アスクル、統合報告書2023を発表 エシカルeコマースを目指した物流の2024年問題対応やECサイトの統合へ

ECのミカタ編集部

アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃、以下「アスクル」)は統合報告書「ASKUL Report 2023」を発行した。

アスクル、2回目の統合報告書を発行

2023年11月15日、アスクル株式会社(以下、同社)は統合報告書「ASKUL Report 2023」を発行した。2回目の発行となる統合報告書では、アスクルが目指すエシカルeコマースに関する取り組みの紹介、財務・投資戦略に関する内容とあわせて財務、人材、EC、ロジスティクス、商品開発などの戦略および各責任者のメッセージも掲載されているという。

統合レポートはこちら:2023年5月期 統合報告書 「ASKUL Report 2023」

エシカルeコマースのデファクトスタンダードを目指す 

代表取締役CEO吉岡氏のメッセージによれば、2023年5月期(2022年5月21日~2023年5月20日)についてこう振り返っている(※1)。

・2023年5月期は売上高、営業利益ともに過去最高を更新
・「BtoBの成長カーブを変える」「LOHACOの通期黒字化」という2大目標の達成
・一般消費者向けのオンライン通信販売事業である「LOHACO」の黒字化
・BtoBとBtoCをEC事業として一本化(2023年3月)

2024年5月期に向けては、売上成長の加速とともに利益成長をスタートさせるため、これまで以上に顧客の利便性や満足度を徹底して高めるという。一度に必要なものをすべて揃えられるような商品の増加や配送ドライバー等とのスムーズなコミュニケーション等、スピード感を持って取り組むとした。

アスクルの今後については、経済価値と社会価値が両立したサステナブルなサービスの提供「エシカルeコマース」をデファクトスタンダードにすることを目指しているという。商品環境スコアであれば、どのECサイトにも当たり前に掲載され、多くの人が「これが載っていなかった時代は何だったのだろう」と感じるような状態にしたいと吉岡氏。

同社では2024年5月期から部長以上の役職者の報酬を評価する項目にESGへの取り組みを加えるなど、引き続きエシカルeコマースに関する動きを進めていくとした。

※1関連記事:アスクル、売上高および各段階利益ともに過去最高に BtoCサイト「LOHACO」も好調

社会課題解決を目指すアスクルのロジスティクス

時間外労働規制により、2030年には36%の供給不足が予測される「物流の2024年問題」。同社ではサステナブルなEC物流を目指すため、DXと共創をキーワードに新たなロジスティクスモデルを構築していくとしている。

新たなロジスティクスモデルとしては、大きく3つをあげている。

■輸配送
■お客様と取り組むサステナブル配送
■庫内作業

輸配送に関しては、共同での幹線輸送網構築や発注量平準化の動きがサプライヤーとともに進められている。ECのミカタで取材した同社の発注量平準化に関する取り組みは、花王株式会社とコクヨ株式会社とともに進められたものだ(※2)。

またサステナブル配送として、2023年11月よりASKULサービスにおける基本配送料が同社負担となる注文金額基準を従来の1000円(税込)から2000円(税込)に変更など物流現場の働き方改善につなげている。

※2関連記事:アスクル、花王、コクヨは物流2024年問題にどう取り組む? 発注量平準化に関する実証実験で見えた課題 まずは自社の積載量の実態を知ることから

中期経営計画の最重要戦略 アスクルの中長期における方向性

同社は、オフィス通販の領域を超え、すべての仕事場とくらしを支える社会インフラ企業を目指すため、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)の最重要戦略として下記4つをあげている。

■戦略業種と品揃え拡大
■BtoB最強ECサイト構築
■Zホールディングス(現・LINEヤフー)とのシナジー
■プラットフォームの改革

出典元:ASKUL Report 2023

中でも今後変化が大きいのは、中期経営計画の中間をなすBtoB最強ECサイト構築だろう。個人事業主・中小事業者向け「ASKUL」サイトと中堅・大企業向け「ソロエルアリーナ」サイトが統合し、新アスクルWebサイトとして売上成長を目指す。

2023年7月からすでに本格稼働されており、2024年5月からの移行期間を経て統合されるようだ。統合によって、企業規模、勤務場所・形態を問わず、働くすべてのお客様にさらに便利に商品・サービスを提供するとした。


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