2013年のアパレル総小売市場規模は前年比101.4%の9兆2,925億円/矢野経済研究所

紳士服、婦人服、ベビー・子ども服は堅調に推移


矢野経済研究所が国内アパレル市場に関する調査結果を発表した。2013年のアパレル総小売市場は前年比101.4%で9兆2,925億円も伸びたことが確認された。
品目別では、婦人服・洋品市場が前年比101.4%の5兆8,290億円、紳士服・洋品市場が同101.2%の2兆5,475億円、ベビー・子供服・洋品市場が同102.2%の9,160億円だったということで、いずれの品目も前年を上回り、堅調に推移した。

今年は国内景況感の回復を受け消費者マインドが改善し、都心部の大手百貨店では高額商品が昨年に比べ動く傾向が見られたという。

景気回復についてはリフレーションをねらったアベノミクスを抜きに語ることはできないだろう。
アベノミクスという用語がすでに過去のものと感じられるくらい景況感は好転している。
もともと貨幣の流通量の減少がデフレの主原因なのだから、お札をバンバン刷って貨幣の流通量を増やすことで回復するはずだが、メリットと比例するデメリットもあり、どちらに転ぶかはやるまで判断がつきにくいというリフレーションに踏み切れる政治家や中央銀行の総裁は多くはない。

来年の消費税アップを見据えて油断は禁物だが、日本経済が長い低迷のトンネルを抜けたことは喜んでよいと思う。

ネット通販好調で進むオムニチャネル化


2013年は東急東横店や伊勢丹新宿店など、大手百貨店の都心旗艦店の大型改装が相次いで実施された。その改装効果により、都心の百貨店衣料品売上が伸びた。一方、地方は縮小する傾向にあり、「エリア格差」が明確になっているという。

ただし、百貨店の場合、地方では大型スーパーやショッピングモールとも競合する。地方で景況感が戻っていないのではなく、競合に押されている可能性もある。
それでも「大都市が好調で地方が低迷」という問題は、報道や他機関の調査結果で伝えられる家電量販店の動きとも重なる。となれば、やはり大都市で先に景況感が回復し、地方が遅れているという問題は、底の方にあるかもしれない。

EC市場が拡大するにつれて、アパレルや小売(百貨店、ファッションビル等)は、通販事業に注力するようになってきた。インターネットと実店舗の相乗効果を狙い、ネット戦略を強化することで、オムニチャネル化を推進している。

オムニチャネル化への動きは、来年も続いていくと思われる。