物流ロボティクスのRENATUS ROBOTICSがMicrosoft for startupsに採択
RENATUS ROBOTICS inc.(本社:デラウェア州、日本支社:東京都文京区、以下「RENATUS ROBOTICS」または「同社」)は、Microsoft Corporation(本社:米国ワシントン州、以下「マイクロソフト社」)が提供するスタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups」に採択されたことを公表した。
MSの強力なテクノロジーへアクセス可能に
「ワンストップ梱包」型の自動倉庫システム「RENATUS」を提供する東大発のロボティクスベンチャーRENATUS ROBOTICSは、マイクロソフト社が提供するスタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups」に採択されたことを公表した。
Microsoft for Startupsとは、マイクロソフト社が提供し、世界140カ国以上でグローバル展開されているスタートアップ支援プログラムだ。独自のイノベーティブなテクニカルソリューションを持つスタートアップ企業の成長促進を目的とし、採択された企業はAzureをはじめとしたマイクロソフト社の保有する強力なテクノロジーへのアクセスに加え、同社のパートナーネットワークを活用した、事業拡大に適した専用のリソースが提供される。
RENATUS ROBOTICS概要
RENATUS ROBOTICSは、世界初(同社調べ)の「ワンストップ梱包」型の自動倉庫システム「RENATUS」を提供している。同社のRENATUS(レナトス)は、倉庫内に建てられた高さ5~20mのラック内において、ラックに敷設されたレール上を専用シャトル「RENATUS SHUTTLE」が走行することでコンテナを効率的に作業者の元へと運ぶ次世代のGTPとなっている。
◆ワンストップ梱包
RENATUSはコンテナ単位で荷物を輸送するため、ピッキング作業は常にコンテナの中身をピックするのみで完結し、荷物を探す・迷うといった時間のロスやミスが発生しない。加えて、シャトルが作業者へコンテナを供給するタイミングは全て後述のRENATUS CORTEXにコントロールされており、完全に順立てされている。そのため、作業者はコンテナからピックした荷物をそのまま出荷用の段ボールに繰り返し入れてゆくだけでピッキング・集約・梱包の3工程が1度に達成される「ワンストップ梱包」が可能になった。
◆ピッキング速度
RENATUSは、従来の3次元走行型AGVと異なり上下方向へ自走しない。ラック内の各フロアのシャトルが水平2方向の高速移動に特化(4m/s)することで、業界最速の輸送を実現した。さらに、機体およびラックの設計に余計な複雑さが無いため、3次元走行型に比べ故障が起こりづらいだけでなく、価格が非常に安価となった。加えて、各フロアの外縁部には高速昇降リフトが配置されており、荷物の上下方向への運搬を行う。この昇降リフトの移動速度は従来の3次元走行型AGVを大幅に上回り(4m/s、4m/s²)、庫内搬送を更に高速化している。これらの高速化によりRENATUSは1時間1人当たり500行以上のピッキングを実現する。
◆格納効率
配車最適化アルゴリズム「RENATUS CORTEX」はシャトル2000台を同時制御できる独自システムである。ラック内部を数百~数千台のシャトルが走行すると、従来のアルゴリズムではシャトル同士の衝突が多発してしまう問題がある。衝突しない配車計画を実時間で計算するアルゴリズムはまさに最新の研究分野である。同社は、「RENATUS」の開発を通じて独自の配車最適化アルゴリズムを発明し、実用化した。世界初のこのアルゴリズムによって、シャトルは大規模ラック内部において、最短ルートを衝突なく高速移動する。RENATUS CORTEXの計算結果はローカル5Gを介して各シャトルに伝達される業界初の方式をとっており、機器間の安定した高速通信を実現している。独自の配車最適化アルゴリズム、新方式の通信環境によってRENATUSはラックの大規模化を可能としている。加えて、バッファ装置やベルトコンベアなどの設備を削減できるため、面積効率が大幅に向上し、コンテナ100万箱以上を1拠点に高密度保管することが可能となった。
物流業界全体の効率化を牽引
同社は、今後の展望として次のように言及している。「Microsoft for Startups」に採択されたことにより、マイクロソフト社のAzureをはじめとするテクノロジーのサポートを活用し、「RENATUS」の開発を促進するとのことだ。開発の面では、日本マイクロソフト社との共同プロモーションや研究開発実積の発表、Azureを活用されている企業様との連携による新サービスの開発や広域連携などを目指すとしている。
資本政策の面では、「Angel List」のクレジット等を活用し、グローバルでの資金調達を加速させ、「Microsoft for startups」のプログラムを最大限に活用することで、今後、「RENATUS」のシステム導入を事業の基軸としながらも、シャトル群制御アルゴリズムやマテハン機器など、TRUST SMITHグループ独自の製品・要素技術を活かした多様なユースケースに応えるような体制を構築し「物流業界全体の効率化」を牽引できるような存在を目指すという。
新型コロナウイルスによる感染拡大以降、世界的なEC化が加速している。ECへの需要の急速な高まりは、それを支える生命線とも言える物流の現場にも少なからず負荷をもたらしている。人員や業務の面での効率化の圧力は、物流の現場に喫緊の課題として顕在化しているが、東大発ベンチャーでありスマート倉庫システムを提供するRENATUS ROBOTICSは、「Microsoft for startups」に採択されたことにより、Microsoftの資源を活用しつつ、こうした課題解決に寄与することになりそうだ。