物流ロボット、検討中企業の8割以上が「3年以内」の導入を目指す【ロジザード調査】

ECのミカタ編集部

クラウド型在庫管理システムのリーディングカンパニーであるロジザード株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:金澤 茂則、以下:ロジザード)は、2022年8月9日に『物流ロボット・物流DXに関するアンケート調査』を公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

[調査期間]
2022年4月5日(火)~2022年5月24日(火)

[調査方法]
オンラインによるアンケート調査

[対象者(1)]
「ロジザード物流ロボットセミナー2022」に申し込んだ515名

[対象者(2)]
「ロジザード物流ロボットセミナー2022」に参加した人の内、171~206名

物流ロボットをいつ導入するか

物流ロボットをいつ導入するか

対象者(1)515名の回答結果。「物流ロボットを導入する場合、いつ頃を目指しますか。」という質問に対して、42.9%が「わからない」と回答、続いて「3年以内」が21.7%、「物流事業がないため、導入することがない」が16.7%、「年内」が5.8%、「5年以内」が3.5%、「10年以内」が1.0%、という結果だった。

まだまだ、「わからない」を選択している人が多く、導入する場合でも「年内」を選択する人が少ないため、導入することを決めかねている人が多いことは確かだ。しかし、導入を前向きに検討している人は、「5年以内」、「10年以内」ではなく、「3年以内」が一番多い結果となっていることに導入の現実感が増していると考察している。

物流ロボットの導入を検討している人の86.1%は、3年以内(年内を含む)の導入を目指していると言えそうだ。また、この「3年以内」と答えた人は、具体的にミッションを持つ担当者の可能性が高い。1~2年、情報収集や物流ロボットの導入倉庫への倉庫見学などを通し、ロボットの選定に入ることになりそうだ。

物流ロボットについて気になっている情報は?

物流ロボットについて気になっている情報は?

対象者(1)515名の回答結果。「物流ロボットについて気になっている情報は何ですか。」という質問に対し、全体の60.1%が「種類・機能」、56.3%が「費用」を選択した。この2つは情報収集段階の人が多く選択する項目かと思われるので、物流ロボットについてまだまだ不明なことが多く、問い合わせまでは至っていない、導入について不安がある状態だと思われる。

残りの3つは導入を具体的に検討した人が気になる情報だろう。全体の38.4%が「導入前の障壁」、30.0%が「導入時の環境設備」、29.7%が「導入時、導入後のサポート体制」を選択している。費用への関心が強いという結果について、不明点が多い中でROI(Return On Investment、投資収益率、投資利益率)へのコミットに自信が持てない、ということだと考察している。

株式会社ギークプラスが展開するロボット教習所「DOJO」のような、疑似経験をできるサービスで、まずは自社の倉庫と物流ロボットがマッチするのか試してみることをロジザードは推奨している。また、プラスオートメーション株式会社が提供するRaaS、物流ロボットのレンタルモデルが一般的となる将来をロジザードは想定している。

物流ロボットのコストに対する意識

物流ロボットのコストに対する意識

対象者(2)(自由回答)174名の回答結果。「物流ロボットのコストに対する意識を教えてください。」という質問に対し、69.0%が「中長期でコストをどのように考えればいいのかがわかれば、導入を検討する企業が増えると思う」と回答した。続いて、13.8%が「短期的なコストに目を奪われてはいけないと思う」、10.9%が「やはりコストが気になって導入に踏み切れないと思う」を選択している。

上記の結果から、約7割の人が、会社や上長を納得させるコストシミュレーションがあれば検討に値することがわかる。ただし、ノンアセット型の3PL事業者にとって、「中長期」のコストへの考え人は検討に詰まるかもしれない。ノンアセット型は輸送手段や倉庫などの資産を保有せずに業務を遂行するため、現在の倉庫を長期的に借りる予定であるか、借りているものは返す必要があり、その際に原状回復工事が必要となるとまたハードルが上がる。運送会社であれば車両をリースであれ、アセットに投資しないと始まらない仕事であるので、物流ロボットについても理解し易いものと思われる。

物流ロボットは人間の仕事を奪う?

物流ロボットは人間の仕事を奪う?

対象者(2)(自由回答)206名の回答結果。「『物流ロボットは人間の仕事を奪うのではないのか』という懸念がありますか。」という質問に対し、42.7%が「奪う可能性はあるが、失業の上昇にはつながらない」、31.6%が「そうは思わない」、22.8%が「そう思う」を選択した。

自社の物流DXに関する課題感を説明できる?

自社の物流DXに関する課題感を説明できる?

対象者(2)(自由回答)171名の回答結果。物流ロボットの導入を推進する企業によっては、物流DXの実現を最終的な目的に置いていることもあるだろう。そこで、「自社の物流DXに関する課題感を説明できますか。」という質問をしたところ、46.8%が「課題感がわからない・整理できていない」、30.4%が「説明できる」、22.8%が「説明できない」と回答した。全体の約8割の人が物流DXの課題についてまだ充分に精査できていない状況とも言えそうだ。

具体化するロボット導入とそこでの課題

調査結果から次のことが明らかとなった。

▶物流ロボットの導入を検討している人の9割弱は、3年以内(年内を含む)の導入を目指している

▶物流ロボットに関する気になる情報は「種類・機能」と「費用」

▶物流ロボットを導入できない理由として、「コスト」と考えている人は約1割

▶6割以上が物流ロボットは人間の仕事を奪う可能性があると回答

▶自社の物流DXに関する課題感を説明できるのは約2割

調査結果にあるように、導入時期については約半数の人が物流ロボットの導入を10年以内に検討しているという結果となった。新型コロナウイルス感染症の影響による通販物流の需要拡大、人手不足の解消策として、いよいよ物流ロボットの導入が本格的に進んでいる。今後、ECを支える物流の現場でのDXとロボット導入は避けられない情勢であり、関連する企業において、具体的な検討段階に入っており、であるからこそ、そこにおける課題や悩みが顕在化している状況とも言えそうだ。

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