ECサイトの立ち上げに必要なことは?フローやサイトの作り方を初心者向けに解説
近年、盛り上がりを見せるECサイト。実店舗での販売と並行して、EC事業への参入を検討している企業も多いのではないでしょうか?そこで今回は初めてECサイトの立ち上げを任された企業の担当者向けに、ECサイト構築の手順やポイントを解説していきます。
ECサイトの立ち上げに必要なこと
これからECサイトを立ち上げる場合、大別すると以下の3つのことを検討する必要があります。
- 事業プランを決める
- ECサイトを構築する
- ロジスティクス・配送業者を選ぶ
- マーケティングを行う
まずは事業プランとして、運営するECサイトのビジネスモデルを考える必要があります。市場調査でニーズやトレンドなどを把握したり、財務計画として初期投資やランニングコストなどを計画したりして、事業運営の土台作りをします。
事業プランが決まったら、ECサイトを構築する必要があります。ECサイトを作る際は、決済や商品管理、顧客管理など必要な機能を洗い出しておくことが大切です。詳しい構築のポイントは次章以降で解説しています。
ECサイトでは商品を顧客にどのようにして届けるか考えることも大切です。適切な梱包とスムーズな配送が顧客満足度を左右するため、自社で行うのか外部に委託するのか慎重に考えなくてはなりません。
販売の準備と並行して、顧客を集めなくてはなりません。広告を打つのかSNSやSEO対策を活用するのか、戦略的なアプローチが必要です。自社で難しい場合は、コンサル会社などに相談することもおすすめです。
ECサイトの作り方とおすすめの構築方法
ECサイトの構築には、大きく分けて「モール型」と「自社EC型」の2種類の方法があり、ECサイトの規模や予算からどちらを選択するのか決めるのが一般的です。
モール型の場合
モール型とは、1つのECサイトにさまざまな店舗を集めて出店する、インターネット上のショッピングモールのことを指します。国内の代表的なECモールは、楽天市場・Amazonジャパン・Yahoo!ショッピングが挙げられ、ショップに集客力がなくても、大手ECモールの高い認知度と信頼でユーザーが安心して買い物できる点がメリットです。また、既存のプラットフォームを利用してショップを立ち上げるため、初心者でもかんたんに出店することができます。
デメリットは、テナント料や売上に応じた手数料が発生することや、サイトのデザインなどでオリジナリティを出しづらい点です。そのため、ショップの認知度が上がりにくく、他社と差別化を図ることが課題となるケースが多く挙げられます。
自社EC型の場合
自社EC型の大きな特徴は、「独自ドメイン」を使っている点です。楽天やAmazonなどのモール型で出店すると、商品のURLは「rakuten.co.jp」や「amazon.co.jp」というドメインになります。一方、自社EC型で独自ドメインを取得すれば、URLにショップ名を使用できるため、ブランディングやSEO対策、サイトの信頼性に繋がるなどの効果が期待できます。
以下、具体的な自社EC型の構築方法をかんたんに紹介します。
ASP型
ASPとは、「Application Service Provider」の略称で、低コストでかんたんにECサイトを立ち上げることができます。ECサイトに必要なシステムが備わっており、ブラウザで利用することができます。
低価格で手軽にECサイトを立ち上げられるため、個人でECサイトを立ち上げたい人や、商品が売れるかどうか試験的にはじめたい人におすすめできます。
ECパッケージ型
ECサイトの構築と運営に必要な機能がセットになったサービスです。商品管理や売上管理などの標準機能がすでに備わっており、自社が持つサーバーにパッケージングされた製品をインストールすることで、ECサイトをオープンできます。
オープンソース型
外部に無償で公開されているソースコードを利用してECサイトを構築する方法です。買い物カゴや決済などの必要な機能がすでに備わっているほか、カスタマイズも柔軟に行うことが可能です。
しかし、公開されているソースコードを使用するため、企業でECサイトを立ち上げる際は、システムやセキュリティ面で安全対策を行う必要があります。
フルスクラッチ型
スクラッチには、「最初から」という意味があり、0からシステムやソフトウエアを立ち上げる方法です。フルスクラッチを選択する場合の多くは、自社で開発を進めることが多く、叶えたい希望をすべて実現することができます。機能面だけでなくデザインにも個性を出しやすいため、競合他社との差別化やユーザーの認知度向上にも有効です。
関連記事:ECサイトの構築方法を徹底解説!費用やおすすめ制作会社なども併せて紹介
ECサイトの立ち上げフロー・構築手順
続いては、具体的なECサイトの立ち上げ方法について解説していきます。ECサイトの構築方法によって立ち上げ方が変わるため、ここでは自社EC型の構築手順に限定してご紹介していきます。
1.構築したいECサイトのコンセプトを決める
「誰に向けて、どのような方法で売るか」というコンセプトを明確にしていくことが大切です。コンセプトが曖昧なまま進めると、希望したECサイトとは違ったサイトになりかねません。まずは、リーチしたいターゲット層や競合を調査し、自社のECサイトを一言で表す「コンセプトキーワード」から、ブランドイメージを固めていきましょう。
2.要件定義
コンセプトが明確になったら、具体的にどのような機能が必要か細分化していき、開発側と要件の齟齬がないよう打合せを行っていきます。この作業後は、開発側がメインとなり作業を進めていくため、要件に漏れがないか今一度確認しておくとよいでしょう。
