EAIとは?おすすめツール7選!選ぶポイントからメリット・デメリットまで

ECのミカタ編集部

近年、業務に活用できるシステムやツールの開発が進み、業務や部門ごとに導入する企業も多いでしょう。しかし、それぞれのシステムやツールのデータ保管場所が異なることから、「データが分散してしまう」という課題を抱えているケースも少なくありません。本記事では、社内の各システム・ツールを連携し、より効率化を目指す「EAI」について解説します。

EAIとは

EAIは「Enterprise Application Integration」の略称で、企業内にある複数のシステムやアプリケーションのデータ・プロセスを統合するための機能のことです。業務内容に最適化されたシステムやアプリケーションは、単体で使用する場合、そのシステム内だけで完結するためとくに問題が起こることはありません。

しかし、別のシステムと組み合わせて使いたい場合、それぞれ異なる場所で管理しているデータと照らし合わせなければならず、規模が大きくなるほど複雑化しやすくなります。

そこで各システムやアプリケーションの連携を容易にするデータ連携機能、「EAI」が注目されるようになりました。

EAIは企業の既存システムや独自システム、複数のアプリケーション間で、必要なデータのみ連携してカタログ化できるという特徴をもちます。各システムが取得したデータをEAIにまとめることで、管理しやすくなるのが大きなメリットです。

ETL・ESBとの違い

EAIには「ETL」や「ESB」などのよく比較されるシステムがあり、どれも異なるシステム同士を連携するツールという意味では同じですが、それぞれ役割やできることが異なります。

以下では、EAIとETL、ESBの違いについて紹介します。

EAIとETLの違い


ETLは次の3つの頭文字をとったもので、データの統合処理の流れを表しています。
●Extract(抽出・収集)
●Transform(変換・加工)
●Load(配信・早出)

社内で使っているITシステムは提供元によってデータ形式やコードなどが異なったり、担当者によってExcelファイルの形式が異なる形で作成されたりすることもめずらしくありません。そこで、一定の基準でデータ処理し、整理した状態でまとめられるETLが使われるようになりました。

ETLはEAIよりも古くから使われている情報処理ツールで、定常的な大量のデータを分析してDWHやDBに集約できるのが大きな特徴です。(DWH:時系列・内容別にデータ整理して格納するサーバー、DB:データベース)

一方、EAIはデータをリアルタイムに同期・更新するため、一度に対応できるデータは少ないものの、在庫管理や受発注などの随時更新される処理に向いているなどの違いがあります。

EAIとESBの違い


ESBとは「Enterprise Service Bus」の頭文字をとったもので、ミドルウェアのインフラストラクチャー(下部構造)に実装される構成要素です。EAIでおこるコンポーネント(構成要素)の不具合を解消するために誕生した、『バス形式のEAI』を進化させて使うことにより、既存システムをスピーディに安価に利用できるのが大きな特徴。

製品によって異なりますが、おもに次のような機能が搭載されています。
●位置情報の保護
●プロトコル変換
●データ形式の変換
●拡張機能
●ルーティング
●監視

また、安定感があり、必要に応じて軽量化できる点も大きな特徴です。

EAIツールを導入するメリット

以下ではEAIツールでシステムを連携する導入メリットを3つ紹介します。

複雑なデータ連携の簡略化


EAIツールの導入により複雑だったデータ連携作業の工数を減らし、業務効率を高めることが可能です。データ連携では各システムからデータを取得して加工・変換をおこない、登録するという一連の流れをおこないます。

1つ1つの工程をシステムごとにおこなうにはIT領域に精通したエンジニアが必要で、時間と労力が想定以上にかかることも。しかし、EAIツールではデータ連携に必要な処理をおこなってくれるため、より手軽にシステムやアプリケーションを統合できます。

ノーコードで誰でも直感的に扱える


データ連携の基盤を作るには、スクラッチ開発やハイブリッド開発などの方法もあります。しかし、これらの方法は高度な技術や知識が必要なため、社内にエンジニアがいない企業の場合は外部に発注するしかありません。

一方で、EAIツールはプログラミングの知識やコードを書く技術が不要なため、特別なスキルを習得しなくても社内スタッフが直感的に扱える点も大きなメリットです。

データの連携ミスを削減


データ連携に必要な作業を手作業でおこなっていると、見落としやズレなどのミスが生じる可能性もゼロではありません。EAIツールは自動でデータ連携をおこなってくれるプログラムが組み込まれているため、人為的なミスの削減につながります。

EAIツールを導入するデメリット

EAIツールを導入して最大限の効果を得るためにも、事前にデメリットも把握したうえで導入を検討しましょう。

ツールの導入にコストがかかる


EAIツールを導入するには、当然ながらコストがかかります。コストの内訳としては初期費用や月額料金で、オンプレミス型かクラウド型かどうかによってコストのかかり方が異なります。

なお、クラウド型のEAIツールでは月額料金をおさえたサービスも提供されているため、複数のツールを比較してみるとよいでしょう。

大量のデータ処理には向いていない


EAIツールは「イベント指向」と呼ばれるデータ処理に向いているため、リアルタイムかつ高速にデータ連携できるのが最大の特徴です。そのため一度に大量のデータ処理をおこなうことは難しく、目的によってはETLやESBなどのツールのほうが適しているということもあるでしょう。

ただ、近年ではETLのような使い方ができるEAIツールもあり、以前よりも多様な目的にあわせて選べるようになっています。

EAIツールの選定ポイント<

以下では、EAIツールを選ぶ際にチェックしておきたいポイントを紹介します。複数のサービスを比較して、より自社にあうEAIツールを選びましょう。

連携先サービスは豊富か


EAIツールでは「アダプタ」と呼ばれる機能が各システムを連携させる仕組みとなっているため、「アダプタの種類」によって連携できるシステムの数が変わることになります。当然ながらアダプタの種類が少なければ対応するシステムも少なく、アダプタの種類が豊富であれば対応するシステムも多くなります。

