アリババがCOSCOと提携
巨大配送網構築へ力を入れるアリババ
日本経済新聞によると、中国のEC最大手アリババ集団が、中国国有物流最大手の中国遠洋運輸集団(中遠集団)と提携したと報じた。
中国遠洋運輸集団はCOSCO(コスコ)の略称でも知られる中国国有の開運会社グループで、日本の川崎汽船ともCKYHアライアンスを構成している。今回の提携で、コスコ傘下の海運、空運会社がアリババ向けに国際物流を展開すると中国紙「経済観察報」が伝えており、中国への輸入品の物流効率を上げる狙いがあるようだ。
自社物流を持たないアリババは、昨年より約1兆6,500億円を投じて民間物流会社や国内外の郵政事業担当企業と業務提携を進め、大規模な配送網構築を推し進めている。昨年末に中国家電最大手のハイアール傘下の物流子会社に出資。5月にはシンガポールの郵便事業会社シンガポール・ポスト(シングポスト)と業務提携し東南アジアへの物流拡大を狙い、6月には中国最大の物流会社、地方の農村地帯まで宅配拠点を持つ中国郵政集団(チャイナポスト)と戦略提携を結んでいる。今回のコスコとの提携もこうした配送網構築の一環と見て間違いないだろう。
ECの成長に反して実店舗企業は苦戦
先日はインターネットテレビの販売や映画やテレビ、ゲームなどのコンテンツ配信も開始。自動車大手の上海汽車と提携し、インターネット自動車の開発にも乗り出すなど勢いが止まらないアリババ。
その一方で、競争の激化により苦戦を強いられている企業もある。米国の小売り大手のウォルマート・ストアーズは、事業再編の一環として中国で取締役や中間管理職などを含めた30人、中下位ランクの従業員250人の人員削減に踏み切るとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。
ウォルマートは、1996年に中国へ進出し400店舗以上にまで成長を見せた。しかし、近年は中国の倹約令の影響による経済の減速で、節約志向の進む中国での販売低迷に苦戦しているという。8−10月期の中国の売上高は0.8%減となったと報じられており、店舗網の見直しを迫られていた中でのリストラとなった。
ウォルマートはこれからも物流センターを含めた新店舗を展開していく計画は引き続き進めるとしている。同じ米小売り大手の「コストコ」や「メイシーズ」は実店舗での進出を避け、成長著しいEC事業で中国に進出。こうした展開も海外企業に厳しい市場の一つと言われる中国の小売市場をよく表している事例かもしれない。