半数が「これまでの商品・サービスの選び方を変えたい」【タイムカレント調査】

ECのミカタ編集部

デジタルマーケティング事業を行なう株式会社タイムカレント(東京都中央区、代表取締役:鎮目英大)は、円安・物価高騰に加え、世界的なムーブメントになっているSDGsへの注目や根強く続くコロナ禍で、個人の消費やライフタイルがどのように変化しているのかを調査するために、2022年6月23日(木)~2022年6月24日(金)の2日間、全国の20~69歳1000名を対象に「消費・ライフスタイルに関する調査」を実施し、その内容を公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

調査の方法:インターネット調査
調査の対象:全国の20~69歳の男女
有効回答数:1,000名(性年代均等割り付け)
調査実施日:2022年6月23日(木)~6月24日(金)

2人に1人が、これまでの消費行動を変える意向

2人に1人が、これまでの消費行動を変える意向

商品やサービスなどの選び方を変えたり、変えたいと思ったと回答したのは52.1%となり、半数以上となった。円安や 物価高騰、エシカル消費の浸透、さらにアフターコロナに向けて、今置かれている日本の状況を背景に、消費者の「選び方」に変化の兆しがあることが浮き彫りとなった。

また商品やサービスの選び方を変えた・変えたいと回答した人にその理由を聞くと、「ライフスタイルに適したものを考えるようになって」34.4%、「充実した毎日を過ごしたいから」31.1%、「自分の価値観・倫理観の変化に合わせて」28.8%と続く結果となり、より良い商品・サービスへの乗り換えで、自分らしいライフスタイルに変えたいという傾向がうかがえる。

商品やサービスの選び方を変えた・変えたいと回答した人に、新型コロナウイルス感染症やSDGsムーブメントがどの程度影響しているかを聞くと、新型コロナに関しては「影響した」18.2%、「どちらかと言えば影響した」34.7%と計52.9%が、またSDGsに関しては「影響した」11.5%、「どちらかと言えば影響した」22.8%と計34.3%が影響を受けていることがわかった。さらに、SDGsムーブメントが選び方に影響があったかを年代別でみると、20代、30代は計4割を超え、若年層に影響を与えていることがわかった。

選び方を変えたもの「趣味・投資・交友の仕方」

選び方を変えたもの「趣味・投資・交友の仕方」

実際に、「変えたい」、「変えた」と回答した人に、そのジャンルを聞いている。「変えたい」と思ったものは「趣味・レジャー」が27.4%で最多となりました。次いで「投資」25.7%、「友人との付き合い方」16.0%、「ファッション」14.8%、「光熱費」14.1%と続いた。

実際に「変えた」ものは「投資」21.6%、「友人との付き合い方」18.8%、「趣味・レジャー」14.4%となった。政府が「貯蓄から投資」への政策を推し進めていることや、新型コロナウイルス感染症の影響がうかがえる内容となった。

一方、多くの商品・サービスの選び方や消費の仕方が変わっていく中で、変わらないものはあるのだろうか。選び方を変えたいと思ったもの・変えたもの下位はどうだろうか。

レンタカーなどに代表される「レンタル系サービス」「シェアリングサービス」や、「駐車場代」「自動車保険」がランクインした。暮らし方に直結する要素であるにも関わらず、変え方の難しさや変更にかかる手間などが起因するためか、自動車関連に関しては手つかずな人が多いことがわかった。また、教育サービスは、世相が変わってもむしろ意識して変えない意向が見らえた。

今夏、「内から外」志向が強まる

今夏、「内から外」志向が強まる

この夏は、「充実して過ごしたい」かについて「そう思う」30.7%、「どちらかと言えばそう思う」48.8%と計79.5%となり、各項目の中で最も高くなった。また、「節約したい」という人が計75.3%いる一方で、「アクティブに楽しみたい」計51.3%、「新しいことをしたい」計47.8%と、今年の夏は消費や行動を変える「内から外」への動きが見て取れる結果となった。

「エシカル」や「タイパ」がトレンドに

「エシカル」や「タイパ」がトレンドに

今後どのようなものを消費者は選んでいくのか、「環境」「SDGs」に焦点を絞り詳細を調べたところ、37.0%と約3人に1人が環境にやさしいものやSDGsを意識して選ぶようになったと回答した。

ジャンルでは「食品」が最も多く64.9%、次いで「生活雑貨」31.4%、「ファッション」25.9%と続き、エシカル消費への興味関心の高まりにより、一番身近で必要不可欠な「食品」をはじめ、乗り換え消費が進んで行くことが予想されると分析している。

エンタメ系コンテンツの選び方・楽しみ方も「高効率」を求めてモノ・コトを見定めて選ぶ傾向が見てとれる。「評判を見てからコンテンツを選ぶ」と回答した人が約4割と「失敗したくない」という意識がうかがえる結果となった。

