4人に1人がクラウドソーシングを知っているが、「利用したことがある」は7%
知名度1位はクラウドワークス
インターネットを介して不特定多数の人びとに業務を委託する「クラウドソーシング」が、新しい働き方として注目を浴びている。
依頼者側は専門的なスキルを持つ人材を手軽に確保できる一方、受託者側も副業として働いたり、在宅勤務ができたりするという利点がある。
最近は業務の依頼者と受託者をマッチングするサービスも複数登場しており、市場が拡大してきた。
そこで、インターネットコムと NTT コム リサーチでは「クラウドソーシング」に関する調査を行った。
調査対象は、全国10代~60代以上のインターネットユーザー1,074人。男女比は男性53.7%、女性46.3%。年代比は10代13.3%、20代15.7%、30代21.1%、40代17.6%、50代14.9%、60代以上17.3%。
まず、全体の1,074人に、クラウドソーシングを知っているかを聞いたところ、「知っている」と答えた回答者は全体の25.0%(269人)だった。そのうち、「インターネット上で知った」という回答者は84.4%(227人)だった。
次に、どのクラウドソーシングサービスを知っているかという設問では、最も認知度が高かったのは「クラウドワークス」で41.6%(112人)、次いで「ランサーズ」が24.5%(66人)、「クラウディア」が20.8%(56人)と続いた。
日本では2008年創業の「ランサーズ」が業界の草分け的な存在で、これを2011年に創設されたクラウドワークスが追撃し、“二強”と呼ばれる存在となっている。しかし、今回の調査を見る限り、知名度に関しては逆転現象が起きていることになる。
この2社以外では「CROWD」(13.8%、37人)と「ポストコ」(11.5%、31人)が10.0%を超えていた。しかし、上記以外のサービスの認知度は1桁台にとどまり、ほとんど知られていないことがわかった。
満足度はかなり高いクラウドソーシング
調査によると、クラウドソーシングを知っている回答者269人のうち、実際に利用したことがある人は28.3%(76人)だった。そのうち、どのクラウドソーシングサービスを利用したことがあるかという設問では、上位2つがクラウドワークス(36.8%、28人)とランサーズ(28.9%、22人)で、認知度の設問と重なる一方、3位は CROWD(18.4%、14人)だった。
CROWD は他のサービスのように専門的なスキルを必要とする仕事ではなく、誰でも簡単に行える内職のような仕事をマッチングすることが特徴で、幅広いユーザー層が利用していると考えられる。
クラウドソーシングを利用したことがある人のうち、仕事を引き受ける側が77.6%(59人)と大半だったが、仕事を依頼した経験がある17人のうち、依頼したものの出来栄えに満足した人は「ほぼ全てで満足している」、「だいたい満足している」を合わせて64.7%(11人)だった。「満足しているものも不満足なものもある」という回答者も6人いたが、「不満足なものが多い」、「満足するものがほとんどない」と答えた人はいなかった。
実際のところ、クラウドソーシングでは仕事の全体を見渡せるような人材は少ないように思われるが、ある限定された作業に関しては、よい仕事をする人材はかなり多い。また、大量の作業を複数の作業者に分散して早く終わらせるといった使い方もある(分散させすぎると作業者への対応が煩瑣になるし、クオリティ管理も大変になる)。広くアイデアを募集するといった方法もある。
ECサイト運営者の場合、どちらかというと仕事を発注する側に立つことが多いだろう。クラウドソーシングを上手に利用するにはコツが必要だが、使い方次第ではかなり役立つので、試してみてもよいと思う。