ECサイト第4世代へ これからのECサイト運用に必要な要素とは?ecbeingに聞くECカート勉強会
2023年11月29日、MIKATA株式会社(以下、当社)は、株式会社ecbeing(イーシービーイング/本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:林雅也) 上席執行役員 マーケティング営業本部 副本部長 斉藤淳氏と、同社マーケティング営業本部 岡田美生氏をお招きし、ECカートに関する勉強会を行った。
中堅から大手のサイト構築に強みを発揮する「ecbeing」
MIKATA株式会社では、2023年11月29日、ECソリューション事業やデジタルマーケティング事業を行う、株式会社ecbeing(以下、同社)の斉藤淳氏(以下、斉藤氏)と岡田美生氏をお招きし、ECカートに関する社内勉強会を開催した。
同社は幅広いビジネスモデルに対応できるサービスとして、BtoC向けEC構築「ecbeing」やBtoC向けクラウド型EC構築「メルカート(※)」、BtoB向けEC構築「ecbeing BtoB」、BtoBスモールスタート「ecWorks」などを提供している。構築実績は1600サイトを超えており、主に中堅から大手企業をクライアントとしたECサイト構築を行ってきた。また開発部門500名、マーケティング部門200名の体制で、サイト構築、構築後のワンストップサポート、サービス拡張、集客、分析、制作などトータルでサポートを提供していることも特長だ。
※「メルカート」は同社グループの株式会社エートゥジェイが運営
店舗統合やオムニチャネル化の第3世代から変化?ECサイトの時流
本勉強会では、1600以上のECサイト構築を行ってきた同社から見るECサイトの歴史と、それに伴って変化してきた求められる役割や機能について話していただいた。
ECサイトの歴史について言及した斉藤氏は、2022年からは「ファーストパーティ・ソーシャル時代(第4世代)」に突入してきているとする。これは、AIや顧客一人ひとりのデータを収集、統合、分析するCDP(Customer Data Platform:顧客データ基盤)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)などを活用して、いかに売上を伸ばしていくかという流れだ。第4世代に移行した背景には、2015年ごろから登場した、第3世代のECサイトで活用された「サードパーティーCookie(クッキー)」技術(※)がGoogleなどで制限されることがある。
「ECの売上を伸ばすことはもちろん、LTV(顧客生涯価値)を上げていくフェーズが第4世代。そこで生きてくるのが、第3世代で主流だった店舗統合や、オムニチャネルで培ったデータの活用です。このため以前の広告やWebページの最適化に合わせて、1人の顧客が年間どのくらい買ってくれるのか、いかに顧客を囲い込めるかを分析して、顧客ごとにアプローチすることが重視されています」(斉藤氏)。
※ユーザーの行動を記録し、パーソナライズされた広告やコンテンツを表示する技術
店舗を含めた顧客のLTVを上げていく、第4世代において必要なこと
改めて、これからの第4世代のECサイトで重視されるのは何かと言えば、LTVの向上となるだろう。しかし一筋縄ではいかない。
「LTV向上といっても単にいつでもどこでも買えるというように、ECの受け皿がたくさんあればいいというわけではありません。越境ECやブランドサイト、CDPなどのデータプラットフォーム、MA(Marketing Automation)などのマーケティング施策を効率化するシステムなど、多種多様な機能を1つのプラットフォームで対応しようとすると、システムが肥大化します。すると不具合が起き、時間やコストが水の泡になりかねません」(斉藤氏)。
ご存知の通り、EC業界の変容スピードは非常に速い。では時流に対しスピード感を持って対応するためにはどうしたらいいのか。同社の場合、レコメンド機能やブランドサイトを統合するためのシステム、CDP等を別個で製品として展開し、ECサイトと連携している。これによって、ソリューションごとのアップデートが可能になり、システムの肥大化やアップデートへの対応遅れを防げるという。
同社では中堅から大手に向けた「ecbeing」と、そのSaaS版ともいえる低価格&スモールスタート向けの「メルカート」と、利用する企業の事業規模や求められる機能に応じて、別の製品を用意している。「メルカート」は、中小企業を対象にしたサービスで、他社と共同のシステムを活用するため、コストは抑えられるが自社独自のサービスは組み込めないことが特徴だ。
一方「ecbeing」は中堅企業、大手企業を対象にしたサービスで自社に合うECサイトの運用が可能だ。そして先述したLTVを向上させるためのシステムや機能は、ecbeingとは別個で連携しているため、製品ごとのバージョンアップができる。企業規模が拡大した場合でも「メルカート」から「ecbeing」に移行できるので乗り換えコストが低く運用できるとした。
同社の例を用いて記載したが、こういった事業規模によって、製品を分けているところは非常に多いという。
「時流に合わせたスピーディーな対応をする場合と同様で、1つのプラットフォームで全事業規模の方が求めるサービスを実現していくのは難しいことが現実としてあります。そのため、私たちは事業規模ごとに製品を分けて対応しています」(斉藤氏)。
顧客の強みを日々アップデートするための学びを
売上を伸ばすためには、店舗も含めたLTVを向上させる施策が重要視されていることや施策に伴うコストをどれだけかけられるかが鍵となるようだ。またビジネスの規模や必要な機能によっても、その事業者に合うカートの特徴やそれを選ぶ基準は異なる。上記以外にも、事例紹介や各社ECサイト構築サービスの立ち位置や取組などの説明が行われた。
勉強会を終えて、当社代表の小林亮介は「外部からの情報で勉強をするのと、直接お話いただくのでは、インプットの仕方に違いがある。EC事業者とEC支援事業者をつなぐビジネスマッチングをする立場として、各企業の強みを学び、自分たちも日々知識をアップデートしていかなければならない」と締めた。