出荷管理とは?業務内容やシステム導入で作業効率をアップさせる方法を解説!
現在のアナログな業務フローを見直して、出荷管理をもっと効率化したいとお考えではありませんか?物流業務における出荷管理は、売上げに関わる重要な作業です。受注から商品が発送されるまでの細かな過程の中で、納品ミスが起これば取引先からの信頼も失いかねません。そこで今回は、物流業務には欠かせない出荷管理の目的や、業務効率を上げるポイントについて解説していきます。
出荷管理とは?
出荷管理とは、受注した商品をスムーズに取引先へ届けるために必要な管理業務のことを言います。出荷管理を怠ると、指定された納期までに商品が届かないことや、発送先を間違えるなどのミスが起こり、企業としての信用問題にも繋がる重要な業務です。
このようにミスなく正確に出荷するためには、受注処理や必要書類の作成方法などを仕組み化することで、出荷ミスを軽減することに繋がります。正確に出荷管理ができていれば、万が一ミスが起こっても、どの過程で起こったミスなのか明確になるため、素早く改善することも可能です。また、仕組み化してルールを構築するだけでなく、そのルールを遵守して運用していく体制を整えることも重要となります。
出荷管理の業務内容
出荷管理の業務は、大きく分けて2つあります。1つ目は「出荷までの準備を管理する業務」、2つ目は「正確に出荷が行われたか記録する業務」です。上記を踏まえて、具体的な業務内容について解説していきます。
出荷指示書の作成
出荷指示書とは、受注伝票を基に作成される書類で出荷する商品の種類(品目・型番)や個数、単価、納期を記載していく書類です。倉庫の在庫担当者は、この出荷指示書に基づいて出荷準備を行っていきます。そのため、出荷までに準備がかかる商品や、納期が早い商品は、先に出荷指示書を渡しておくとスムーズです。
出荷準備
出荷業務の担当者は、出荷指示書の内容を元に、決められた納期に間に合うよう出荷準備を進めていきます。梱包作業も行うため、どの梱包資材を使用すれば輸送中の破損を防げるかという荷姿も考えながら作業しなければなりません。商品によっては、取引先から梱包方法に指定がある場合もあるため、出荷指示書に書かれている内容をしっかり確認する必要があります。
梱包が完了したら、続いては配送の手配です。外部に配送を依頼している場合は、納品日から逆算して受け渡し日を調整します。年末年始や季節イベントがある場合は、配送業者が混雑することが予想されますので、早めに手配を行うようにしましょう。
必要書類の作成
出荷準備には、納品書・納品書の控え・受領書・領収書の4点の書類が必要です。必要書類の特徴は以下を参考にしてください。
納品書
納品書とは、商品の詳細や数量、単価、発送日、発送先の住所が書かれた書類で、商品と一緒に納入します。注文通りに商品が手元に届いているかを確認することが目的で、取引が行われたことを証明する書類です。納品書があることで、顧客は「注文した商品が全て届いた」という安心感を得ることができます。
納品書の控え
納品書の控えとは、自社で保管することを目的としており、商品と一緒に納入してしまう納品書と全く同じ内容で控えを作成します。納品書の保管には期間が定められており、原則として7年間の保管が義務付けられているのが特徴です。
受領書
受領書とは、問題なく取引先が商品を受け取ったことを証明する書類です。身近なところで例を挙げると、宅配便が来た際に押印している紙が受領書にあたります。
