【2022最新】EC化率とは?国内・海外のEC化率や分野別の推移を解説

ECのミカタ編集部

【2022最新】EC化率とは?国内・海外のEC化率や分野別の推移を解説

EC化率からは業界ごとの特色やオンラインショッピンに対する需要などを把握できます。顧客が求めるサービスを提供することは顧客満足度の向上にもつながるため、EC化率の高い業界においてリードカンパニーを目指すにはECへの参入が有効です。
一方、EC化率の低い業界においては、競合他社に先駆けてECを導入できれば、差別化の要因になります。業界ごとのEC化率を参考にしつつ、顧客のニーズをしっかり理解したうえでECへの参入を検討するとよいでしょう。

EC化率とは

EC化率とは、すべての商取引のうち、どれくらいの割合をECが占めているかを示したものです。商品の販売方法のうち、オンライン販売が占める割合と考えてもよいでしょう。たとえば、年商1億円の企業においてECサイトの年間売上が3,000万円だった場合、EC化率は30%です。
また、EC化率は企業単独だけではなく、市場全体について算出されるケースもあります。その場合、アパレル業界のEC化率が20%だとすると、アパレル業界の市場規模全体に対して約2割はECを利用した取引であると考えられます。

【経済産業省発表】日本におけるEC市場規模の推移

日本国内におけるECの市場規模を知るには、経済産業省が発表する「電子商取引に関する市場調査」が役立ちます。調査結果は毎年7月に発表されており、前年のEC市場規模やEC化率、それまでの推移などを掲載しています。
2022年4月現在、公開されている最新のデータは2021年7月に発表されたものです。以下では、同調査をもとにビジネスモデルごとのEC市場規模について解説します。

BtoC


2021年におけるBtoC-ECの市場規模は19.27兆円でした。前年比0.43%のマイナスとなっており、ずっと右肩上がりの成長をみせてきた分野が初のマイナス成長となっています。さらに、BtoCのなかでもジャンルごとに分けてみると、EC市場規模の推移はそれぞれ以下のとおりです。
・物販系分野:+21.71%
・サービス系分野:-36.05%
・デジタル系分野+14.90%

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、サービス系分野では大きく落ち込む結果となりましたが、その他の分野では順調に成長傾向を示しています。
また、EC化率は物販系分野のみについて調査が実施されており、結果としては8.08%でした。前年の6.76%から大きく成長しており、今後もEC化の動きは加速していくとみられています。

BtoB


2021年におけるBtoB-ECの市場規模は、334.91兆円でした。前年比5.1%のマイナス成長となっており、BtoC-EC分野と同じく、ここ数年では珍しくマイナス成長となりました。
市場規模の推移をジャンルごとに算出すると、以下のようになります。
・建設:+7.3%
・食品:-0.5%
・繊維・日用品・化学:-3.3%
・鉄・非鉄金属:-4.6%
・産業関連機器・精密機器:-5.2%
・電気・情報関連機器:-4.2%
・輸送用機械:-8.1%
・情報通信:+4.0%
・運輸:-7.4%
・卸売:-10.3%
・金融:+0.2%
・広告・物品賃貸:-9.3%
・小売:+30.6%
・その他サービス業:+6.0%

食品から輸送機械に至るまで、製造系の分野ではすべてマイナス成長となっており、なかなか厳しい状況です。一方、建設や情報通信などの分野ではわずかに成長を記録しているものの、大幅に成長した分野はなしとの結果となりました。

しかし、EC化率に注目してみると、以下のようにすべての分野においてプラスとなっています。
・建設:+13.1%
・食品:+63.3%
・繊維・日用品・化学:+45.7%
・鉄・非鉄金属:+40.5%
・産業関連機器・精密機器:+38.3%
・電気・情報関連機器:+61.1%
・輸送用機械:+70.7%
・情報通信:+21.0%
・運輸:+18.2%
・卸売:+30.6%
・金融:+22.5%
・広告・物品賃貸:+14.6%

全分野において10%以上の大幅視聴を記録しており、BtoB-ECではEC化の波が生まれていることがわかります。

CtoC


2021年におけるCtoC-ECの市場規模は、1.95兆円でした。BtoBやBtoCに比べると市場としては小さいものの、新しいビジネスモデルである点を考慮すると、短期間で成長している市場であるともとらえられます。前年比の面でも12.5%のプラスとなっており、BtoB・BtoCがいずれも落ち込むなかで唯一成長を記録しています。
なお、CtoC分野はオンラインの取引が前提となっているため、EC化率の調査は実施されていません。

今後のEC化率の予測


ここまでさまざまな分野についてEC化率を紹介してきましたが、いずれの分野もEC化率は増加傾向を示しています。ECは、消費者にとって利便性の高い顧客体験を実現すると同時に、事業者にとって販売コストの削減や販路の拡大を可能にする販売方法です。双方にとってメリットがあることに加えて、EC関連のツールやシステムを提供する企業の数も多いため、今後もEC化率は成長しつづけるでしょう。

