進むオムニチャネル購入、アドビが最新消費動向レポートを公表
アドビ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:神谷 知信、以下「アドビ」または「同社」)は、小売と銀行分野における商品やサービスの購買動向に関する調査結果「Adobe Digital Survey消費者動向調査2022を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
▷レポート名:「Adobe Digital Survey消費者動向調査2022」
▷調査名:商品購入と銀行サービス利用における消費者動向調査
▷有効回答数:リテール調査 2, 472 サンプル、銀行調査 1,236 サンプル
▷調査期間:2022年8月16日~18日
▷調査実施:アドビ株式会社が株式会社マクロミルに委託して実施
現物を見ながら買い物したい消費者が55.3%
5年前の調査と比較して、商品購入前にWeb/SNSで情報収集をする消費者が増え、マスメディアは大幅に下がる結果となった(「購入までに見聞きした媒体」としてWeb/SNSは5年前と比較して洋服10%増、家具6%増、家電6%増)。
また、5年前と比較して店舗で商品を見ながら「その場で商品のメーカーサイトを見た」人が3.7%増、「その場で商品に関する口コミサイトやSNSを見た」人が1.8%増、「その場で商品に関する他のWebサイトを見た」人が1.6%増と増加傾向にあった。
さらに、購入までに見聞きした媒体は特に若年層において「YouTubeなどの動画サイト」「フリマアプリ」「Instagram、TwitterなどのSNS」が上位を占めており、マスメディア、DM/カタログといった企業からの一方通行のコミュニケーション以外のチャネルを通じた情報収集が主流になっていることがわかった。
その反面、「メーカーのホームページ」は5年前と比較して2.43%増えており、SNSをきっかけに企業のWebサイトが情報収集の場として利用されていることが伺える。
オムニチャネル化が加速
5年前の調査と比較して、「Web認知からWeb購入」(7.9 %増)の増加率が高くなった一方、家具を筆頭に「Web認知から店舗購入」(3.1%増)も増えていた。また、「店舗認知からWeb購入」(0.8%増)も増加しており、初期認知から購入においてオンラインと店舗両方のチャネルを活用して購買するオムニチャネル化が加速していることが明らかとなった。
次に、商品購入をより快適にしてくれるサービスを聞いたところ、店舗では「3Dで商品が確認できる」(23%)が最も高く、次いで「店舗での購入をベースにオンラインで商品をおすすめしてくれる」(21%)といったオンラインと店舗を横断したサービスが挙げられた。
コロナ禍の米国で利用が拡大したBOPIS(Buy Online Pick-up In-Store:オンラインで購入して店舗で受け取り)やオンライン注文した商品を店舗の駐車場で受け取るカーブサイドピックアップといった、オンラインと店舗のそれぞれのチャネルの特長をうまくとらえたサービスが今後の優れた顧客体験を提供する鍵になると同社は分析している。
ECサイトでは「興味を持った製品に関する情報や画像・イメージを集めてきてくれるサービス」(22%)や「自分の嗜好に合ったコンテンツや商品を提案してくれるサービス」(15%)などが求められる結果になった。
60%がオンラインサービスの使いやすさで銀行を選ぶ
オンライン決済などに対するセキュリティ不安が軽減したことで、銀行のインターネットサイトやアプリの利用が加速した一方、銀行を乗り換えた理由として「オンラインサービスが使いやすい、または便利だと思った」と回答した利用者が60%にも上った。資産運用者の20%が今後も「銀行店舗の窓口の利用」を希望しており、店舗窓口の付加価値体験の提供が求められる傾向があることもわかった。
サマリー
今回の調査では、過去5年で商品購入前にオンラインで情報収集して購入する消費者が増えていることがわかった。また、コロナ禍が収束した後も55.3%の消費者が店舗で商品を見ながら買い物をしたいと回答する中、店舗で口コミサイトやSNS、商品のメーカーサイト、レビューサイトなどを見ながら商品を検討する消費者が増えており、店舗とオンラインを融合したオムニチャネル化が加速していると同社は分析している。
さらに、銀行サービスにおいては銀行を乗り換えた理由として「オンラインサービスが使いやすい、または便利だと思った」と回答した消費者が60%にも上り、5年前よりさらに、インターネットサイトやアプリでのサービスの充実が求められていることがわかった。
これらのことから、コロナ禍で消費者の購買におけるデジタルシフトが進む一方で引き続き店舗が重要なチャネルであることが浮き彫りとなったと言えるだろう。ソーシャルメディアの普及で消費者が企業と接触するチャネルが多様化する中、企業にはオンラインや店舗、スマートフォンなどのデバイスを跨いだ、顧客との⼀貫したコミュニケーションが求められることになりそうだ。