも注目となりそうだ。肌が弱いからオーガニック製品を選ぶというよりも、製品の品質の高さや製品のバックグラウンドに魅力を感じてオーガニック製品を選ぶ傾向が強いようだ。

次にオーガニックフードを複数回購入したことがある人に、オーガニックフードを購入する理由を聞いた。「農薬・化学肥料が不使用であることに安心するから」と「身体に余分なものを入れたくないから」の割合がともに40%を超えた。

オーガニック製品と同様に、オーガニックフードが非オーガニックよりも高額だと認識しつつも、農薬・化学肥料への不安感の払拭をメリットとして購入する方が多いことが分かる。

一方オーガニックフードの場合、「環境に配慮したいから」「生産者を応援したいから」といった利他的な理由や、「生産過程に誠実さを感じるから」といった多角的視点での理由も30%前後となった。この割合は、「栄養価が高いと感じるから」「味が良いと思うから」といったオーガニックフードの質に関する理由よりも高くなっている。

購入するオーガニック製品(食品)の金額は?

オーガニック製品を複数回購入したことがある人に、1か月あたりに購入するオーガニック製品の合計金額を聞いた。「3000円未満」が38.3%でトップとなった一方、1か月に1万円以上の購入者も24.6%と、一定の割合を占めた。

・1万円以上3万円未満/3万円以上:グループA(購入額高層)
・3000円以上5000円未満/5000円以上1万円未満:グループB(購入額中層)
・3000円未満:グループC(購入額低層)

合計金額を上記のようにグループ分けしたうえで、オーガニック製品の購入理由を比較した。

特に、グループA(購入額高 層)とグループB(購入額中 層)の回答結果の違いに注目だ。

1か月あたりの購入金額が最も高いグループAは「製品の質、または効能が高いと感じるから」が45.6%でグループBよりも11ポイント高くなった。一方で、グループAは「環境に配慮したいから」が28.9%でグループBよりも10.1%ポイント低くなった。

オーガニック製品を月に1万円以上購入する層は製品自体への評価を、月に3000円以上1万円未満の購入層は製品の質よりも環境への配慮をモチベーションに、購入する傾向が強いことが分かる。

次にオーガニックフードを複数回購入したことがある人に、1か月あたりに購入するオーガニックフードの合計金額を聞いた。「1000円以上3000円未満」が24.6%でトップとなりました。「1000円未満」も2.7ポイント差で21.9%と、3000円未満だけで46.5%を占めた。

この結果を踏まえると、オーガニックフードを購入する人の多くは、野菜のみ・卵のみなど、日々食べる食品の一部のみをオーガニックにしていることがうかがえる。

もはや一部の人のものではない?

調査結果を受けて同社では次のように述べている。

「SDGs(持続可能な開発目標)の認知の高まりとともに、環境問題や人権問題への人々の意識が少しずつ変化してきている昨今。一方、サスティナブル(持続可能)な農業・製造という点でSDGsと関係の深い、オーガニックフードやオーガニック製品への意識はどうでしょうか。日本では『オーガニック』というキーワードに対し、意識が高い、お洒落、などと偏ったイメージが強いのが現状です。今回は『オーガニック製品またはオーガニックフードを今まで複数回購入したことがある人』を対象に購入のきっかけや魅力を聴取し、今後オーガニック市場を広げていくためにどのようなアプローチをしていくべきか探りました」

調査結果にあるように、購入しているオーガニック製品/フードの、非オーガニックと比較した販売価格は:90%以上が「高い」「やや高い」と回答した。また
自身が購入しているオーガニック製品・オーガニックフードの販売価格は、非オーガニックよりも高額だと認識したうえで購入しているということが分かった。

さらにオーガニック製品/オーガニックフードを購入する理由は:「化学物質(または農薬・化学肥料)が不使用であることに安心するから」「身体に余分なものを入れたくないから」が40%を超え、オーガニック製品が非オーガニックよりも高額だと認識しつつも、化学物質への不安感の払拭をメリットとして購入する方が多いことが分かった。

調査からも、オーガニック製品に対する消費者のマインドも徐々に変化してきているようだ。「安ければいい」「おいしければいい」「デザインがよければいい」というだけではなく、その背景にある人権問題や、環境への配慮により多くの人が関心を向けつつあるようにも見える。

今後、社会を持続させる、そのミッションを確かなものにするためにも、こうした流れは加速するだろう。オーガニック関連市場の広がりとともにECビジネスを展開する上でも、そうした消費者の意識の高まりをとらえることが必要となりそうだ。

ECのミカタ通信23号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事