「2023年度ECサイトの返品・交換データ調査レポート」 返品率が上昇する中、「顧客都合の返品」を受け付ける事業者は昨年より約12%増加
Recustomer株式会社(本社:東京都千代田区)は、購入体験プラットフォーム「Recustomer」内の返品・交換処理について過去1年を対象に調査を行った、「2023年度ECサイトの返品・交換データ調査レポート」(以下:本調査)を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
本調査では、各業界の出荷数に対する返品リクエスト(※1)件数の割合を調査。また、返品リクエストのうち、交換対応を行った割合・返金対応を行った割合を算出することで、各業界の返品の傾向を分析した。
◆調査方法:Recustomer内データにおける調査
◆調査期間:2022年11月1日~2022年10月31日
◆対象ブランド:Recustomer導入企業
※1:顧客が購入した商品を、返金もしくは交換への希望を行う問い合わせ
「アンダーウェア・下着」の返品率がトップ
業界別の返品率について、「アンダーウェア・下着」が15.1%と、最も返品率の高い業界であることが判明した。
特に女性用ブラジャーはサイズ感が重要視される為、ECサイトでの購入において不安が大きい傾向にある。そのため購入時の不安を払拭することを目的に、サイズ交換無料や返品無料などの施策を実施している事業者が多いことが考えられるだろう。
また、返品リクエスト受け付け後、交換対応を行った割合は41.1%、返金対応を行った割合は58.9%となった。これらのデータから、返品を行っている顧客の多くは、最終的に購入へと繋がっていることが推察される。
返品率は昨年より上昇、アパレルは10月の返品リクエストが最も多い
返品率は、昨年調査から2.2%上昇。中でも「靴・スニーカー」業界の返品率は11.1%であり、昨年調査から1.97%上昇した。
また、今年度の調査レポートでは新項目「返品リクエスト件数の多い月」を追加。
アパレル業界では、最も返品リクエスト件数が多い月は10月、次に多い月は3月、最も少ない月は1月ということが判明した。
加えて、業界別に、全返品リクエストに対して顧客都合の返品(※2)の割合及び、自社都合の返品(※3)の割合も算出している。
※2:サイズ違いやイメージ違いなどの、顧客都合による返金・交換
※3:不良品や誤った商品の配送などの、自社都合による返金・交換
顧客都合の返品を受ける事業者は増加傾向に
返品ポリシーにて、顧客都合による返品リクエストを受け付けている事業者の割合を調査したところ、全体としては68.3%と、昨年調査から+12.1%上昇した。
アパレル業界では63.5%であり、昨年調査から+4.2%上昇。顧客都合の返品を受ける事業者の割合の上昇と比例して、返品率が上昇していることが推察されるだろう。
返品・交換の負担を軽減しつつ施策に活かす
本調査では、2023年度の返品、交換処理の実態が明らかとなった。全体として返品率は上昇傾向にあり、「顧客都合の返品」を受け付ける事業者の割合も増加した。
こういった状況を踏まえ、正しく返品・交換データを収集・分析し、根本的な返品率の改善を行うことが今後重要になる。また、返品作業を全て手動で対応している場合、返品・交換手続きが複雑になり業務を圧迫する。顧客の負担軽減やCS工数削減のために、オペレーションの最適化も必要だろう。
返品・交換を「購入ハードルを下げる施策」や「ロイヤル顧客への手厚いサービス」として捉え、売上向上へ繋げる施策が有効になる。現物を確認できないという顧客の不安を払拭し、安心して購入できる店舗運営がより一層重要になるはずだ。