マーチャンダイジングとは?重要性や手法、ECサイトで行うポイントを紹介
マーチャンダイジングとは、「商品化計画」と訳され、商品を消費者へ適切に届けるための戦略を指す。店舗づくりをする上での根本となるため、重要な戦略の一つだ。今回の記事では、マーチャンダイジングの概要や重要性、種類と合わせて、ECサイトで行う際のポイントを紹介する。
目次
●マーチャンダイジングとは
●マーチャンダイジングの重要性
●マーチャンダイジングにおける5つの「適正」
●マーチャンダイジングの種類
●ECサイトにおけるマーチャンダイジングとは
●まとめ
マーチャンダイジングとは
マーチャンダイジングとは、消費者に商品やサービスを適切に届けるための戦略のことだ。「商品化計画」や「商品政策」と訳され、仕入れから販売、販促活動の各プロセスにおける戦略的活動全般が該当する。主に、小売業界では類似商品を扱うことが多いため、店舗経営をする上で欠かせない手法といえる。
マーケティングとの違いは
マーチャンダイジングと混同しやすいのが、「マーケティング」だ。マーケティングは「商品やサービスをより多く販売するための戦略計画」なのに対し、マーチャンダイジングは「マーケティングを小売業・流通業向けに専門的にさせたもの」である。マーケティングはマーチャンダイジングより広い概念で使われる、全業界共通用語といえるだろう。
マーチャンダイジングの重要性
マーチャンダイジングという概念や表現方法は抽象的だが、「根本的な店づくりへの取り組み方」ととらえられる。マーチャンダイジングがうまく機能しないと、品揃えとマーケティング計画のミスマッチが起こるなど、販売促進を行っているにもかかわらず、ターゲット層に響かない状況が生まれることも考えられる。
例えば、他店舗と同様の商品を販売する場合、商品を購入してもらうには他店との差別化を図ることが大切だ。その際、商品の価格や品揃え、売り場などを消費者の立場になって考える取り組みを行うことが、消費者の商品購入につながる。このように、マーチャンダイジングは店舗経営を行う上で重要な要素といえる。
マーチャンダイジングにおける5つの「適正」
マーチャンダイジングを行うには、次に挙げる「5つの適正」が重要だといわれている。
(1)適正な商品
求められる機能や価値、品揃えになっているかを消費者の視点で考える。
(2)適正な時期
商品やサービスごとの需要を考慮し、仕入れと販売の時期を考える。
(3)適正な場所
消費者が買い物をする導線を踏まえ、陳列する場所や配置を考える。
(4)適正な数量
在庫の不足・過多とならないよう、適正量を考える。
(5)適正な価格
競合と比較しながら、価値と利益を踏まえた価格を考える。
マーチャンダイジングでは、それぞれの目線で適切な戦略を立てられているかを確認することがポイントだ。
マーチャンダイジングの種類
マーチャンダイジングの種類を詳しく見てみよう。
ビジュアル・マーチャンダイジング
ビジュアル・マーチャンダイジングとは、「視覚に訴える手法」だ。例えば、着用イメージが湧きやすいマネキンや、商品の詳細をわかりやすく記したポップを設置するなどの手法がある。
ビジュアル・マーチャンダイジングは、消費者の購買意欲が増すようなディスプレイを作成することが重要だ。商品が「目に入りやすい」「手に取りやすい」ことで、購入につながる。他店舗との差別化がわかりやすく伝えられる手法で、自社の独自性を主張できるだろう。
クロス・マーチャンダイジング
クロス・マーチャンダイジングとは、「異なる種類の商品を並べる手法」を指す。例えば、酒類の陳列棚におつまみを設置したり、冬の始まりにかぜ薬やマスク、のど飴を同じ売場で販売したりする配置だ。
クロス・マーチャンダイジングは、メインとなる商品と異なるカテゴリーの商品を置くことで、消費者の買い忘れ防止や予定外の商品購入につなげるねらいがある。また、関連商品を近くに配置することで、消費者が商品を探す手間を省くことが可能だ。その結果、買い物という体験の利便性を高め、リピーターの獲得にもつながる。
クロス・マーチャンダイジングを適切に行うには、販売時点情報である販売時点情報(POSデータ)や購買行動の分析が必要だ。消費者の店舗の回り方を調査すると、売り場環境を整えやすくなるだろう。
ライフスタイル・マーチャンダイジング
ライフスタイル・マーチャンダイジングとは、「商品のジャンルではなく、ライフスタイルを想定する手法」のことだ。例えば、サステナブルな暮らしをしたいと考えている消費者をターゲットに、オーガニック・無添加な食品や飲料、生活雑貨などを集めたコーナーを設置するといった方法が考えられる。ターゲットのライフスタイルからテーマを導き出し、消費者のニーズに合わせた商品を展開することで、リピーターの獲得にもつながるだろう。
他にも、さまざまなジャンルの商品を販売する「スクランブルド・マーチャンダイジング」や、季節的な気候や天気予報に合わせて売場づくりをする「ウェザー・マーチャンダイジング」などがある。さまざまな手法でマーチャンダイジングを考えることで、消費者の購買意欲の促進につながるだろう。
ECサイトにおけるマーチャンダイジングとは
実店舗を持たないEC企業では、消費者に「商品を見つけてもらう」ことが大切だ。EC企業でマーチャンダイジングを行うには、5つの適正のほかに、どのような考慮が必要となるかを紹介する。
適正なサイト選択
はじめに、商品のターゲットに合ったサイトを選択しよう。ECサイトは大きく分けて「他店舗が集まるモール型EC」か、「自社のみで運営する単独型EC(自社EC)」の2種だ。しかし、いずれの型にも出店できる企業は多数存在する。サイトによって訪問客の層は異なるため、自社商品のターゲットを踏まえたサイトへの掲載が重要となる。
適正なカテゴリー分類
ネット上で販売される商品は数多くあるため、欲しい商品がある場合は検索をかけるだろう。カテゴリーを決める際は、「商品の見つけやすさ」と「どのような切り口で商品を提案したいか」など、消費者と企業側の両視点で考えたい。
また、同じページ内に関連商品を掲載することで、他商品の同時購入にもつながりやすくなるだろう。
適正な文章
商品説明として載せる文章には、検索でヒットされやすい言葉を用いることが重要だ。商品に関する情報をできる限り多く盛り込むことで、ヒット率は高くなるといえる。「かっこいい、かわいい」など見た目のジャンルのみならず、大きさや色、素材など、商品の端的な特長を入れることで、見つけやすくなるだろう。
適正な宣伝
昨今、自社SNSの運用や広告での宣伝など、宣伝方法にSNSを利用する人が増えている。SNSを用いて情報収集する人も多いため、興味を引くような写真や動画の掲載やサイト自体の雰囲気などのビジュアル・マーチャンダイジングも重要だ。
また、「インフルエンサー・マーケティング」も増加している。企業が有名人やインフルエンサーにPRを依頼して、個人のページで紹介してもらう仕組みだ。消費者の目に触れる機会が増えることで、「人気のある商品」と位置づけられるため、より商品購入につながりやすくなるだろう。
まとめ
マーチャンダイジングとは、消費者に適切な商品を届けるための戦略であり、店舗運営する上で重要となる根本的な考え方のことだ。ビジュアル・マーチャンダイジングやクロス・マーチャンダイジングなど、さまざまな種類を持つ。自社商品を的確に販売するため、「5つの適正」やECサイトにおけるマーチャンダイジングを参考に、販売方法を考えてみてはいかがだろうか。