3.ECサイト構築・運用準備
ECサイトの構築方法を選定し、立ち上げから運用までの具体的な準備に取り掛かります。
自社で構築する場合は、ASP型・オープンソース型・パッケージ型・フルスクラッチ型のどれを利用して立ち上げるか、その中でどんなシステムを使用するかなどの詳細を決めていきます。外注してカスタマイズする場合は、いくつか外注先を洗い出し、相見積もりを取ることがおすすめです。
また、決済サービスを選定する際は、できる限り決済手段を豊富にすることで、ユーザーの離脱防止に繋がります。クレジットカードだけでなく、ID決済も自社のECサイトで使用可能かどうかも含めて、プラットフォームを選定すると良いでしょう。
4.ECサイトのデザイン決め
ユーザーが最も目にするECサイトのデザインは、いかにコンセプトとバランスが取れたデザインになっているかがとても重要なポイントです。ユーザーが使いやすく、情報を受け取りやすいデザインになっていることで、利便性の高いECサイトとしてリピーターを増やすことに繋がります。
ここで、先ほど解説しました「カスタマイズの自由度」が大きく関係してきます。自社でのデザイン決めが難しい場合は、事前にデザイン制作を請け負ってくれる外注先を探しておくと、スムーズにECサイトの構築を進めることができるでしょう。
5.テスト注文での受注
ECサイトのオープンにあたり、問題なく受発注できるかテスト注文を行います。テスト注文の方法は、必ずユーザーと同じルートで商品購入まで操作することが基本です。その他のチェックポイントは、以下を参考にしてください。
- 商品購入までの導線がスムーズか
- 決済をはじめとする受発注のデータ処理に問題がないか
- スタッフの連携は取れているか
6.オープンとサイト改善
ここからは、広告やツールなどを上手く活用して、集客に注力していくことが重要です。具体的には、メールやSNSであらかじめオープン告知を行ったり、プレスリリースの配信もおすすめできます。手を付けやすいものから着実にユーザーの認知度を高めていきましょう。
また、実際にECサイトを運営していく中で、トラブルやサイトの改善点も明確になることが予想されます。ユーザーの満足度向上のためにも、常に現状把握に取り組み、ECサイトの改善を重ねていくことが大切です。
ECサイトの立ち上げ費用
ECサイトを立ち上げる場合の費用の目安を紹介します。
構築方法 | 費用相場(目安) |
---|---|
ECモールに出店する | 無料~10万円 |
ASPを使う | 無料~100万円 |
ECパッケージを使う | 100万円〜 |
オープンソースを使う | 300万円〜 |
フルスクラッチ | 500万円〜 |
例えば、無料ASPなら初期費用はかからず、決済手数料など商品が売れた際のコストが中心になります。フルスクラッチ型であれば規模が大きくなるため、構築費用だけで数百万〜数千万円と考えておくとよいでしょう。
ECサイトを立ち上げにおける注意点
ECサイトを立ち上げる前に押さえておきたいサイト構築のポイントについて解説していきます。
ランニングコストなどの運用費を考慮する
ECサイトの構築には、立ち上げからオープンまでの初期費用のほかに、運用するためのランニングコストが発生するケースが多くあります。パッケージ利用料や、保守費用、サーバー費用、アップデートやメンテナンス代にかかるシステム側のランニングコスト、そのほかにも外注費や、物流費用、決済手数料などの運用側にかかるコストなどが挙げられます。ECサイトを立ち上げる際は、どうしても初期費用だけに注目してしまいますが、ランニングコストを考慮して予算内に収まるかどうか検討することが重要です。
セキュリティ対策を万全にする
ユーザーの個人情報を扱うECサイトは、万全なセキュリティ対策が必要不可欠です。ハッキングによる不正アクセス被害で、ECサイトの運営が停止に追い込まれるケースもあるため、不正注文や不正アクセスを検知するツールを導入し、情報漏えいへの対策を万全にしたうえでECサイトをオープンさせましょう。不正注文による返品などのトラブルを未然に防ぐことができます。
カスタマイズしやすいサービスで構築する
企業に適したパッケージ型でECサイトの構築を検討している場合、高い自由度でカスタマイズでき、充実した機能が備わったサービスは当然ですがコストは高くなります。
開発側が自社の要望に合わせて個別に対応してくれるため、比較的コストがかかってしまいますが中長期的なスパンで見るとオリジナリティの高いサイトはそれだけ大きなリターンも期待できます。ECサイトを構築する際は視野を広く持ち、目先のコスト削減にとらわれ過ぎないように注意することがおすすめです。
将来的に、機能の追加が必要になったり、システムの乗り換えでコストがかかってしまうというケースも考えられるので先を見据えた事業計画からECサイトの構築方法を選定していきましょう。
ECのミカタなら、ECサイトの制作会社がみつかる
さまざまあるECサイトの構築方法を決める際は、先を見据えてカスタマイズしやすい方法を選択することがおすすめです。ご紹介したメリット・デメリットを理解したうえで、自社で立ち上げたいECサイトの規模や予算と相談しながら検討しましょう。
ECのミカタでは、ECサイトの構築を得意とする制作会社とのマッチングサービスを無料でご提供しています。専任のコンシェルジュによるサポートで最適な会社をみつけることができるサービスですので、ぜひ活用してくださいね。