流通とは?商流や物流の違いから話題の流通BMSまで基本知識をわかりやすく解説!

ECのミカタ編集部

流通とは?商流や物流の違いから話題の流通BMSまで基本知識をわかりやすく解説!

流通業界にいる方であれば、「流通」という言葉に耳馴染みがあるはず。しかし、その言葉は理解していても正確に「流通」について説明するとなると難しく感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、流通についての概要や役割をはじめ、物流や商流など流通に関する用語の説明や、話題の流通システムについてわかりやすく解説していきます。改めて流通に関する基礎知識を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

流通とは

流通とは、モノを消費する消費者と、モノを生産する生産者との間を取り持ち、商品やサービスを円滑に提供する一連の働きを言います。

流通を大きく分けると「物流」と「商流」に分けられ、生産者と消費者の間に入る「卸売」や「小売」も流通の一部です。また近年は「物流」や「商流」だけでなく、「金流」や「情報流」といった流れも流通の一部として重視されるようになりました。

以下の図のように、生産者から消費者へ商品やサービスが届けられるまでの過程は様々ですが、その一連の働き全てを「流通」と言います。消費者へ商品を届ける運送業や、倉庫で商品の保管や管理を行う物流会社、そしてEC事業者も商品が消費者へ渡るのであれば、それは流通の1つです。

引用:https://www.tmys.co.jp/blog/

流通からみる物流とは

物流は、商品やサービスが消費者の元へと運ばれる「モノの移動」を意味します。つまり、生産者が商品やサービスを消費者へ届けるまでのフローのことで、物理的に商品を移動させる取引活動を物流と言います。主な作業工程は、「受注」→「梱包」→「仕分け」→「流通加工」→「出荷準備」→「積込」→「配達」となり、消費者へモノが届けられます。

物流は、物理的なモノの流れや移動を意味するため、運送会社との違いが明確でない方も多いかもしれません。運送会社は、上記で挙げた作業工程の中の「配達」に特化した企業を指し、物流の一部として配達に関わる業務を担当するのが特徴です。流通の一部である物流は、モノが消費者へ届くまでの様々な役割を担っており、こうした一連の流れを一元化することで、流通全体の最適化を図ることができます。

物流の目的と担う役割


物流は、生産者から消費者の元へ「モノ」が届くまでの「隙間」を埋めることが目的です。具体的には、「配送」「保管」「荷役」「梱包」「包装」「システム管理」の6大機能と言われる役割を持ち、消費者へいち早くモノが届くための仕組みが整えられています。近年新しく物流の大きな機能として加わったのが「システム管理」で、これまではシステム管理を除いた5大機能と言われていましたが、それぞれの役割を円滑に機能させるため情報システムを用いて管理されるようになりました。

物流に求められる機能も時代に合わせて変化を続け、新たな機能を追加しながら業務の効率化を図っています。

流通からみる商流とは

商流は流通の一部で商品が持つ所有権の売買活動を指し、物流とも密接に関係しています。具体的には、商品が生産者から倉庫や卸売・小売業者、そして消費者へ届くまでの流通過程の中で、商品と一緒に移動するお金の流れを指します。

以下の図のように商品の代金が支払われることで商品の所有権が移動し、生産者が所有していた所有権が消費者へと移るまでの流通過程が商流ということになります。

引用:https://www.zaico.co.jp/

商流を理解するメリット


続いては、上記で解説した商流を理解することによって得られる、メリットについて見ていきましょう。

モノとお金の流れをクライアントに正しく説明できる
商品に関するやり取りはもちろんのこと、支払いなどのお金に関するやり取りに関しても、そこには必ずクライアントが存在します。そのため、物流のモノに対する情報共有だけでなく、商流であるお金の流れについても正しく理解することで、企業間での信頼関係や円滑なコミュニケーションを図れる点がメリットです。そして、モノとお金のどちらの立場からも現状を明確に伝えることができれば、ユーザーのサービス向上にも繋がるでしょう。

