3Ⅾセキュアとは。種類や導入するメリット、実際に取り入れる際の注意点を紹介

ECのミカタ編集部

3Ⅾセキュアとは。種類や導入するメリット、実際に取り入れる際の注意点を紹介

3Ⅾセキュアとは、ECサイトなどでクレジットカード決済を行う際に利用される、本人認証サービスのこと。クレジットカードの不正利用対策として活用できるため、自社サイトに3Dセキュアを活用した決済方法を導入したいと考える担当者もいるだろう。今回は、3Dセキュアの概要や種類、ECサイトに3Dセキュアを導入するメリットを紹介する。最後に、導入する際の注意点も紹介するため、サイトに仕組みを構築する際の参考にしてもらいたい。

目次

●3Ⅾセキュアとは?
●3Ⅾセキュアの種類
●ECサイトに3Ⅾセキュア2.0を導入するメリット
●3Ⅾセキュアを導入する際の注意点
●まとめ

3Ⅾセキュアとは?

はじめに、3Dセキュアの概要や使い方、セキュリティコードとの違いについて確認していこう。

3Ⅾセキュアの概要


3Ⅾセキュアとは、インターネット上でクレジット決済を行う際、不正利用対策を目的に実施される本人認証のサービスだ。VISA、Mastercard、JCB、American Expressなどのカード会社が採用しており、世界標準の本人認証方法と言える。3Dの「D」は「ドメイン(Domain)」のことを指し、加盟店(クレジットカードが利用できるECサイト)・カード発行会社・国際カードブランド会社の3者間で適切に認証を行うことを意味している。

3Ⅾセキュアの使い方


クレジットカード利用者が3Dセキュアを使用する場合の流れは以下の通りだ。

1.クレジットカード利用者が、3Dセキュア提供元のカード会社にIDやパスワードなどの必要情報を事前に登録する
2.ECサイト上で商品の決済時にカード情報を入力すると、3Dセキュアの認証画面に移行する
3.利用者が事前登録したIDやパスワードを入力し、本人確認を行い決済手続きが完了する

3Dセキュアの利用は、「クレジットカードに記載されている情報」に加え、「本人しか知らないパスワード」を合わせて承認する仕組みだ。クレジットカードの情報が漏えいされた場合であっても、「なりすまし」などの不正利用を未然に防止できる。

セキュリティコードとの違い


セキュリティ対策には3Dセキュア以外に、「セキュリティコード」と呼ばれるカード裏面に記載されている3桁または4桁の数字を活用する方法もある。「セキュリティコード」と「3Dセキュア」の違いは次の通りだ。

セキュリティコードは、クレジットカードの磁気情報に含まれないため、スキミングと呼ばれるカードに書き込まれた情報を読み取られるといった被害防止に有効だ。また、クレジットカードの情報が流用した場合も、セキュリティコードが流出しなければ不正利用のリスクは抑えられる。

しかし、セキュリティコードはカード自体に記載されているため、クレジットカードそのものが盗まれてしまうと不正利用を防ぐことは困難と言える。一方の3Dセキュアは、先述したように本人しか知らないIDやパスワードを使用して認証を行う。そのため、より強固なセキュリティを構築でき、「セキュリティコード」よりも安心してクレジットカードを利用してもらえるといった特徴がある。


3Ⅾセキュアの種類

3Dセキュリアは、現在Ver.1.0とVer.2.0の2つの仕様が存在しているが、3ⅮセキュアVer.1.0は2022年10月でサービス終了が予定されている。今後は、3ⅮセキュアVer.2.0が主要となることを踏まえ、それぞれの仕様の違いを確認していこう。

3ⅮセキュアVer.1.0


これまで、利用されてきた3ⅮセキュアはVer.1.0であり「旧3Ⅾセキュア」とも呼ばれている。3ⅮセキュアVer.1.0は、インターネット上の取引の度に、事前登録したIDとパスワードの入力を行う。また、PCブラウザのみ対応で、リスクレベルに関わらずパスワードで一律に認証するという仕組みだ。

3ⅮセキュアVer.1.0は一定のセキュリティ対策になるものの、利用者にとってはパスワード入力の負担が大きく、決済時に離脱してしまうという課題点があった。そのため、3ⅮセキュアVer.1.0は2022年10月にサービスを終了する予定だ。

3ⅮセキュアVer.2.0


3ⅮセキュアVer.2.0は「EMV3-Dセキュア」という名称でも呼ばれており、3ⅮセキュアVer.1.0の代替となる存在だ。3ⅮセキュアVer.1.0との大きな違いは、パスワード以外にも、ワンタイムパスワードや生体認証、QRコードの利用が可能となる。また、認証の実施は不正利用のリスクが高い場合のみ認証を行うリスクベースとなり、モバイル以外にもアプリ内決済にも対応している。利用者にとっては利便性が高く、決済時の負担が減少すると考えられることから、今後利用者が増えることが予測されている。