また、営業担当者が取引先へ出向き、直接商品を届ける場合もあり、その際は、納品書と一緒に受領書も渡し、サインを貰って自社へ持ち帰るという流れです。さらに、受領書を納品書控えとして代用することもありますが、基本的には「商品の詳細」が記載されている書類が納品書、「確かに受け取った」ことを証明する書類が受領書という違いがあります。
領収書
領収書とは、商品の代金を受け取ったことを証明する書類です。支払い金額が5万円以上になると、支払い金額に応じて収入印紙が必要となるので、印紙が貼られているか確認しましょう。また、領収書は会社法で10年間保管するよう定められている重要な書類ですので、領収書の保管方法については注意してください。
出荷・納品作業
必要書類と商品の準備ができたら、次は出荷・納品作業です。出荷指示書に従って、実際に商品を納品するまでの作業を行っていきます。一口に出荷業務と言っても、商品の保管場所の違いや、商品によって担当する部署が違うことがあるため、各部署と倉庫担当者との連携は非常に重要です。出荷までの工程は大きく3つに分けられます。
検品梱包
納品する商品を段ボールなどに梱包する作業です。その際に、商品に欠品や不具合がないか、食品の場合は腐っていないかなどを確認し、輸送するための梱包を行います。
ピッキング
指定された商品を倉庫から取り出す作業をピッキングと言い、フォークリフトを使用してピックアップする場合もあります。
積み込み
最後は、ピッキングした商品をトラックに積み込む作業を行います。積み込む際は、商品の破損に注意しながら、丁寧に積み込み作業を行っていきます。
売上伝票の作成
売上伝票は、納品書の控えや受領書に基づいて作成し、必ず、売上日、出荷番号、商品名、金額や数量、納品先などを記入します。売上伝票を作成すれば、書類上の売上処理は完了です。経理担当者に納品の控えや、その他種類を一式引き渡し、紛失しないよう管理してもらいましょう。
取引の記帳
経理担当者は、売上伝票と受領書を元に、売上を「仕訳」として記帳する必要があります。「仕訳」とは、取引先との日々のやり取りを帳簿に記録する作業で、この仕訳を行っていなければ「決算書」を作成することができない重要な作業です。また、取引先が商品の代金を「振り込み」で支払う場合は、「売掛金」として記帳する必要があります。
出荷管理が重要な理由とは?
正確に売上計上をするため
出荷管理を行うことは、正確に売上を計上することに繋がるため、精度の高い経営戦略を立てやすくなります。次年度の達成予算や、事業コストを割り出す場合の多くは、現状の売上を鑑みて売上予測を立てていくのが一般的です。そのため、現時点での売上を正確に把握することで、正しい数字で売上分析を行うことができるため重要となります。
生産性の低下を阻止するため
生産性を低下させる理由の1つに、在庫管理のミスが挙げられます。曖昧な数字での在庫管理は、欠品や余剰在庫を引き起こし機会損失に直結します。
また、キャンセルや注文の取り消しがあった場合も、その情報が共有されていなければ、無駄な在庫が発生するとともに、ミスをカバーするためのスタッフも必要です。情報が一元化されていないことで、無駄な労力やコストが生まれてしまい、生産性がますます低下して行く可能性も考えられます。こうした無駄を削減するためにも、日々の出荷管理が大切となってくるのです。
スムーズに顧客対応するため
正確に出荷管理することで、顧客から商品の注文状況や納期について質問があった際でも、スムーズに答えることができます。その際は、取引先との窓口となる営業部門との連携も重要です。顧客からの問い合わせに対して、営業担当者が迅速に対応できる体制を整えることで、機会損失を防ぐだけでなく、企業としての信用も確保することに繋がります。
出荷管理で頻繁に起こる3つの問題とは?