また、4人に1人が「2倍速などで動画を見る」、「ネタばれを見てからコンテンツを選ぶ」と短い時間で高い成果を得たいという、「タイパ」(タイムパフォーマンス)を意識した傾向であることがわかった。さらに4人に1人が「サブスクサービスに加入する」など「持たない暮らし」への注目度も高まりそうだ。

消費活動全般については、やはり「失敗したくない」という意識は強く、計68.9%が「あてはまる」と回答した。「タイパ」(タイムパフォーマンス)、「持たない選択肢」に関しても約半数以上が該当し、堅実に、そして後悔しない商品選びを意識している傾向が見られた。

「コスト」と「自分の好み」のバランスがポイントに

「コスト」と「自分の好み」のバランスがポイントに

商品やサービスの選び方は新型コロナウイルス感染症や物価上昇、SDGsなどの影響を受け、様々に変化しているようだ。約4割の人が「コストも気にしつつ、自分の好み、価値観にあった選び方が強まっていく」と考えていることがわった。

サマリー

調査結果にあるように、2人に1人が、これまでの消費行動を変える意向を示し、コロナ禍やSDGsブームを背景に、自らのライフスタイルを重視する傾向にあった。また「選び方を変えたもの」に、「趣味」「投資」「友人との付き合い方」が上位になり、一方で自動車関連や教育系サービスは手つかずの状態にあった。

さらに今年の夏は 2人に1人が「アクティブに楽しみたい」と回答。「内から外」への意識の高まりが表れた結果になり、)「エシカル」や「タイパ」を重視した商品選びが今のトレンドであることがうかがえる結果になった。加えて「コスト」と「自分の好み」とのバランスが選び方のポイントになり、コストも重視しながら、ライフスタイルの変化に合わせるなど、賢く消費を見極めていく傾向にあるようだ。

経済・経営コンサルタントの坂口孝則氏は次のように述べている。

「自律的な選択によって商品を選ぶ『消費3.0』時代へ。まさに今が『換え活』の時。 現代はVUCA(予測不能な時代)といわれます。まさにコロナ禍や急激な値上がりは象徴的です。そのなかで商品を選ぶ軸が大きく変化しています。人気がある、コスパがよい、自慢できる、といった志向から、SDGsやタイパなどより良い社会や生き方を求める傾向への変容です。アフターコロナにおける内から外に出て消費しようとする流れのなかでもこの傾向は変わりません。限られた時間と収入をいかに振り向けていくか。食品や日用雑貨ではエシカルであることが求められ、投資や趣味・レジャーなども充実した人生への寄与が重要です。商品が良ければいい時代(消費1.0)から、消費者が満足すればいい時代(消費2.0)を経て、商品選択によって自分を社会もよりよくしていく時代。これは消費3.0といってもいいでしょう。自律的な選択によって商品を選ぶ。まさに現在は『換え活』が必要な時代です(VUCA:Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味する)」

ファイナンシャルプランナーの飯村久美氏は、次のように述べている。

「コロナや物価高など、社会情勢が大きく変わっている今、家計を見直したり、自分のお金と向き合ったりする人が増えてきたように思います。ファイナンシャルプランナーのもとに相談に来られる方は、従来ライフイベントに備えるために支出を見直したいという人がほとんどでしたが、最近はライフイベントに関わらず、家計を気にしながら 商品やサービスの選び方を見直したい人が増えてきており、『換え活』ムーブメントの高まりを感じつつあります。私がおすすめしたい『換え活』は、このところの物価高を踏まえ、食品は『プライベートブランド』の利用を増やしたり、またオーガニックなものや環境に配慮されたものにもこだわるような選び方に換えることです。相談に来られる方の中には、スマホや電力会社選びにおいて、コストを気にしながらもご自身やご家族のライフスタイルとの相性を踏まえて契約サービスを考えている人も多いです。家計の見直しをする時は、固定費から見直すとよいでしょう。固定費は、自動引き落としになっているため、見直しのメスが入りにくい支出です。アンケートでも盲点になっていた自動車保険の見直しもおススメです。よくわからず勧められたまま継続している人も多いので、必要な補償を確認し、本当に自分に合ったサービスを探してみてはいかがでしょうか」

専門家も述べているように、より自分らしいライフスタイルが実現する商品に切り換える「換え活」が新たなトレンドになっているようだ。先進各国の中央銀行による金融緩和の結果、世界的なインフレが進み、また新型コロナウイルスによる感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻によって、コストプッシュの面でもインフレへとつながる中、人々の消費マインドにも変化がもたらされており、EC展開をする上でも、そうしたトレンドを捉えることが必要となりそうだ。

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