Yahoo!新戦略開始宣言より一年 出店数と利益の各増減を発表

2014年4~9月期の連結業績発表へ

Yahoo!は10月29日に、2014年4~9月期の連結業績の発表を行った。営業利益は前年同期比4.1%減の947億円であった。今期より国際会計基準へと移行したため単純比較はできないが、同期での業績としては初の営業減益となった。昨年開始したECサイトでの出店料無料化などの戦略による減収入や、戦略促進用のコスト投入などの負担が響いたとされる。

一方、売上高は前年同期比2.6%増の2,032億円となった。主力となっているディスプレイ広告(Yahoo Display Network)やリスティング広告(Yahoo!プロモーション広告スポンサードサーチ)などが好調であった。またリスティング広告はスマートフォン経由での利用拡大の傾向が強まり、マーケティングソリューション事業の売上高は前年同期比7.5%増の1,466億円、営業利益は前年同期比6.9%増の767億円を記録した。

ECや会員サービスを含むコンシューマ事業では、出店料無料化実施により、ストアID数は実施前と比較し10倍へと膨れ上がった。ヤフオク!の取扱高も前年同期比2桁超の増加率で伸び、商品数も5割位上増加し1億2,000万点を超えているが、事業全体の売上高は前年同期比9.4%減の470億、営業利益は25%減の267億円となった。

最終的な純利益は、前年同期比2.2%増の666億円であった。
Yahoo!代表取締役の宮坂学氏はこれらの数値を受け、「Yahoo!ショッピングについて、この一年で出店数は10倍となった。焦らずに売主と商品の数を着実に増やしていきたい。インターネットで収益を上げる事業は、市場シェアの7~8割を獲得し、次位にダブルスコアを付けるようでなければいけない。そのような状態で初めて『品数が多い』と言えるのであって、僅差での一位は重要ではない。今後の業績に関しては、気合を入れコスト削減を行い、通期で増収増益を目指したい」と、今後の戦略と展開をコメントした。

幅広いユーザー層獲得に向け新たな動きも

ヤフオク!内においても、ID取得の簡略化を進めるなどユーザーの利用ハードルを下げ新規獲得に向ける。新戦略開始後より着実に入札数も増加し、減少気味であったストア数も増え、20代の若いユーザーのYahoo!入り口的な取り込み施策にも一役かっているだろう。また、リユース体験店舗の「ヤフOFF!フラッグシップストア渋谷センター街店」をオープンさせるなど、よりユーザーの生活に密接した環境に切り込んでいく姿勢を見せている。今まで届かなかった層へ積極的にリーチをかけている印象を受ける。
衝撃的であった出店料無料化宣言より一年が経過したが、今後宮坂氏のコメントのように展開が進めば、さらなる新サービスなど登場する可能性も高いだろう。次なる施策が今から楽しみである。