出荷までスムーズな取引を行うために必要となる出荷管理ですが、アナログな手法での管理業務は、工数がかかってしまうことも多く、生産性の低下を引き起こします。続いては、出荷管理を行う際に起こりやすい、3つの問題点について解説していきます。
注文の追加・キャンセル対応
物流業務において追加注文や、注文の取り消しなど、受注内容が変わることは多々あります。出荷するまでには、複数の部署が連携して作業を行っていることも多く、注文確定後のデータ変更が社内で情報共有されにくいということが課題です。情報共有が上手くいかなければ、結果として無駄な作業や納品ミス、販売機会の損失となる可能性が生じてしまいます。イレギュラーな作業に対して、いかに迅速に情報を共有することができるかが重要になります。
倉庫内のルールが曖昧
倉庫内の混雑により在庫管理を特定の担当者だけに頼っていたり、商品の収納場所がルール化されていないなどの問題が多く挙げられます。まずは、倉庫内の整理整頓を行い、口頭での指示が日常化している場合はすぐに改善が必要です。改善方法としては、商品や倉庫内で使用する機器の置き場所を明確にし、必ず同じ場所に返却するようルールを決めたり、棚に入りきらない商品の保管スペースを予め確保しておくなどの対策を行いましょう。
また、特定の担当者がいなければ、商品の保管場所が分からないというような状況も危険です。情報共有を徹底し、作業しやすい環境づくりから、効率化を進めていきましょう。
連携不足による出荷待ち
物流システムとの連携が取れていないことで、商品の準備は整っているものの、輸配送計画が立てられないというケースがあります。輸配送計画とは、取引先から要求された数量や品質で輸送できるように計画をすることです。つまり、出荷には在庫管理だけでなく、物流システムとのスムーズな連携が必要で、連携が上手くいかなければ商品の引き渡しが遅れてしまいます。
出荷管理を効率よく行うポイント
出荷管理を効率的に行うことは、出荷ミスや遅延を防ぐことに繋がります。業務フローの改善には、以下のポイントを参考にしてみてください。
自社の課題を明確にし把握する
まずは、倉庫内の作業に関わっている関係者全員で、自社の問題点を洗い出し把握することが大切です。その際には、「梱包」「検品」「ピッキング」「積み込み」の作業工程別に、どのような手順でどれくらいの時間を要しているかを記録します。全ての報告内容をデータに取りまとめ、管理者は「作業量」「時間」「人数」から業務に最適なバランスを算出し、作業量とそれにかかる時間を把握することで、何が課題なのかを見つけることができます。課題を把握した後は、時間を短縮できる作業を見つけていきましょう。例えば、倉庫内の整理整頓がされているか、作業動線に頻繁に使用する機材が揃っているかなどです。作業の効率化と聞くと、マテハン機器などのシステム導入をイメージする方も多いですが、台車の置き場所を変えるだけでも作業スピードの向上に繋がります。
運用ルールを決める
倉庫の担当者が個々のやり方で作業を進めることは、作業にムラが出てしまい全体の効率を下げる原因となってしまいます。そのため、作業マニュアルを作成し、運用ルールを統一しましょう。マニュアル化することで、社員だけでなくアルバイトや派遣社員でも、安定したレベル感で作業が行えるようになるため、繁忙期の人員配置も行いやすくなります。
また、業務の属人化を解消することで、商品の収納場所や作業のやり方が分からない、というブラックボックス化した状態から脱することに繋がります。
エクセルでの手入力を廃止しシステムを導入する
現在、エクセルを使用して在庫管理を行っている担当者も多いのではないでしょうか。エクセルで在庫管理を行うメリットとして挙げられるのは、「誰でも簡単に入力作業ができる」「紙と比較しやすい」「低コスト」などです。
一方で、取り扱う商品が多ければ、それだけエクセルに入力する項目も多くなります。エクセルでの膨大なデータ管理は、それだけ担当者の負担になるため、入力ミスなどの管理上のトラブルを引き起こすリスクを高めます。エクセルから在庫管理システムを導入することで、ヒューマンエラーなどの入力ミスを軽減できると共に、リアルタイムで在庫を可視化できるため、余剰発注や欠品の防止にも繋がります。
また、在庫を効率的に管理することで、無駄な保管場所を無くし、それを管理する人件費も最適化することができます。業務の最適化を行うには、自社に合ったシステムを導入することがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
出荷管理の業務内容や効率よく業務を行うポイントについて解説しました。正確な出荷管理は、売上や次年度の経営戦略を立てる上で非常に重要な作業です。まずは、倉庫の責任者が、現場スタッフの声を聞き、課題や改善点を見つけていくところからはじめましょう。
その後は、作業マニュアルを作成し、必要に応じてシステムの導入も検討した上で、出荷管理の運用を行っていくことがおすすめです。ぜひ、この機会に業務フローを見直して作業の効率化を進めていきましょう。