送料が原因でECでの購入を諦めた経験 66.9%が「ある」(MMD研究所調査)
MMD研究所が「ECサイトの配送とクイックコマースに関する調査」を実施。回答者の66.9%が「ECサイトでの商品購入時に送料が原因で購入を諦めた経験がある」ことや、87.1%の回答者が「配送を急がない人向けのオプション」の利用意向がある(※1)ことなどがわかった。
MMDLabo株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:吉本浩司)が運営するMMD研究所は、予備調査では15~69歳の男女5000人、本調査ではECサイトでの商品購入経験者346人を対象に「ECサイトの配送とクイックコマースに関する調査」を実施し、その結果を公表した。
ECサイトの利用者は送料や配送期間をどう捉えているのか。また、配送を急がない人に向けたオプション利用の促進に有効と思われるものは何か。EC関連事業者にとっても気になる調査結果のポイントをまとめた。
「配送を急がない人向けのオプション」の利用意向は87.1%
調査によれば、まず、ECサイトで商品を購入した際に自宅受け取りの配送を選択したことがあると回答した4211人に、「最も意識して利用している配送方法」を聞いたところ、「当日配送」が12.0%、「即日配送」が21.5%、「通常配送」が52.2%。同じく、自宅受け取りの配送を選択したことがある人に「配送を急がない人向けのオプションがあった場合の利用意向」をたずねると、「利用したい」「やや利用したい」人の割合は合計で87.1%だった。
さらに、予備調査から抽出したECサイトでの商品購入経験者346人を対象に、どんなメリットがあれば、配送を急がない人向けのオプションを選択しようと思うかについて自由回答で質問。「ポイント還元(男性・30代)」「配送料が割引される(男性・40代)」「メリットがなくても、配達員の労働負荷や環境負荷を考えて、利用したい(女性・40代)」「急ぎではない時に送料無料ならば問題ない(女性・50代)」といった回答が紹介された。
クイックコマースは若年層で利用意向が高い傾向
一方、ECサイトで商品を購入したことがある4270人を対象に「ECサイトで商品を購入しようとした際に、送料がかかることが原因で購入を諦めた経験」の有無についての回答では、「ある」が66.9%と半数以上。その割合を性年代別で見ると、「ある」と答えた人は女性60代が79.1%と最多。次いで女性50代が74.8%、女性40代が72.9%と続いた。また、「送料無料ライン(※2)が設けられている場合、その金額になるように商品の購入金額を調節した経験」をたずねると、「ある」と回答した人の割合は69.6%だった。
また、男女5000人を対象に「クイックコマースの認知」を聞いたところ、「利用経験がある(16.8%)」「知っていて、内容を理解している(8.4%)」「言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない(13.7%)」を合計し認知度は39.0%。同じくクイックコマースの利用意向について、全体では「利用したくない」「あまり利用したくない」の合計が半数を上回ったものの、男性10代(54.3%)、女性10代(53.7%)、男性20代(50.8%)では「利用したい」「やや利用したい」の合計が50%を越え、若年層で利用意向が高い傾向が示された。
配送と密接に関わる「物流の2024年問題」に加えて、消費者庁が見直しに取り組む「送料無料」表示に関する関係団体らとの意見交換会も重ねられている現在。今回の調査結果は、ECサイトを利用しているユーザーの実態と声を反映したものと言えるだろう。
※1 配送を急がない人向けオプション:配送業者の負担削減を目的として、商品が発送後3~5営業日に届くが利用するとポイント還元があるなど。通常では発送から1~2営業日で届く商品と仮定。ECサイトで商品を購入した際に自宅受け取りの配送を選択したことがある4211人を対象とし、「利用したい(45.7%)」「やや利用したい(41.3%)」の合計は87.1%だった
※2 送料無料ライン:設定されている金額以下は送料がかかってしまうものの、設定されている金額を上回った購入の場合は、送料が無料になる金額設定がある仕組み
調査概要
■調査期間:2023年9月29日~10月3日
■有効回答:<予備調査>5000人 ※人口構成比に合わせて回収 <本調査>346人
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:<予備調査>15歳~69歳の男女 <本調査>ECサイトでの商品購入経験者
■設問数 :<予備調査>7問 <本調査>3問
※本調査レポートは小数点以下任意の桁を四捨五入して表記しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合がある
※上記の調査結果、グラフはMMD研究所調べ
出典:MMD研究所「ECでの商品購入時に送料が原因で購入を諦めた経験は66.9%
配送を急がない人向けオプションの利用意向は87.1%」