ボジョレー・ヌーボー解禁 2014年の味は「厚みと深さある」

この記事のまとめ

・ボジョレー・ヌーボーが本日解禁
・各地でイベントが盛況するも、ピーク時に比べると人気に陰りが…
・海外ECの普及で世界ブランドがお気軽に手に入る状況を商機に変えるには…

国内各地でファン達が解禁祝う

フランス産ワインの新酒「ボジョレー・ヌーボー」が本日国内解禁となった。
秋の風物詩としてすっかり定着したボジョレーヌーボー解禁日。フランス食品振興会によると、今年は天候にも恵まれ熟成度の高いブドウが収穫でき、品質は当たり年といわれている2005年や2009年に遜色ない味わいで、果実味豊かな風味であるとしている。
都内各地では様々なイベントが開催され、ミスブルゴーニュ2013のマリーラインツさんが来日しPRを行ったり、午前0時の待望の解禁に合わせタレントや数百人のファン達による乾杯の声が聞こえるなど、例年にひけを取らない盛り上がりをみせた。

円高で輸入価格は上昇傾向にあるが、大手小売や専門店は品質の良い商品を中心に据え、消費者へ積極的にアピールをしていく構え。メルシャン株式会社によれば、チリ産やスペイン産など、産地別にファンが生まれたりワインを取り巻くシーンは多様化をみせている。日本国内でもワインが日常的に飲まれるようになり、全体の売上は右肩上がりを見せているとのこと。13年の国内市場は4.7億本。

ただ、近年同時期のイベントで急速に広まりつつあるハロウィンなどの影響もあってか、お祭り消費はかつてほど見込めなくなりつつあるのもまた事実である。酒類大手のコメントによると、今年のボジョレーヌーボーの輸入量は前年比8%減の720万本との見込みも出ている。ピークであった2004年より4割ほど少ない数字となっている。バブル時代では解禁日に成田空港隣のホテルで「日本で一番最初に飲む会」なども催されていたが、近年のイベント数増加と多様化により熱狂時代は過去のものとなりつつあるのかもしれない。
ディスカウントストア大手のドン・キホーテでは、都内最安値500円(500ml)という値段も。

海外ECの発達もイベントに影響か 根強いファンに期待集まる

以前に比べ、海外輸入が個人でも簡単にできるようになってきたことも、ボジョレー解禁日の精彩欠く要因の1つであろう。普段飲めない希少な海外のワインという「レア感」がピーク時に比べ薄れてしまった事に加え、若者世代の飲酒離れなど様々な要因が影響していることがうかがえる。近年は中南米やアフリカなどさまざまな国のワインが輸入され、『新酒』というだけではアピールしにくくなっているという意見も。

しかし、一方で根強いファン達の存在もやはり見逃せない。女性に人気が集まりやすい特質を活かし、異業種とのコラボレーションなどで新規ファンの獲得も狙えるだろう。酒類に特化したEC企業にとっては、企画の運び方次第で年末商戦のスタートダッシュを切れるキッカケにもなりうる。
既に世界的なブランディングがされた銘柄をECでお手軽購入できる昨今の幸運を見逃す手はない。どこに商機が潜んでいるか、改めて考えてみるのも良いかもしれない。