自社で活用しているシステムに対応していることはもちろん、今後さらに増えると予想される「クラウドサービス」との連携の有無もチェックしておくとよいでしょう。

操作性は容易か


EAIツールの多くは、プログラミングの知識がなくても利用できるように作られています。しかし、ツールによって操作性が違うため、求められる知識やスキルも異なります。

事前に操作の概要を把握しておかなければ、導入後に「思ったよりも操作が難しかった」となることも考えられるでしょう。無料体験を提供しているサービスも多数あるため、導入前に操作に問題がないかを確認しておくのがおすすめです。

データ処理能力は十分にあるか


EAIツールの選定時は、データ処理能力もチェックしておきましょう。受注業務などのリアルタイムにデータ連携が求められる場合、自社のデータ量やトランザクション量などに対する能力の有無が重要なポイントとなります。(トランザクションとは、切り離せないデータのことです)

また、EAIツールによっては状況を監視できる機能や、障害部分を排除する機能が搭載されているものもあります。

すすめEAIツール7選

以下では、おすすめのEAIツールを7つ紹介します。それぞれのツールの特徴や料金、機能などをふまえて、自社に最適なEAIツールをみつけましょう。

ECコネクター®


https://www.ec-connector.com/
ECコネクター®は、受注やEC業務に関するシステムやアプリケーションの連携に最適なEAIツールです。店舗やブランド、チャネルごとのデータを、基幹システムや倉庫管理システム、マーケティングシステムと連携可能。

「受注コネクター」「会員コネクター」「商品コネクター」「在庫コネクター」「ポイントコネクター」の5つのコネクタがあり、業務にあわせて利用できます。初期費用は無料で月額1万円から、利用ボリュームにあわせてプランが選べます。

ASTERIA Warp


https://www.asteria.com/jp/warp/
ASTERIA Warpは『誰でも、もっとASTERIA Warp』をコンセプトに掲げ、専門的な知識がなくてもデータ連携を実現するEAIツールです。対応しているデータソースは100種類以上と豊富で、16年連続で国内シェアNo.1を獲得。

異なるシステムへのデータ入力や受発注処理、Excelデータの更新など、現場で定常的におこなう業務を自動化できます。料金は初期費用は0円、プランによって月額30,000円〜から利用でき、中小企業から大企業まで対応しています。

NISMAIL


https://jpn.nec.com/nismail/nm_index.html
NISMAILは、NECが提供するデータ集配信ミドルウェアです。「蓄積交換型ファイル転送」と呼ばれるファイル転送方式を採用しており、おもな機能には自動集配信・業務アプリケーション連携・コード変換・運用管理などがあります。

幅広い組織規模に対応しており、クラウド〜オンプレミス感の連携も可能で、「安心・確実・低コスト」なデータ集配信を実現。大手が提供していることや、25周年以上の実績をもつことから、安心して利用できるEAIツールといえるでしょう。

Boomi


https://boomi.com/ja/
BoomiはAPI管理・マスターデータ管理・データ準備を専門としたEAIツールです。オンプレミス型とクラウド型の両方のシステムに対応しており、さまざまなデータソースやデバイスをシンプルかつ迅速に統合できるのが特徴。

テンプレートやプロセスライブラリ、カスタムスクリプトを使用することで自社に必要な内容にあわせてカスタマイズできます。また、ドラッグ&ドロップで簡単に扱えるため短時間で感覚的にシステムを構築でき、社内スタッフも迷わず対応できる操作性の高さも魅力です。

Magic xpi Cloud Gateway


https://www.magicsoftware.com/ja/xpi-cloud-gateway/
Magic xpi Cloud Gatewayは、月額5万5千円から利用できるクラウド間データ連携サービスです。複数のクラウドシステムを導入している企業向けツールで、同社がもつクラウド上の「Magic xpi」を月額固定料金で利用できるシステムとなっています。

月額料金のみで提供されているすべての標準アダプタ・コネクタを利用でき、連携フロー数やトリガー数、接続先数の制限もありません。契約期間は1ヶ月ごとの自動更新で、最短利用期間は12ヶ月となっています。

DataSpider Servista


https://www.hulft.com/software/dataspider
DataSpider Servistaは、ノンプログラミング/ノーコードで多種多様なデータやアプリケーションを連携できる連携ツールです。GUI(直感的な操作)で簡単な処理を作成できるにもかかわらず、本格的な処理の実装も可能。

大容量データの処理を高速処理できる能力の高さや、障害や故障が発生したときの運用支援の仕組みを備えているところもポイントです。

Qanat2.0


https://www.jbat.co.jp/products/data/qanat_20/index.html/
Qanat2.0は、企業内外のデータを抽出・加工・変換して柔軟に連携できるEAIツールです。ノーコードで操作性が高く、データの「入力側」と「出力側」をアイコンと線で結ぶだけで設計が可能。関数の知識がなくても簡単にデータ変換できます。

スケジューリング機能で定期的に生じるタスクを自動化でき、クラウドに対応したアダプタで基幹システムとクラウドのデータを連携。また、ユーザー/グループ管理機能とアクセス制御設定によって安全に利用できます。

まとめ

業務に最適化されたシステムやアプリケーションは便利な一方で、数が増えるほどデータ管理が複雑化しやすくなります。データを効率よく活用するためにも、システム間をシームレスにするEAIツールの導入を検討してみてください。自社に必要な能力や機能をそなえたEAIツールを導入して、さらなる業務の効率化を図りましょう。


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