【2023年最新】越境ECの市場規模。拡大の状況や日本・中国・米国の動きを最新資料から解説

ECのミカタ編集部

【2023年最新】越境ECの市場規模。拡大の状況や日本・中国・米国の動きを最新資料から解説

越境ECの市場規模は、その認知度の向上やスマホの普及などの影響により急速に拡大している。EC業界での今後の施策を模索する上で、越境ECについて知見を広げておくことは重要だ。今回は、経済産業省から発表された資料をもとに、世界の越境ECの市場規模や日本・中国・米国3カ国の越境ECの状況を解説する。越境ECを成功に導く施策も紹介するので、自社ECを国外に展開していく際の参考にしてほしい。

目次

●越境ECの市場規模は急拡大が予想される
●日本・中国・米国3カ国の越境ECの市場規模
●越境ECを成功に導く3つの施策
●まとめ

越境ECの市場規模は急拡大が予想される

越境ECとは、国境を超えた電子商取引を指し、インターネットの販売サイトを通じて、国外へ商品を販売するビジネス形態だ。まずは、世界の越境ECの市場規模に関する今後の予想と拡大の背景について、経済産業省の資料をもとに確認していこう。

世界の越境ECの市場規模は拡大


世界の越境ECの市場規模は急激な拡大が予想されている。経済産業省が、2022年8月に発表した『令和3年度電子商取引に関する市場調査』の報告書によると、2019年時点の世界の越境EC市場規模は7,800億USドルと推計されるのに対し、2026年にはその値が4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測しているのだ。これは、毎年の平均成長率にして考えると約30%であり、世界の BtoC-EC市場規模を大幅に上回るペースで越境ECの市場が拡大すると見られている。なお、成長率とは、過去の値に比べてどのくらい伸びたかを示す指標だ。

参考:経済産業省『令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書』

関連記事:【2022年最新】世界のEC市場規模。中国やアメリカ、日本各国の状況やEC業界で生き抜くための戦略とは

拡大が予測される背景


ここまで、越境ECの市場規模が拡大すると予想される背景には、消費者と事業者の2つの立場から要因が考えられる。

まず、消費者側からしてみると、越境ECの認知度上昇だ。スマホの普及により、越境ECを活用することで、「自国にはない商品を購入できる」「自国よりも安く手に入る」といったメリットが周知されるようになった。また、海外旅行などで一度手に入れたモノが気に入り、商品やメーカーに対する信頼から、越境ECを活用して再度手に入れるといった事例もある。

事業者目線としては、世界各国の人口減少が叫ばれている中、販売ターゲットを世界へ拡大したいという事業者側の積極的な販売姿勢が挙げられる。さらに、世界規模での物流レベルの向上も越境ECを促進する要因の一つといえるだろう。


日本・中国・米国3カ国の越境ECの市場規模

経済産業省の報告によると、2021年度の日本・中国・米国の3カ国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加している。

2021年における3カ国間の、越境ECでの年間購入額を見てみよう。まず日本の越境BtoC-ECの場合、総市場規模(購入総額)は3,727億円で、前年度比9.1%のプラスとなった。このうち、日本消費者が米国から購入した総額は3,362億円、中国から購入した総額は365億円だ。

続いて、米国の越境BtoC-ECは総市場規模2兆409億円で前年度比19.3%増加した。内訳は、米国消費者が日本から購入した総額は1兆2,224億円、中国から購入した総額は8,185億円という結果だ。

最後に、中国の越境BtoC-ECは総市場規模4兆7,165億円、前年度比10.7%となり、3カ国の中で最も大きな規模だった。内訳は、中国消費者による日本からの購入総額は2兆1,382億円、米国からの購入総額は2兆5,783億円となった。

参考:経済産業省『令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書』

日本・米国・中国の3カ国間を比較すると、日本は、越境ECによる中国・米国からの購入金額が多い。一方で、日本が、中国・米国から越境ECで購入する総額は少ない傾向にある。

日本側の購入額が少ない要因は、言語の問題や海外製品を購入することに対する抵抗感が挙げられる。一方で、中国や米国からの越境ECによる日本製品の購入額は多く、日本製品への関心の高さが伺える。特に中国においては、日本市場での購入額が2兆円を超えており、中国を視野に入れた購買戦略は重要度が高いといえる。


越境ECを成功に導く3つの施策

越境ECへの参入にあたり、中国・米国の消費者を視野に入れた取り組みは重要だ。最後に、越境ECを成功に導くための3つの施策を紹介する。

1.スマホ閲覧を前提としたサイト構築


越境ECを意識する際、スマホの閲覧を前提としたサイト構築が不可欠だ。なぜなら、スマホはいつでどこでも気軽に閲覧し購入できることから、越境ECを利用するデバイスの中でも最も利用率が高い。実際、中国においては、越境EC利用時、スマホでの購入が90%という結果もある。ECサイト構築の際には、スマホからの閲覧を意識し、デザインや写真の見え方、購入ボタンの位置などを工夫できるとよいだろう。

2.決済方法の多様化


中国や米国の決済事情を踏まえた、EC決済方法の多様化も重要だ。中国においては、クレジットカードの不正問題から、最も普及しているのがキャッシュレス決済の「アリペイ」で、クレジットカードによる決済はその次という状況にある。一方の米国における決済方法の主流はクレジットカードである。限られた決済方法は、消費者の離脱の要因にもなりかねない。そのため、できるだけ多くの決済サービスを導入し、世界の消費者が利用しやすいサイトを築いていこう。

3.日本ならではの価値の創出


越境EC利用者から「メイドインジャパン」への信頼性は高く、今後の越境ECを生き抜くうえで、日本ならではの価値の創出は大事な要因だ。特に中国の小売業やECサイトにおいては、偽物や誇大広告による品質アピールなどが問題になっている。そのため、日本では当たり前である「本物」「商品説明に虚偽がない」といった商品への責任ある姿勢は、消費者にとっては大きな価値だ。海外から日本に対する信頼を武器に、商品への「オリジナリティ」や日本限定など「プレミアム感」を打ち出していくことが、越境EC成功へのカギといえるだろう。

また、海外旅行者による、越境ECを活用した日本商品のリピート購入の需要も高い。今後は、インバウンド消費の回復が見込まれるため、実店舗と越境ECサイトの紐づけを行い、継続的なリピーター獲得につなげていきたい。

関連記事:越境ECとは?取り入れるメリットや事前に把握しておきたい注意点と手順

まとめ

スマホの普及などから、急速な拡大を見せる越境ECの市場規模。特に、中国や米国の状況は目まぐるしく、今後のEC事業を発展させていく上で、越境ECも視野に入れていくことは重要といえるだろう。今回紹介した世界の越境ECの状況や施策を参考にしながら、越境EC事業を検討してみてはいかかだろうか。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事