世界におけるEC市場規模とEC化率

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2020年におけるBtoC-EC市場規模は4.28兆ドルとなっており、1ドル=120円で換算すると5.13兆円となります。経済産業省の見立てでは、2024年までに6.39兆ドルに及ぶとの結果が出ています。
また、EC化率に注目すると、2019年の13.6%から18.0%まで伸びており、世界的感染症拡大を背景にEC化が急速に進んだことが明白です。一方、日本国内のEC化率は8.08%であるため、先進諸国に比べてEC化率の点では遅れをとっているといえるでしょう。

【分野別】EC化率の推移

EC化率の推移は、業種や分野によってもばらつきがあります。そのため、BtoBやBtoCなどのビジネスモデルだけではなく、それぞれのビジネスモデルのなかで、各分野のEC化率がどのように推移しているのかを把握することも大切です。とくに自社の属する分野において、業界全体のEC化率や推移を知ることは、市場調査としても大きな意味をもっています。
以下では、BtoC-ECにおける分野別EC化率について解説します。

物販系分野


2020年における物販系分野のEC化率は8.08%となっており、さらに細分化すると以下のようになります。
・食品、飲料、酒類:3.31%
・生活家電、AV機器、PC・周辺機器:37.45%
・書籍、映像・音楽ソフト:42.97%
・化粧品、医薬品:6.72%
・生活雑貨、家具、インテリア:26.03%
・衣類・服装雑貨:19.44%
・自動車、自動二輪車、パーツ:3.23%
・その他:1.85%

商材別のEC化率をみると、物販系分野のなかでも商材によって大きく差が開いていることがわかります。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」と「書籍、映像・音楽ソフト」がとくに高くなっている要因は、業界大手の企業が積極的にECを導入しているためです。そのほかに「生活雑貨、家具、インテリア」などでは、店舗で購入した商品を持ち帰りにくいことも理由の一つとしてあげられます。

サービス系分野・デジタル系分野


サービス系分野・デジタル系分野については、分野別のEC化率は調査されていません。

アパレル業界のEC化率が伸びている理由

EC業界のなかでも、とくに盛り上がりをみせているのがアパレル分野です。ZOZOTOWNをはじめとするアパレル専門ECも数多く登場しており、業界内におけるEC化率も順調に高まっています。
しかし、アパレル業界のEC化率が伸びている背景には、どんな理由があるのでしょうか。

運用・管理をサポートするECツールの登場


ECの普及にともなって、ECの運用・管理をサポートするツールも続々リリースされています。代表例は、業界大手の株式会社ZOZOが提供する物流プラットフォームです。
ZOZOTOWNと自社ECの在庫情報をリアルタイムに反映できる機能を実装しており、EC運営の工数を大幅に削減できます。業務負担の軽減だけではなく、機会損失の向上にもつながるため、アパレルECを運営する企業にとっては大きなメリットです。

モバイルユーザーの増加


スマートフォンの普及にともない、アパレルECを利用するモバイルユーザーの数も増加しています。MMD研究所の調査によると、ネットショッピングをするときに利用するデバイスは8割以上がスマートフォン、購入したことがあるものでは「服・ファッション・小物」がトップです。
また、SNS経由でアパレルECを利用するケースもあります。アパレルは写真や動画による訴求が強く、InstagramをはじめとするSNSとの相性がよい商材です。今後もスマートフォンやSNSを利用するユーザーが増えるにつれて、アパレルECに対する需要も高まっていくでしょう。

オンラインショッピング需要の増加


もともとアパレル分野はオンラインショッピング需要が高い分野でしたが、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大による需要の高まりが顕著に表れました。コロナ禍においては、外出自粛や接触機会の削減を求める声が多く、ECへのシフトが急速に進みました。
また、実際に商品を見てからでないと、サイズや色味がわかりにくいというボトルネックに対して、自宅で試着できるサービスなどが生まれたこともアパレルECが成功を収めた要因の一つです。

国内EC市場の売上ランキング

EC市場全体における売上ランキングでは、幅広い商品を取り扱う総合通販系のECモールが上位にランクインします。日本国内の場合、楽天市場やアマゾンジャパンが代表例です。
いずれもビジネスモデルは似ていますが、細かな点では違いもあります。
以下では、それぞれのECモールの特徴と売上高について紹介します。

楽天市場


国内最大級のECモールである楽天市場の売上高は3兆9,000億円です。独自のキャンペーン施策を数多く展開しているほか、ECモール以外に旅行や金融などの分野でもサービスを提供しています。
提携サービスの豊富さに加えて、それぞれのサービスを利用すると共通ポイントが貯まる点が最大の特徴です。顧客のロイヤリティを高めることによって売上を向上させている事例といえるでしょう。

アマゾンジャパン


世界的大手のアマゾンジャパンの売上高は3兆4,238億円です。購入商品をスムーズに配送するための倉庫や配送網を構築しており、Amazonプライムに登録しているユーザーには翌日配送サービスを提供しています。
動画配信や電子書籍にも力を入れており、さまざまな分野から新規顧客を獲得しています。

Yahoo!ショッピング


大手2社に追随するYahoo!ショッピングの売上高は8,901億円です。キャッシュレス決済サービスのPayPayやファッションECのZOZOTOWNをはじめ、既存ユーザーの多いサービスとの連携を強めており、サービスの利便性を高めています。今後もさらにサービスの幅を広げていくことが期待されています。


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