三菱食品が「MOVO Fleet」を導入、持続可能な食品配送の実現へ

ECのミカタ編集部

株式会社Hacobu(ハコブ、代表取締役社長執行役員CEO:佐々木太郎、以下「Hacobu」または「同社」)と三菱食品株式会社(代表取締役社長:京谷裕、以下「三菱食品」)は、Hacobuが提供する「MOVO Fleet」を三菱食品が展開するトラックに導入し、各種の取り組みを開始することを公表した。

車両積載率の向上や配送効率の最適化を目指す

Hacobuと三菱食品は、Hacobuが提供する動態管理サービス「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」を、三菱食品が事業展開する全国3500台のトラックに導入し、輸配送データを独自に活用して、車両積載率の向上及び配送効率の最適化などに向けた取り組みを開始することを公表した。

動態管理サービス「MOVO Fleet」は、物流領域に特化したテレマティクスサービスで、車両管理の効率化で、荷主と運送会社双方のコスト削減を支援するものとなっている。端末は、複数の給電方法が選べるGPSトラッカー「ムーボ・スティック」とGPS機能付き通信型ドライブレコーダー「ムーボ・アイ」の2種があるほか、日野自動車のコネクティッドトラック、東京海上日動火災保険の法人ドライブエージェントは、追加端末なしで利用可能だ。

取り組み概要

取り組み概要

同社がまとめる取り組み概要は次の通りだ。

◆Step1:動態管理サービス「MOVO Fleet」の導入

三菱食品の首都圏エリアを中心に、全国3500台のトラックに導入。

◆ Step2:輸配送データの活用

MOVO Fleetを導入することで、協力会社車両の一括管理を実現する。具体的には、「運行回数・走行時間・待機時間・走行距離・CO2排出量」など詳細な輸配送の動態データをリアルタイムで取得できる。同データに三菱食品が持つ独自のデータを掛け合わせることで、車両回転数および積載効率が算出できるようになる。

◆Step3:センター毎の配車効率を向上させ、最適配車を実現

MOVOのデータを活用し、三菱食品で物流拠点毎に配車している支線配送トラックを拠点相互に融通させ、更にはメーカー集荷までの配車プランを策定することなどが可能となる。結果として、車両の有効活用及び積載率を高め、「2024年問題」への対応やカーボンニュートラルに向けた具体的な活動を推進する。

迫る「2024年問題」、持続可能な配送のために

公表に際して各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。

株式会社Hacobu 執行役員CSO 佐藤健次氏

「『2024年問題』が目前に迫ってきています。この課題を解決するために三菱食品の皆様と一緒に議論をはじめました。MOVO Fleetで配送状況を見える化し、効率の悪い流通網を洗い出し、対策を検討しています。将来的な社会最適の実現を念頭に置きながら取り組んでいる状況です。食品流通の根幹を担っている卸業界が、見える化により流通全体に改革を促すことは画期的なことだと認識しています。今回の取り組みでは、見える化を最大活用するために、これまでの商慣習の見直しまで踏み込んだ議論がなされており、真の物流トランスフォーメーションの検討になっていると認識しています。さらに議論にエンジニアを交えることで、これまでの枠組みを超えた発想を得ながら進めるという物流DXアプローチをとっていく予定です。社会最適を目指して動き出した三菱食品の皆様と弊社の取り組みに、今後も注目していただければと思います」

三菱食品株式会社 SCM統括 物流DX推進オフィス室長 白石豊氏

「三菱食品では、1日当たり約7600台のトラックを使用し、荷主として或いは利用運送事業者として食品物流を行っています。いよいよ来年に迫っている『2024年問題』に対して、車両の運行効率性の向上や最適配車をどう描くかが大きな課題となっており、Hacobu社とは、1年前よりこの課題を共有し、運行データを利活用する為の検討を共に推進しています。現在、食品卸業界や小売専用センターにおける支線配送網、更に物流事業者における配送網は、当然ながら運行指示系統が異なると共にデータ基盤も一定の『型』が無い状況にあります。今回のMOVO Fleetの運行実績データが、その中で可視化/最適化に繋がる手段になるものと考えております。内閣府のSIPや経産省が主催するフィジカルインターネット実現会議でも論じられているとおり、共同輸配送は物流合理化のための重要なピースであることを認識し、私たち三菱食品も積極的にデータ活用/連携を進めてまいりたいと思います」

Hacobuは「データドリブン・ロジスティクスが社会課題を解決する」を信念に掲げ、データを活用し、企業や自治体の物流DXを支援してきた。動態管理サービス「MOVO Fleet」は、物流領域に特化したテレマティクスサービスで、GPSを使った車両位置把握により、車両管理における業務負荷軽減や、配送の効率化を行うことが可能だ。また三菱食品は、「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」をパーパスに掲げ、 強靭で持続可能なサプライチェーンの構築を目指している。

そして2024年4月、ドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に規制され、人手不足による物流クライシスが懸念される「2024年問題」が迫っている。人手不足への対応及びCO2排出量の削減などサステナビリティの実現に向けて、三菱食品は動態管理サービス「MOVO Fleet」を導入し、その輸配送データを蓄積・活用することで、積載率の向上及び車両効率の最適化に向けた取り組みを進めていくとしている。

その上で両社は、持続可能な食のサプライチェーン構築及び物流の社会課題解決に向けて、データドリブン・ロジスティクスの実現を目指すとしており、ECの生命線である物流を、まさに持続可能なものとするという意味においても、その取り組みの成果に期待がかかりそうだ。


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