掛売りとは?メリット・デメリットやデメリット解消の方法を解説!

ECのミカタ編集部

掛売りとは?メリット・デメリットやデメリット解消の方法を解説!

掛売りとは、企業間取引において商品やサービスの代金を後払いで支払う取引方法で、最も一般的に使われる取引の仕組みだ。掛売りシステムを取り入れBtoB‐ECを展開したいと考える際は、その仕組みを理解した上で導入を進めていくことが重要だろう。今回は、掛売りの概要、導入するメリット・デメリットを紹介する。最後に、掛売りのデメリットを解決する具体的な方法も紹介するため、掛売りシステムを導入する際の参考にしてほしい。

目次

●掛売りとは、企業間取引で行われる後払いシステムのこと
●掛売りのメリット
●掛売りのデメリット
●掛売りのデメリットを解決する方法
●まとめ

掛売りとは、企業間取引で行われる後払いシステムのこと

掛売りとは、企業間取引で、商品やサービスを提供した際に、その代金をすぐに受け取るのでなく後日まとめて回収する決済形態のことだ。これは、俗にいう「ツケ払い」と同じ仕組みではあるが、掛売りはあくまで契約に基づく取引であるという点が異なる。簿記上の仕分けでは「売掛金」に該当する。

掛売りの事例


掛売りのよくある事例として、「請求書払い」「クレジットカード払い」などが挙げられる。それぞれの仕組みは以下の通りだ。

・請求書払い
請求書払いとは、商品やサービスを提供する側が、一定期間内に生じた商取引の売掛金を請求書にまとめ、事前に取り決めた支払期日にあわせてまとめて請求を行う方法だ。購入者側は、請求書に定められた期日までに原則支払いを行う。

請求書払いは、企業間取引で一般的に行われている掛売りの方法だが、取引先がフリーランスなど個人の場合であっても用いられる。支払い方法は、高額な取引に対応しやすい銀行振込や口座振替等で支払いを行うケースが多い。

・クレジットカード払い
日常生活で用いるケースが増えたクレジットカード払いも、企業が消費者に対して行う掛売りのひとつだ。消費者は、手元に現金がなくてもクレジットカードを用いることで商品やサービスを購入することが可能で、引き落とし期日までに支払いの猶予がある。

クレジットカード払いは上限金額に定めがあるため事例としては少ないが、企業間の取引においてもクレジットカードを用いて支払いを行うケースもある。


掛売りのメリット

多くの企業で採用されている掛売り。ここからは、企業が掛売りを利用するメリットを解説する。

決済業務を効率化できる


掛売りは、契約書で予め定めた締め日に合わせて、一定期間の請求をまとめて行うため、決済業務を効率化できるというメリットがある。書類発行作業の削減以外にも、振込や入金確認の回数軽減など業務の無駄を大幅にカットできる。

掛売りとは異なる取引に「現金払い」があるが、掛売りとの大きな違いは商品やサービス提供の度に支払いが発生することだ。その都度、請求書の発行や支払いが発生すると、書類が膨大になるほか、決済業務が煩雑になるなど多くの手間がかかる。また、自社だけでなく請求される取引先にとっても、決済業務の負担増加を招くことにつながるだろう。

掛売りは、売り手と買い手の双方の業務効率化に貢献し、決済業務の手間を省く取引システムと言えるのだ。

大きな金額の取引ができる


掛売りは、手元に資金がなくても取引を実現できるため、大きな金額での取引が可能なこともメリットだ。自社が買い手の場合、支払期日までに支払えることが前提となるが、手元の資金以上の取引の実現は事業成長のカギとなるケースがあるだろう。また、自社が売り手の場合は、取引先を現金取引に限定せずに対応することで、機会損失を防ぎ大きな取引が実現しやすくなる。

掛売りを主としている企業は多いため、掛売りに対応すれば取引先の幅が広がりビジネスチャンス拡大の効果が期待できるのだ。


掛売りのデメリット

企業間の商取引において効率化と利便性が高い取引の仕組みだが、企業間の信頼によって成り立つ取引のため注意点も忘れてはならない。ここからは、売り手側の掛売りにおける注意すべきデメリットを解説する。

