GMOメイクショップが「MakeShop」をフルリニューアル 柔軟性・拡張性のあるシステムでユーザーへの負担はゼロに

ECのミカタ編集部

GMOインターネットグループのGMOメイクショップ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:向畑憲良)は15日、18周年記念イベント「MAKESHOP DAY」の中で、ECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」をフルリニューアルすると発表した。変化し続ける市場環境や多様化する顧客課題に迅速かつ柔軟に対応するためAmazon Web Services(AWS)を採用し、モダンアーキテクチャを取り入れる。APIも整備し、管理画面のデザインも刷新する。ユーザーのEC事業運営に支障がないよう段階的にリニューアルを進め、柔軟性・拡張性のあるシステムへと生まれ変わる。

トップランナーであるがゆえに蓄積した技術的負債

「MakeShop byGMO」は2004年からサービスを開始し、現在では国内11,000店舗以上で導入されている。2021年の年間流通額は2,749億円で、10年連続業界No.1を獲得。 “日本で一番売れるショッピングカートシステム”として、多くのEC事業者に選ばれている。

その一方で、自社EC構築の黎明期から長くサービスを提供してきたため、経年によりインフラなどに技術的負債が蓄積し、ショップからの要望をスピーディーにプロダクトに反映できなくなっていた。「ユーザー様からは『遅い』『古い』『管理画面がわかりづらい』などの声が寄せられ、ご迷惑をおかけすることもあった」(石井貴事業推進部部長)という。

そこで同社は2020年、「MakeShop byGMO」のシステムを抜本的に見直す「次世代EC開発プロジェクト」を始動させた。「ユーザー様に移行の負担をかけず、新しい仕組みを導入するにはどのような技術が必要か。今あるデータをどうするか。研究開発や人材採用、ロードマップの作成などにも時間をかけた」(同)。ベータ版を一部店舗に使ってもらい、事業者のリアルな声も取り入れた。

インフラ基盤を整備して管理画面も刷新

次世代EC開発プロジェクトでは、「MakeShop byGMO」をモダンで拡張性の高いシステムにフルリニューアルするため、以下の6項目を実行する。

【1】スケーラビリティのあるインフラ基盤へ刷新
これまで以上に安心・安全な環境を提供するため、インフラ基盤をAWSに移行する。高い拡張性とセキュリティレベルを担保しながら、安心してショップ運営に集中できる環境を提供する。SLA(サービス・レベル・アグリーメント=サービス品質保証)は99.9%を目指す。

【2】モダンアーキテクチャへ総入れ替え
変化を続ける市場環境や多様化する顧客課題に柔軟かつ迅速に対応するため、今後10年先を見据えて“心臓部”であるシステムアーキテクチャを入れ替える。これにより従来よりも多くの機能をスピーディーにデリバリーできるようになる。

【3】APIで自由に繋がり、広がる拡張性
現在でもさまざまなAPI機能が用意されているが、どのユーザーでも自由に利用できるよう公式に提供する。外部サービスと連携することでより高度なカスタマイズができるようになる。これに伴いAPI連携に関するサポートも充実させる。

【4】わかりやすい管理画面へリデザイン
商品管理や注文処理という毎日の運営業務をより効率的に行ってもらうため、直感的でわかりやすい管理画面に刷新する。UI/UXデザインに強い株式会社ベイジと協業で取り組む。

【5】美しく柔軟なフロントサイトを実現
時代の空気感を反映した回遊性の高いショップを構築するため、フロントデザインを自由にアレンジできる豊富なテンプレートを提供する。ファーストビューの見やすさや画面遷移しやすさにも配慮した。

【6】ユニークでトレンド感に満ちたアプリマーケット
ユーザーの抱える多種多様なニーズに応えるため、アプリストアを設ける。外部のパートナー企業とアプリ開発を進めることで、パートナー・ユーザー双方にメリットがある仕組みを提供する。

ユーザーに負担をかけない“テセウスの船”方式

リニューアルはギリシャ神話の『テセウスの船』のように進める。テセウスの船とは、物事を構成するパーツがすべて置き換えられても、それは入れ替わる前とまったく同じなのかどうかというパラドックスのひとつ。老朽化した船を補修するため、劣化した部品を少しずつ修理・交換していくと、やがて最初に使われていた部品はひとつもなくなり、まったく新しい船へと生まれ変わる様子を表している。

新生「MakeShop byGMO」もこのテセウスの船のように、インフラやアーキテクチャなどシステムを構成するパーツをひとつひとつ入れ替えながら、「気がついたらリニューアルされていた」状態を目指す。

リニューアルは2025年まで段階的に行うが、ユーザーの費用負担や業務負荷は一切ない。

向畑憲良社長は「見た目にはわからないが、中身のアーキテクチャや使用している言語などはすでに少しずつ変わりはじめている。ユーザー様がリニューアルを体感できるのは管理画面などのUIが刷新されるタイミングだろう」とコメント。「ある日を境に新しいシステムに一気に移行する方式だと、システム障害などでお客様のビジネスを一時的に止めてしまうリスクがある。プラットフォーマーとしてそれだけは絶対に避けなければならない。今回の“テセウスの船”方式”のリニューアルに関しては、当社の技術陣が総出でチャレンジしてくれている」と、成功への手応えを語った。

今後の展開については、15日に公開されたティザーサイト(https://www.makeshop.jp/main/lp/next_ec/)で発表する。また、10月26日~28日に幕張メッセで開催される展示会「第13回 Japan IT Week秋」にも出展し、リニューアルの詳細を紹介する予定だ。


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