B2B EC牽引企業はCXでなにを意識している?【日本ライフレイ調査】

ECのミカタ編集部

大企業向けポータル製品ベンダーの日本ライフレイ株式会社は、調査レポート『B2B カスタマーエクスペリエンスベンチマークレポート』を無料公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

BtoBベンチマーク調査概要

[調査対象]
企業のB2B eコマースエクスペリエンスを担当するマネージャー以上の役職のeコマース担当者30名

[調査方法]
対面調査:回答者に、B2Bカスタマーエクスペリエンスの22要素を5段階で評価してもらった後、その要素をショッピングエクスペリエンス、カスタマーサービス、テクノロジーの3つのカテゴリーに分類。その後何人かの回答者に個別にフォローアップ質問をして、回答の具体的な理由を質問。

CX専任部署なし

CX専任部署なし

B2B ECでは、各部署がそれぞれのエクスペリエンスの一翼を担っていると回答がほとんどを占めたものの、エクスペリエンスの責任を負っているという部署はなかった。

BtoB CXの10要素(重要度順)

BtoB CXの10要素(重要度順)

▶レスポンシブモバイルサイト

▶オンライン取引(カスタマーセルフサービス)

▶閲覧可能な注文履歴

▶パーソナライズされたおすすめ機能

▶電話サポート

▶専任アカウントマネージャーまたはカスタマーサービス担当者(CSR)

▶購入前の商品説明

▶リアルタイムオーダートラッキングと配送状況

▶「よく一緒に購入されている」商品のおすすめ

▶ライブチャット

「顧客は、自分が何を買ったのか、そしてその注文品は今どこにあるのかを知りたがっている。顧客がこうした情報を確認できることが最優先事項だ」という回答もあった。また、電話サポートや専任のサービス担当者などの要素が上位にランクインしていることから、従来の販売・サービスチャネルがB2B ECエクスペリエンスにおいても重要な役割を果たしていることがわかったとしている。

BtoB CXにおける優先度が低い要素

BtoB CXにおける優先度が低い要素

▶AR またはVR エクスペリエンス

▶チャットボット

▶ショッピングエクスペリエンス

上記3つの要素は、B2Bではあまり注目されていないが、B2Cでは人気のトレンドだ。B2CのようなエクスペリエンスをB2Bで展開することを重要視する見方もあるが、B2Bにおいて最も重要な要素は、注文のしやすさと透明性であると言えるとしている。同社は、このようにB2Bチャネルでは成功しないB2C戦略は数多くあると分析している。

BtoBエクスペリエンスにおける重要要素

◆BtoB購買エクスペリエンスにおける重要要素

▷閲覧可能な注文履歴

▷パーソナライズされたおすすめ機能

▷購入前の商品説明

単独で見た場合、購買エクスペリエンスの要素は、再注文や商品レビューなどの購入後のエクスペリエンスよりも、おすすめ機能や商品説明などの購入前のエクスペリエンス要素の比重が大きくなっていた。

◆BtoBカスタマーサービスにおける重要要素

▷カスタマーセルフサービス

▷電話サポート

▷専任アカウントマネージャーもしくはCSR

カスタマーサービスの要素は、多くの購入前要素と同様に高いか、その要素に次ぐ評価となっていた。B2Bにおいては、オンラインのセルフサービス要素よりも、購入後にCSRが提供するサービスの方が高く評価されていることを示している。

◆BtoB・eコマース業界のシステム構築における重要要素

テクノロジーのカテゴリーで傾向として目立つのは、レスポンシブモバイルサイトのみだ。多くの回答者は、AR・VRや音声検索などの新興テクノロジーやチャネルに興味はあるものの、他に優先しなければならないことが多いため、導入検討は数年先になると回答している。

サマリー

調査の結果、以下のことが明らかとなった。

▶各部署がB2Bカスタマーエクスペリエンスの一翼を担っている。

▶セルフサービスエクスペリエンスとパーソナルインタラクションは等しく重要である。

▶新興テクノロジーの動向は興味深いが、当面の優先事項ではない。

同社も述べているが、B2Bのカスタマーエクスペリエンスでは、一般的なセルフサービス機能やB2C で重要視されている項目においては、顧客が期待する基準を既に満たしている。しかし、こうした要素の中では、バイヤーによっては多少異なる指向を持っている可能性もありそうだ。

商品レビューに価値を見いだせない人もいれば、購入の意思決定に欠かせないと感じる人もいるかもしれない。同業者がカスタマーエクスペリエンスの構成要素について、何が重要であると考えているか理解することで、自社が行動する際の指針を決定することが可能となるだろう。

今後、自社が提供しているB2Bエクスペリエンスを見直す際は、顧客からのフィードバックを必ず確認し、的確なエクスペリエンスを作り上げ、自社のビジネス価値を創造していくことが重要ともなりそうだ。

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