ミス発生時スピーディーに対応できる
商流を正しく理解していれば、万が一ミスが発生した際にもメリットがあります。何が原因で問題が発生したのか、その責任の所在はどこにあるのかを明確にすることができるのでトラブル発生時のブラックボックス化を防ぎ、素早い対応を取ることが可能です。

しかし、商流について理解しているのが物流現場の責任者だけでは意味がありません。現場で物流に携わる人はもちろんのこと、ECサイトなどのWEBサービス運営者側も正しく商流を理解することで、コミュニケーションが円滑になり、双方に大きなメリットがあるでしょう。

生産性の向上が期待できる
モノの流れだけでなく、商流であるお金の流れを理解することで流通全体を包括的に見ることができ、課題が明確になる点もメリットです。それは、自社だけでなく流通に携わる取引先に対しても同様で、モノとお金の流れをより最適化することができるでしょう。

また近年は、流通業界に特化したAI技術の発達も話題になっており、新システムを導入する物流企業も多くあります。そのため、利益などの数字から見た販売戦略や在庫把握ができるようになるため、今後さらに商流についての理解が必要になってくると言えます。

流通・物流・商流の違いまとめ

ここで改めて流通・物流・商流の違いをまとめます。

流通:生産者から消費者へ商品が届くまでの一連のプロセス
物流:生産者から消費者へ商品が届くまでの「モノ」の移動や流れ
商流:「モノ」に発生する所有権の移動

引用:https://www.zaico.co.jp/

物流も商流も、生産者から直接消費者へ商品が届くことは稀です。その過程には、卸売や小売などのさまざま企業を経由するためモノの移動は商品だけでなく、所有権であるお金の移動も密接に関係しています。商品の出荷・納品に関わる物流と、営業など売買取引に関わる商流を切り離して考えることで、それぞれの業務に専念でき、結果的に業務の効率化に繋がります。

流通業界で話題の流通BMSとは?

ここまで、流通を取り巻く物流や商流について解説してきましたが、流通を理解するうえで、もう1つ知っておくべき流通業界の新しい仕組みがあります。その新しい仕組みは「流通BMS」と言い、「流通ビジネスメッセージ標準(Business Message Standards)」の略称でEDIの新しいガイドラインです。

近年、値上げラッシュによる消費者の購買意識の変化や法改正など、生産者や卸を悩ませる問題が続いており、今後もこのような傾向は続くと予想されることから企業はコスト削減に向けて動かなくてはなりません。そこで、注目されているのが「流通BMS」です。流通BMSは、伝票レスや人件費などのコスト削減を前提としてインターネット回線を使用し、流通業務の効率化を図る仕組みが構築されています。

引用:https://www.usknet.com/services/eos/bms/

流通BMSを導入するメリット


流通に携わる企業が「流通BMS」に対応すると、大きく3つのメリットが挙げられます。

・通信時間や通信費などのコスト削減
・受発注データ管理の負担軽減
・安定した取引先との関係構築

受発注には、通信速度の速いインターネット回線を使用するため、時間の短縮や電話代、ペーパーレス化などのコスト削減が期待できます。また、これまで受発注のやり取りには、伝票の作成や保管が必要でしたが、流通BMSを導入することで受発注データだけでなく出荷や受領データのやり取りを電子保存することが可能です。そのため、データ管理の負担が軽減され生産性の向上に繋がるでしょう。

この流通BMSは、生産者側にも卸側にも双方にメリットがあるとして既に大手メーカーや大手スーパーでは稼働が開始されており、その他物流業界にも普及が進んでいます。

つまり、これまでの手順でしか取引きできないとなれば、今後の企業間の取引にも影響を及ぼす事態になりかねません。流通業界に携わる方であれば、今後ますます普及する流通BMSを正しく理解し、安定した取引関係を築いていくことが大切です。

まとめ

流通から見る物流や商流の基本知識や話題のシステムについて解説しました。物流と商流の流れや違いについて正しい知識を付けることで、流通業界の現場や取引先とのコミュニケーションを円滑に図ることができます。また、万が一トラブルがあった際にも、知識を蓄えておくことで迅速に対応することができるでしょう。流通について改めて理解を深め、自社のEC事業の発展に役立てていただければ幸いです。


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