「道の駅」を基点に地域活性化 ヤマト運輸

「プロジェクトG」で少子高齢化に挑む


山口県周南市と、一般社団法人周南ツーリズム協議会、ヤマト運輸株式会社は、11月17日に福祉型道の駅「ソレーネ周南」を基点に、地域の活性化および市民サービスの向上を図ることを目的とした包括連携協定を締結した。

周南市で5月にオープンした道の駅「ソラーネ周南」では「オール周南で24時間周南ブランド発信」をコンセプトに、道の駅が提供する観光型機能のほか、市民の交流、コミュニケーションの場として「生きがい」を支える福祉型の機能も備えることで、地域の課題解決に取り組んでいる。
周南市は近年過疎化、高齢化が進み、耕作放棄地の増加、農産品の生産量減少による販売機会ロス、交通インフラの衰退など多くの対応が必要な課題を多く抱えてきた。こうした地方における少子高齢化や過疎化を、日本の抱える深刻な問題として捉えるヤマトは、物流を超えるサービスプロジェクトの一つ「プロジェクトG」で課題解決に挑んでいる。Gとは、government(政府、地方自治体)を指し、行政と連携した地域密着型の住民向けサービスのプラットフォームを作る。これは、日本中の個人宅へ直接荷物を届けられる「ラストワンマイル」を網羅する同社のネットワークを活用し、地元企業とも協業することで、地方自治体が担っている住民サービスの様々なサポートを行うというものだ。

今回行われる主な取り組みは大きく3つ


1.高齢者の農産物や中山間地域の農産品、加工品の販売機会の提供
「ソレーネ周南」では、高齢者が庭先で作った農産物や加工品を1袋から出品できる場を提供しており、交通手段を持たなかったり、直接持ち込むことが困難な生産者に対し、ヤマトのセールスドライバーが集荷を行い施設までの運搬をサポート。自慢の農産物を地域住民や観光客に買ってもらえることで、高齢者の喜び、農業の継続、そして生きがいにつなげたいという狙い。

2.高齢者や障がい者の買い物、見守り支援
カタログ通販やECの活用により「ソレーネ周南」で受注、商品のピックアップ、梱包を行い、ヤマトのセールスドライバーが自宅まで宅配することで、高齢者や障がい者の買い物を支援する。また、配達時に安否確認などを行う見守り支援も同時に行う。

3.地域特産品の販売、周南ブランドの発信、販路拡大、6次産業化の支援
周南市の特産品、加工品や高齢者が作った農産品などを道の駅に来た地域住民や観光客に販売するだけでなく、全国の消費者やレストラン等へ向け販売する仕組みの構築を行う。また、海外への輸出をヤマトグループがサポートし、周南ブランドの国内外への発信を強化する。

これら3点のほか、くらしの安心、安全や災害対策、環境支援、市民サービスの向上について三者連携して取り組み地域活性化を図る。

今回のような地域活性化の取り組みにおいて、高齢者のEC利用機会が増えるのはとても喜ばしい。特に普及が進むタブレット機器などは、高齢者にこそ勧めたい直感的でわかりやすさに優れたデジタル機器だ。
ヤマトは総合物流ターミナルを各地に建設し24時間稼働させ、物流効率を高めようとしている。今回のような取り組みを通じ、地方名産品を全国各地で確保出来る環境を構築していけば、全国、または香港などアジアに国産農水産物を短時間で配達できるようになる。
特に楽天やヤフー香港との協業試験から、香港の消費者や店舗への国産農産物の配達を本格稼働させたヤマトとしては、アジアへのBtoB展開へのやる気を感じる。
全国や、アジアからECで注文した商品が、当日もしくは翌日には届く、そのような未来が訪れることを予想し、環境と仕組み作りを進める同社。こうした環境を活用した新しいECサービスの登場もそう遠くないだろう。



−山本一雄−