ZOZOが初の実店舗開店へ 体験型のパーソナルスタイリングを提供

ECのミカタ編集部

左からサーヤ(ラランド)、代表取締役社長兼CEOの澤田宏太郎氏、ニシダ(ラランド)

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZO(本社:千葉県千葉市 代表取締役社長兼CEO:澤田宏太郎 以下『ZOZO』)は、ZOZO初の常設実店舗となる「niaulab by ZOZO」(以下「ニアウラボ」)を2022年12月16日に東京・表参道にオープンする。それに先駆けて11月9日に青山のスパイラルホールにてサービス発表記者会見とデモンストレーションを実施。澤田社長、CDO室本部長の大久保真登氏、スタイリストの濱本愛弓氏、スペシャルゲストのラランドが登壇した。

「似合う」を届けることにビジネスの価値がある

ZOZOではニアウラボ の立ち上げにあたって、ファッションに関する意識調査(※)を実施。それによると、ファッションアイテムの購入や着回しを考える際に悩みがある、と回答した人の割合が82%にのぼることが明らかになった。

具体的な悩みとしては、「ファッションが無難になる」「似合うファッションがわからない」「新しいファッションにチャレンジする勇気がない」といった声が多く見受けられた。さらにファッションにおいて重視する点には「自分に似合うこと」と答える人が最も多く、突出して高いことがわかった。

ZOZOは今年創業25年目を迎え、経営戦略に「ワクワクできる『似合う』を届ける」を新たに追加。ニアウラボのオープンは、こうした経営戦略の柱と位置づける。ZOZO CEOの澤田氏は、意識調査からファッションの現状が抱える不満に対してZOZOとして解消すべく、ニアウラボのオープンに至ったと話す。そのうえで澤田氏は「商品ではなく『似合う』を届けることにビジネスの価値がある」と語った。

(※)期間:22年9月6日〜8日/ZOZOTOWNユーザーを対象にアンケート

個々人に「似合う」スタイリングを無料提供

個々人に「似合う」スタイリングを無料提供店舗イメージ画像

ニアウラボはZOZOとして初となる常設の実店舗。商品の販売は行わず、顧客の「似合う」スタイリングを見つける完全予約制の体験型店舗となっている。「試着室に飛び込む」をコンセプトにした店内には、カーテンで仕切られた部屋が用意されており、広めの試着室のような雰囲気となっている。

ここで提供されるのは「超パーソナルスタイリングサービス」。利用客はまずLINEからサイトにアクセス、利用申し込みをする。スタイリングの好みや着こなしの悩みなど、ファッションにまつわるアンケートに回答。するとAIが3つのスタイリングを提案してくれる。当日はそのスタイリングとアンケートの情報から、プロのスタイリストが利用客一人ひとりに「似合う」スタイリングを探していく。スタイリングが決まるとヘアメイクを施し、フォトグラファーが撮影し、スタイリングのポイントが書かれたカードと画像を提供してくれる。

「似合う」スタイリングの提供にはネットはまだ不完全

「似合う」スタイリングの提供にはネットはまだ不完全代表取締役社長兼CEO 澤田宏太郎氏

ニアウラボ最大の特徴は、商品の販売を一切せず、パーソナルな体験を無料で提供している点にある。アパレル店舗では、販売員と話すことで、商品の購入を迫られるように感じる人もいるため、利用客が自分自身の「似合う」に向き合う機会が少ない。だがニアウラボでは商品の紹介はあるものの、店舗での購入はできないため、利用客が純粋に自身の「似合う」に向き合うことができる。

また実店舗出店に至った背景として、パーソナルな「似合う」スタイリングを提供するためには、個々人のスタイルや内面性などを踏まえた上で初めてわかる情報が多く「まだネットの世界では完結できない」という見解を澤田氏は示した。

独自開発のAIを駆使し既存サービスの展開などを模索

独自開発のAIを駆使し既存サービスの展開などを模索(左から)大久保氏、濱本氏、ラランドによるパーソナルスタイリングのデモンストレーションの様子

スタイリングをサポートするAIは、ZOZOの研究所が独自開発したもの。ZOZOが提供するファッションコーディネートアプリ「WEAR」に寄せられた約1300万件のデータを活用。利用客への事前アンケートの回答結果と照合し、利用客の好みに合うコーディネートを提案する。

ZOZO研究所では、「似合う」の研究を実践しており、AIにもその結果が活用されている。澤田氏は、同サービスで得られた知見を「ZOZOTOWN」や「WEAR」といった既存のサービス運営に活用するほか、「似合う」研究でセオリーが見つかった先には、AIによる無人店舗の構想もあると語った。

ZOZOの経営戦略では「MORE FASHION × FASHION TECH」を掲げており、今後もファッションとテクノロジーとの連携を強めていきたい考えだ。ZOZOのリテール展開の動向には注目したい。


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