与信管理が発生する


掛売り取引において、売り手側は取引先の支払いの延滞や貸し倒れといったリスクが発生しないように、与信管理の業務が発生することを覚えておこう。与信管理とは、取引先の資本金・売上・取引銀行・取引状況・財務状況等を一定の与信基準に従って調査し、信用できる相手かどうか見極め、取引額の調整を行うこと。自社の安定的な経営に不可欠な業務である一方で、リスクをコントールしつつ、円滑な取引を推進するために割かれる業務工数は掛売りのデメリットだ。与信管理は時間と労力を要するが、取引先の信用度が担保されないまま掛売りを実施するのは非常にリスクが高いため、必ず実施するべき方策と言える。

なお、取引先の状況は常に変化するため、取引開始前だけでなく、取引中は定期的な与信管理を実施し、その都度状況に応じた取引額の調整が重要となるだろう。

毎月の請求業務が負担になる


一定期間の請求をまとめて処理できる掛売りだが、請求業務時は、月内の取引を漏れなく正確に記載する必要があるため、請求業務の負担増大も注意しておきたいポイントだ。まとめるべき取引数が多い場合には、請求書の正確性を担保するために膨大な時間と労力が必要となり、締めの時期は業務がひっ迫するといった恐れがある。また、もし請求漏れや過大請求を行ってしまうと、自社が損失を被ることや取引先との信頼関係の悪化の恐れがあるため、十分な注意が必要だ。

支払いの延滞が発生する恐れがある


掛売りは、与信管理をしている場合でも、取引先の予期せぬ業績悪化などにより、支払いの延滞や未入金が生じることも念頭に入れておくことが重要だ。支払い延滞が続くと、代金が支払われない「不良負債」となり売掛金の回収ができず、自社の赤字処理になることも考えられる。売掛金が予定通り入金されることを前提に、経費や人件費の支払いなどを計画していた場合、売掛金が予定通りに回収できないと資金繰りに行き詰まってしまい、最悪の場合は倒産にもなりかねないだろう。

きちんと売掛金を回収するために、支払いの遅れや滞りがある際は、催促や督促を行い支払いを促す必要がある。しかし、支払いの催促業務は作業の負担だけでなく、精神的なストレスも生じる業務だ。本来不要である業務に、必要以上の負担がかからないよう請求業務の担当者に向けた配慮も必要になるだろう。


掛売りのデメリットを解決する方法

掛売りのデメリットを解決する方法として、「ファクタリングの利用」と「請求代行サービスの利用」の2つの方法がある。ここではそれぞれの方法の特徴について解説する。

ファクタリングの利用


ファクタリングとは、代金を請求する権利を表す「売掛債権」をファクタリングサービス提供会社に売却して資金調達する手法だ。受け取る代金からは、一定の手数料が差し引かれるが、ファクタリングを活用することで入金サイクルが短縮でき、資金繰りを改善できるという特徴がある。売掛債権を期日よりも早い段階や確実に現金化したい場合には、有効な方策と言える。

なお、ファクタリングには、売掛債権を売却して資金調達する「買取型」と、売掛債権に保険をかけ回収できなくでも保険金が支払われる「保証型」の2種類がある。ファクタリングにかかる手数料は、ファクタリングサービス提供会社によって価格が異なるため、それぞれの会社の特徴を把握した上で受取額が少なくなり逆効果にならないよう十分な注意が必要だろう。

請求代行サービスの利用


請求代行サービスとは、請求に関わるさまざまな業務を依頼できるサービスのことで、催促や督促業務も依頼可能だ。催促や督促業務以外にも、与信管理や請求書作成・発行・発送、代金回収、入金消込などの請求業務をワンストップで依頼できるため、大幅な請求業務の効率化につながる。請求業務を全て代行会社に依頼した場合、請求業務担当者の業務は、請求データをサービス会社に提供することと、サービス会社からの入金を確認するのみだ。

請求代行サービスを提供する会社によっては、支払延滞や未入金に対する保証が付いているケースもある。この保証を利用すれば、貸し倒れで売掛金が未回収になった場合でも、請求代行会社が売掛金を保証してくれるため、売掛金が予定通りに回収できることを前提に事業計画を立てることが可能だ。催促や督促業務をはじめ、請求に関する業務全体の効率化を図りたい場合には、請求代行サービスの利用を検討してみても良いだろう。

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まとめ

企業間取引の信用がベースで成り立つ、後払いシステムの「掛売り」。決済業務を効率化でき取引先の幅を広げられるといったメリットがある一方で、不良債権化するリスクや支払いの催促など、注意点についても十分な理解が必要だ。今回の内容を参考に、デメリットに応じた対策を講じながら、事業の成長の切り口として掛売りの導入を検討してみてみよう。


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