インド企業EC利用率の現状と今後の予測

84%の企業がEC導入で成果


Spire Research & Consultingは、企業の視点から見たインドのEコマース(EC)の現状分析レポートを発表した。
同社はASEAN、アフリカ、中東、中南米など新興国市場に特化した戦略的マーケティングリサーチとコンサルティングを世界の企業、政府機関向けに行っている。

今回の調査では、世界中から注目され急成長中のインドEC市場、アパレル、電化製品、飲食と、それぞれ3業界のEC導入における調査を分析したもの。
回答した企業の91%は、今年〜3年前にかけてECを導入し、54%の企業がEC導入から自社売上が20%以上増えたと回答し、84%の企業がEC導入により成果が上がったと回答している。

同社の分析によると、今後大きく成長していくインドEC市場のカギを握るのは支払い方法の主流となっている着払い制度だという。カード決済や前払いシステムなどが普及すれば、インドの消費者たちはより多くの商品をより安く買えるようになる。小売側のリスクが高い現状メインの着払いシステムも他の決済システムが増えることで、中小企業にとっても自社のリーチと見込み客を一気に増やす機会となると解説する。

インド独自のO2O展開に期待


お国柄を示す興味深い数値が、回答企業の75%がECと共に実店舗を運営しているというものだ。インドの文化では、商売において人と接する伝統が強く、実店舗によるEC運営という方向は今後も主流となりそうだとしている。物流インフラ、ネットインフラなどハードルがいくつか残っているものの、インドにおけるEC業界は今後大きく成長していくことは間違いない。
特に飲食業界は口コミサイトが増えているものの、オフライン戦略が重要視され、電化製品に関しては直接商品を手に取り判断するマインドが働いているとされ、対面販売を重んじるインドの伝統に合わせたO2O戦略が今後展開されていくだろう。

ここ3年でインフラの発展とともに、インドのアパレル企業の行方はオンラインで決まると同社は分析している。
というのも、インドのEC市場で一番成果をもたらしたのはアパレル業界で、65%の企業がEC導入後の売上が20%以上増加しているという。66%のアパレル企業はオンラインをメインの軸として力を入れていきたいということとなり、20%近くの企業は、オンオフを組み合わせた統合型の戦略を進めて行くという。

電化製品は直接手で確かめたいとする国民性とは裏腹に、アパレル製品はECでもOKという国民性は確かに興味深い。どちらにしても日本の約10倍の人口を誇りつつも、ネットショッピングの利用率はまだ6%だというインドのポテンシャルは計り知れない。



-編集部-