BtoB-ECの市場規模。拡大の状況や背景、今後の動きを最新資料に基づき解説

ECのミカタ編集部

BtoB-ECの市場規模。拡大の状況や背景、今後の動きを最新資料に基づき解説

BtoB-ECの市場規模は拡大傾向にあり、大きなマーケットに成長している。BtoB-ECを展開したいと考える場合、市場の動きに知見を広げておくことは重要だ。今回は、経済産業省から発表された資料を基に、BtoB-ECの市場規模の拡大やその背景を紹介していく。最後に、BtoB-ECに関わる今後の動きを紹介するため、EC化を進めていく際の参考にしてほしい。

目次

●BtoB-ECの市場規模は拡大している
●BtoB-EC市場規模が拡大する背景
●BtoB-ECに関わる今後の動き
●まとめ

BtoB-ECの市場規模は拡大している

BtoB-ECとは、企業間の電子商取引のこと。BtoB-ECの市場規模は年々拡大しており、成長の一途をたどっている。具体的な推移について、経済産業省が発表した資料を基に確認していこう。

関連記事:BtoB-ECとは?導入のメリットとデメリット、構築手法や導入時の注意点

BtoB-ECの需要が上昇傾向


経済産業省が、2021年7月に発表した『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)』の報告書によると、2020年のBtoB-ECの市場規模は334兆9,106億円だった。コロナ禍の影響を受けたこともあり前年比5.1%減となった一方で、BtoB-ECを導入している企業の割合を示すEC化率は、33.5%となり、2019年と比べて1.8%増加。企業間での電子商取引の市場規模は拡大傾向にあることが把握できる。

参考:経済産業省『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書』

BtoB-EC市場規模の業種別内訳


経済産業省の報告資料では、業種別のEC化率もまとめられている。

BtoB-EC化率が最も高い業種は製造業であり、特に「食品」や「電気・情報関連機器」のEC化率が高く、2020年には60%を超えている。「繊維・日用品・科学」も2019年から5ポイント増え、2020年時点でEC化率は45.7%となり、製造関連事業は、コロナ禍でEC化が進んだと考えられる。なお、伸び幅に違いはあるものの、どの業種においても年々EC化の割合が増加していることが伺える。

参考:経済産業省『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書』

BtoB-EC市場規模が拡大する背景

成長が進むBtoB-ECの市場規模。BtoB-ECが拡大する背景として、3つの視点に分けて紹介する。

市場拡大の背景1.働き方改革


1つ目は、政府の打ち出す「働き方改革」の影響が考えられる。特に企業にとっては、働き方の見直しに迫られ、長時間労働の是正や生産性の向上が求められている。そのような中、限られたリソースで生産性を高めるための手段として、BtoB-ECの活用が1つの施策として注目されている。

例えば、従来のようなアナログの取引では、ひとつのビジネスをまとめるまでに多くの時間や手間が必要だった。一方、EC化によって業務効率化が図れれば、商談成立までの意思決定や商品の発受注などにかかる時間が大幅に削減できるため、企業同士に大きなメリットがあると言えるだろう。

市場拡大の背景2.ITインフラ整備


2つ目は、ITインフラの整備が進んだことだ。ITインフラによってWeb上での情報交換が日常化された今、ビジネスシーンにおいてもITインフラを利用した取引のニーズが高まるのは自然な流れだろう。ビジネスに必要なコミュニケーションをWeb上で行い、紙ベースのアナログなやり取りを減らし、業務負担を軽減する取り組みを各業種で盛んに進めているのだ。

市場拡大の背景3.デバイス端末の普及


スマートフォンやタブレット端末などの普及も、BtoB-ECの拡大を後押ししたひとつの要因だ。従来、BtoB-ECを展開させるために、企業は独自のシステム構築に莫大な費用を投資していた。しかし近年は、デバイス端末の普及により、システム構築に費用をかけなくてもBtoB-ECを展開できる仕組みが整っている。大企業だけでなく、中小企業や個人事業主などの積極的な利用は、市場展開に大きく影響を与えていると言える。


BtoB-ECに関わる今後の動き

BtoB-ECへの参入を考える際は、今後の動きについても理解しておく必要があるだろう。BtoB-ECに関わる話題を確認していこう。

IP網化に伴うINS回線の廃止


デジタル信号でデータを転送する仕組みとして知られるNTTの「INS回線」は、2024年1月にサービスを終了し、IP網への移行が予定されている。BtoB-ECにおいて同サービスをインフラとしている企業は、この変更により、電子データ交換と呼ばれる「EDI」の仕組みをIP網に置き換えるといった更新を迫られているのだ。

EDIを使う企業の中には、INS回線の廃止の動きに伴い、EDIからECサイトへの移行を検討するケースも出てきている。BtoB専用のECサイトであれば、EDIでは対応が難しかった最新のマーケティング施策や効果測定が可能なるため、メリットも大きい。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入


「適格請求書等保存方式」はインボイス制度とも呼ばれており、消費税の仕入税額控除を受ける際に必要となる仕組みとして2023年10月より導入される予定だ。

インボイス制度が導入されることで、買い手と売り手双方の経理業務に影響が生じる。例えば、買い手側は、仕入税額控除の計算に際してこれまでとは異なる作業が必要となる。また売り手側は、取引内容の請求に対し、請求書等への記載ルールや適格請求書発行事業者の事前登録など、新しい方式に則った対応が必要だ。

これらの経理業務の負担軽減に向けて、注目されているのがBtoB-ECの活用だ。インボイス制度では、電子インボイスと呼ばれる電磁的記録での提供が可能となると言われている。電子インボイスの仕組みを通じて、国内外の取引相手との間でデジタルの請求書をオンラインで取り交わすといったことも可能となるだろう。

参考:経済産業省『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書』

まとめ

技術の進化や働き方改革などが後押しとなり、BtoB-ECの市場規模は拡大の一途をたどっている。今後、IP網化に伴うINS回線の廃止や請求書方式の変更が迫る中、企業のEC化はますます広がりを見せていくと予想される。自社の問題点を洗い出し、業務改善や新規顧客の獲得といったEC化を取り入れた企業の発展を検討してみよう。


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