ECサイトに3Ⅾセキュア2.0を導入するメリット

クレジットカード決済のセキュリティ強化を考える場合は、3ⅮセキュアVer.2.0の導入がおすすめだ。導入を勧める3つのメリットを紹介しよう。

<メリット1>ECサイトの信頼性の向上


まず1つ目は、セキュリティ性能強化によるECサイトの信頼性の向上が挙げられる。3ⅮセキュアVer.2.0は、SMSやアプリを用いたワンタイムパスワードや指紋や顔などの生体認証など、さまざまな認証方法に対応している。特にワンタイムパスワードは、一度しか使用できないためセキュリティ効果が高い。また、決まったパスワードが存在しないことで、クレジットカードの盗難があった場合でも安心度が高い。

総務省が令和4年5月に発表した『令和3年通信利用動向調査の結果』の資料によると、インターネット利用における不安の内容は、「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」が90.1%と最も高い。このことから、3ⅮセキュアVer.2.0による決済セキュリティ強化をアピールできれば、自社サイトの利用を促せるといった効果も期待できるのだ。

参考:総務省 報道資料『令和3年通信利用動向調査の結果』

<メリット2>かご落ちリスクの減少


次に、2つ目のメリットは、かご落ちリスクの軽減が期待できることだ。従来の3ⅮセキュアVer.1.0は、「本人確認に手間がかかる」「パスワードを忘れてしまう」といったデメリットから、商品をカートに入れたまま決済までに至らずに離脱してしまう「かご落ち」が頻繁に起こっていた。

3ⅮセキュアVer.2.0は、決済時に本人に認証手続きが求められるケースがほどんどない。そのため、かご落ちリスクを抑え決済までスムーズに進んでもらえるだろう。

<メリット3>チャージバックリスクの負担軽減


3つ目は、チャージバックリスクの負担軽減だ。チャージバックとは、不正利用や商品の破損などの理由から、利用者が決済に対して同意しない際、クレジットカード会社が売上を取り消して、利用者に返金する仕組みのこと。チャージバックになると、ECサイトでの売上を回収できなくなる他、売買を成立しているため、購入された商品が戻ってこないケースもある。

チャージバックによる損失を回避するためには、3ⅮセキュアVer.2.0の導入は必須と言える。万が一チャージバックが発生しても、3Ⅾセキュアで本人確認されていれば、補償が受けられ、サイト側が負担する事態を避けられる場合もあるからだ。


3Ⅾセキュアを導入する際の注意点

3Ⅾセキュアを自社サイトに取り入れる際は、いくつかの注意点を事前に把握しておく必要がある。注意点を理解し、スムーズな導入を目指していこう。

3Ⅾセキュアへのシステム対応


自社でパッケージを利用してECサイトを構築している場合、3Ⅾセキュアへのシステム対応が不可欠となる。3DセキュアVer.2.0はVer.1.0と仕様が異なるため、現状でVer.1.0を導入している場合においてもシステム改修が必要だ。3ⅮセキュアVer.2.0は、さまざまな機能があるため、導入にはサイト側の作業が発生するケースも考えられる。Ver.1.0の提供終了時期が迫っているため、早めの対応を検討しよう。

決済手段の確認


モール型のECサイトに出店している場合などは、決済サービスが用意されていることが一般的なため、提供されている決済サービスが3ⅮセキュアVer.2.0に対応しているのか確認しておこう。サービス内容によっては、3Dセキュアを利用するために追加の設定や料金が必要なケースも考えられる。料金システムやコストも考慮しておくことが重要だ。

個人情報保護法の対応


3ⅮセキュアVer.2.0は、リスクベースでの認証を実現するために、デバイス情報や利用者の属性情報などを活用する。サイト利用者からこれらの情報を取得するためには、個人情報保護法への対応が必要となる。個人情報取扱事業者として、自社サービス上で個人情報利用への同意を得るといった手続きが不可欠となるため注意しておこう。


まとめ

不正利用防止を目的に、決済時に利用者に行われる本人認証サービスを指す3Ⅾセキュア。従来の3Ⅾセキュアでは、離脱につながるといった課題から導入を避けていた事業者もいるだろう。一方で、3ⅮセキュアVer.2.0はメリットも多く、クレジットカード決済を安心して利用してもらうためには不可欠になっていくだろう。今後はさらに普及していく仕組みとして注目されるため、今回の内容を参考に導入を進めていこう。


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