日本酒ブームの影響か 地酒ネット販売、来年度にも規制緩和
世界的な日本酒ブーム
今、日本酒が盛り上がりを見せている。「和食」の無形文化遺産登録や、クールジャパン戦略、円安などの影響で、世界的な日本酒ブームが訪れている。
日本酒の輸出額は昨年100億円を突破し10年前の約2.7倍という規模に、2014年1〜6月期の輸出額も過去最高を記録した。昨年は、米国、英国、ドイツ、イタリア、スウェーデン、オーストラリア、中国、スイスなどでは日本酒に特化したイベントが行われ、販路開拓や認知度向上の取り組みが行われてきた。成田、羽田、中部、完成の国際空港の免税エリアでは、日本酒キャンペーンを開催し、PRブースには多くの外国人が訪れているという。中でも、オーストラリア、中国などへの日本酒輸出量は急増しているという。
発泡日本酒やノンアルコールの日本酒など、一風変わった新商品も登場し、女性を中心に若者にも日本酒の新しい楽しみ方が浸透しつつある。通販大手Amazonでは、Amazon限定商品として、純米大吟醸原酒を月桂冠と共同で開発し数量限定で販売開始するなど、国内でも日本酒ブームが本格化してきた。
しかし現在、酒の原料となる酒米が不足しているという問題がある。特に大吟醸など高級酒用の酒米が不足しており、昨年は発注の4割程度しか入らなかった蔵元もあったという。
酒米の最高峰と呼ばれる山田錦は、日米首脳会談でオバマ大統領への手土産に選ばれたことでも有名になった「獺祭」にも使用されている。7割以上が兵庫県産で、稲穂の背が高く倒れやすいため食用米と比較すると収穫量が少ない。昨年まで減反による生産調整により増やしたくても増やせない状況であったが、今年度から酒米の増産分は生産調整の対象から除外された。
しかし、生産者は現在のブームが一過性のものではないかという危惧もあり、急速に高まる需要に対応しきれていない状況だ。
そんな中、静岡県が開発を進める新酒の酒米は従来のものと比べ穂が多く収穫量が期待されている。そして、山口県もオリジナル酒米の予算を270万円アップし、生産拡大を支援しており全国各地でこの問題に対応しようとする動きが見える。
来年度に規制緩和へ
政府が来年度にもインターネットを使った酒類の小売り免許に関する規制を緩和することが3日分かった。とSankeiBizが報じた。地域の特産品を原料とする日本酒や焼酎、ワインなどの酒類の販路を拡大し、地域活性化や雇用の創出につなげる狙いがあるというものだ。
クールジャパン戦略の一環として、減反対象からも外され各地で増産と販路の拡大が本格化してきている世界的日本酒ブーム。2020年の東京オリンピック開催までには日本中の地酒を楽しめる環境の整備が整うことを祈りたい。
-編集部-