セールスフォースが2022年のサイバーウィーク統計を発表

ECのミカタ編集部

Salesforce、15億人のショッピングデータの分析から得られたサイバーウィーク統計を発表

米セールスフォース(以下:セールスフォース)は、Salesforce Customer360で収集された15億人を超える買い物客のショッピングデータと、Eコマース、マーケティング、カスタマーサービスにわたる活動の分析から得られた2022年のサイバーウィーク統計を発表した。

全世界オンライン売上高は過去最高の2,810億ドル

◆2022年の全世界のオンライン売上高は、過去最高の2,810億ドルを記録

◆米国のオンライン売上高は9%増と6週間ぶりの大幅な伸びとなった一方、世界のオンライン売上高は前年比2%増に留まる

◆ブラックフライデーのオンライン売上高は全世界で653億ドル、サイバーマンデーは462億ドルに到達

統計データは、今年のサイバーウィークのオンラインショッピング動向が、11月初めから購買行動が次第に活発化していった2020年と2021年のパターンと異なることを示しているだろう。小売業者はサイバーウィークぎりぎりまで利益を損なう値引きを抑えた一方で、消費者も最後まで最もお買い得な商品を探し続けた結果、米国のデジタル販売は最終的に過去6週間で最大のピークを記録することとなった。

2022年サイバーウィークにおける注目ポイント

2022年サイバーウィークにおける注目ポイント

◆オンライン販売とデジタルトラフィックは、見通しが難しい経済状況にもかかわらず記録を更新

▷欧州と英国の結果が景気の停滞を反映した一方、米国は世界のオンライン販売の伸びを押し上げる勢いを示した。

◆ソーシャルメディアからの流入による販売件数が過去最高を記録

▷サイバーウィークのECトラフィックの76%はモバイルデバイス経由、ソーシャルメディアからの流入による販売は約10%であった。これは前年比22%増で、Salesforceのデータによると、ホリデーシーズン中の販売率としては過去最高。

◆消費者と小売業者間の割引をめぐる駆け引き

▷ホリデーシーズンの序盤は低かった割引率がサイバーウィークに入ると急増、全世界で27%、米国で30%とコロナ禍以前の水準を上回った。

▷世界で最も割引率の高かった商品カテゴリーは「一般衣料品(34%)」「化粧品とスキンケア商品(32%)」「高級ハンドバッグとアパレル(26%)」となった。

◆BOPISの利用が増加

▷消費者は商品購入にあたって人混みを避けるためBOPISや、カーブサイドピックアップサービスを積極的に利用。11月の最初の3週間と比較して、木曜日から日曜日にかけてのサイバーウィーク中のBOPIS利用は、世界全体で9%増加していた。

◆消費者はBNPLで資金不足を補う

▷インフレの圧力と家計の縮小の中で、米国の買い物客は購入資金調整のためにBNPLなどの代替支払いオプションを利用し、その結果注文件数は前年比5%増加していた。一方、平均注文額は5%減少しており、2021年と比較してより低価格の商品が売れたことを示している。

◆自動化により小売業者と消費者の時間を節約

▷世界のチャットボットメッセージ数は、2021年の同日と比較して、ブラックフライデーで57%、サイバーマンデーで53%増加。小売業者が自動化を強化した結果、顧客ロイヤルティの向上に繋がったと言えるだろう。

業務効率と顧客ロイヤルティのバランスが重要

Salesforce リテール担当 バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー、ロブ・ガーフ(Rob Garf)氏は、今回の結果について以下のようにコメントしている。

「当初は精彩を欠いたホリデーシーズンのセールスも、サイバーウィーク突入後は小売店が販売活動を強化し、買い物客もそれに応えていきました。Salesforceのデータは、消費者が最もお買い得な商品を求めてぎりぎりまで購入決断を先延ばしにした結果として、割引率とデジタル販売件数の驚くほど強い相関関係を示しています。ホリデーシーズンも終盤を迎えると、小売企業は利益確保のために自動化サービスの利用を促すことで、業務効率と顧客ロイヤルティのバランスを取らなければなりません。店舗での商品引き渡しを強化し、サービスをパーソナライズし、返品を効率化する小売業者が勝者となり、今後もさらなる成功を収めるでしょう」

今回は事業者側と消費者側で、割引率を巡った駆け引きが最も注目すべきポイントと言えるだろう。昨今の世界情勢やインフレに伴って、少しでも安く商品を購入したいという消費者心理は当然のことだろう。しかし事業者側としても単に安く販売するだけでは、長期的な経営基盤を築くことが難しくなるはずだ。

ロブ・ガーフ氏が述べているように、今後EC事業者は自動化などによりコストを削減、利益を生み出しやすい体質にしながらも同時に、顧客満足度を上げていく必要がある。さらに同氏は、これが実現できる事業者が勝者となり、今後もさらなる成功を収めるとも述べている。消費者の要望にどれだけ効率よく応えることができるか、今後はますます事業者の工夫が問われることになるだろう。

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