Zホールディングスが2022年第2四半期決算を公表 売上収益が第2四半期として過去最高の3,943億円を達成

ECのミカタ編集部

Zホールディングス株式会社は、2022年11月2日、最新となる「2022年第2四半期決算」について公表した。10月12日にスタートした新生「Yahoo!ショッピング」の現状をはじめ、LINE公式アカウントの事業進捗など、ECとの関連事業の状況について説明された。ここでは同決算の概要について、ECとの関連ポイントに絞ってお伝えする。

決算概況

決算概況

第2四半期の全社売上高は、3,943億円(前年度比4.4%増)と伸長し、厳しいマクロ環境下にありながら、第2四半期としては過去最高の売上収益を達成した。広告などを扱うメディアセグメントは、LINEの広告売上収益が486億円(前年度比5.3%増)、ヤフーの広告売上収益が965億円(前年度比2.9%増)となった。またeコマース取扱高も、10,262億円(前年度比13.5%増)と拡大している。

市況環境を踏まえたプロダクト別の取り組み

市況環境を踏まえたプロダクト別の取り組み

メディアセグメントにおいては、広告市場のデジタル化が着実に進むものの、広告種類により状況が異なっている。ディスプレイ広告では、マクロ・景況感の影響が継続し、減退した。一方で、Zホールディングスの特異性であるアカウント広告と検索広告では、市況の影響を受けにくく、プロダクトの強みを発揮し、成長した。

市況環境の変化を踏まえた今後の取り組みとして、まずディスプレイ広告では、環境変化に対する打ち手として、成長分野である動画広告やアプリ広告向けの対策を強化する。一方アカウント広告は、厳しい環境下にありながら、2ケタ成長を続けているが、料金プランの見直しやCRM機能の拡充、営業力強化により、さらなる成長を目指す。さらに検索広告では、検索結果の充実化や情報の拡充といったプロダクト強化を加速させる。

LINE公式アカウント

LINE公式アカウント

顧客とのコミュニケーションインフラとして浸透が進むにつれ、LINEでは公式アカウントの利用が広がっており、有償アカウント数も順調に拡大している。今後もZホールディングスグループの豊富なタッチポイントを最大限活用することに加え、プロダクトや営業力の強化、マネタイズの拡充により公式アカウントの利用拡大に向けた施策を実行する。

商品力強化としては、公式アカウントの利用履歴やファースト・サードパーティデータに基づく解像度の高い顧客情報の提供、メッセージ配信機能の強化による効果の最大化を図る。

マネタイズの拡大では、「LINEで予約」などの公式アカウント関連アクションの最大化によるマネタイズソリューションの提供のほか、料金プランの見直しによる有償化率、顧客単価の向上を目指す。

さらに営業力強化では、Zホールディングスやソフトバンクの営業網を活用し、SMB領域の顧客拡大を図るほか、PayPay・ヤフー間のプロダクト連携強化を進める。


eコマースの事業概況

eコマースの事業概況

eコマース取扱高の実績です。eコマース全体では1兆262億円(前年度比13.5%増)と引き続き2桁成長を達成。また経済再開によりトラベル事業が好調に推移しており、国内サービス系ECは1,600億円(前年度比41.1%増)となっている。

経済再開による影響は比較的限定的だったなか、ショッピング事業、リユース事業ともに前年度比で8.7%から8.8%増加と堅調に成長した。国内物販取扱高全体では、その他物販に含めていた「おうちダイレクトサービス」のクローズに伴い、7.0%増加となった。

新生「Yahoo!ショッピング」の進捗

新生「Yahoo!ショッピング」の進捗

10月12日にヤフーショッピングとPaypayモールが統合、新生「Yahoo!ショッピング」がスタートした。加盟店のプロモーションパッケージプランの申し込みは好調で、有料オプション加入する取扱高に占める割合は統合前と比較して30%以上拡大した。有料配送ストアの拡大策も順調に進み、売り場統合後の有料配送比率は、前年度比の2倍となった。また売り場統合に伴って販促施策もシンプル化し、普段使いされるメインECとしての認知度向上を図る。スムーズな売り場統合を進められたため、取扱高は堅調に推移。今後は、ベースキャンペーンを再構築することで、よりシンプルでわかりやすいモールであることを訴求していく。

Yahoo!ショッピングの投資方針

Yahoo!ショッピングの投資方針

コマース事業の投資方針としては、売り場統合を経て、モール型ECはユーザーの定着率やLTVを重視し、取扱高の安定的な成長を目指す。これまで取扱高拡大は販促施策が中心で、固定的に付与するポイントの効率化に取り組んできた。今後は、新規顧客獲得から継続利用、定着を重視し、効率のいいポイント施策を実行する。また、売り場統合に伴い、効率的なプロダクトの改善を図り、販促費のさらなる効率化を進める。投資方針を見直すことで、取扱高に占める販促費を効率化しながら安定的に成長できる売り場作りを目指していく。

LINEのソーシャルコマースへの投資

LINEの「友だち」に対してプレゼントを送ることができる「LINEギフト」では、将来を見据えた開発と投資を実施する。現状としてすでに、シーズナルイベントでの利用も順調に伸びており、オンラインギフトの定着が進展している。
また取扱高が大きく拡大しているコスメ関連商品などを中心に商品拡充を進める。新たな政策としては、LINEギフトとヤフーショッピングの注文データを連携し、商品数を拡充することで、取扱高の拡大を図る。

LINEにおける海外ECの状況

LINEにおける海外ECの状況

海外ECの現状としては、注力市場である台湾とタイのEC市場が引き続き成長。LINEのEC取扱高も拡大している。マクロ環境の変化を受け、投資比率を意識しながらプロダクトの本質的な改善を行い、収益性の向上を図る。コミュニケーションプラットフォームとソーシャルグラフを活用したユニークでシームレスなECサービスを提供するほか、投資規律を高め、プロダクト改善に注力し、本質的な成長を目指す。

2022年度連結業績ガイダンス修正

2022年度連結業績ガイダンス修正

売上収益は、広告需要の減退により、主にディスプレイ広告の減収が見込まれる。希少ガイダンスにはもう盛り込まれていなかったPayPay連結化が増収要因となる見通し。調整後EBITDAはPaypay連結化とディスプレイ広告の減収が減益要因となるが、これを吸収するために全社的にコスト最適化を実行し、より筋肉質な経営への転換を目指す。その結果、通期全社売上収益と調整後EBITDAは、期初ガイダンスを維持している。今後もマクロ環境や市場動向を注視し、収益性の向上を意識しながらガイダンスの達成を目指していく。

市況環境の激しい変化と不透明な先行きのなかでも、堅実な成長がうかがえる内容だった。ECとの関連性が高い同社の動向には、今後も注目したい。


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