ダイハツ不正でトヨタ「タウンエース」トラックも型式指定取消…国土交通省が対応発表

三浦真弓【MIKATA編集部】

軽自動車の販売数トップクラスの自動車メーカー、ダイハツ工業株式会社工業(本社:大阪府池田市、社長:奥平総一郎、以下ダイハツ)の不正発覚から約1カ月。2024年1月16日に国土交通省が対応について発表した。立入検査の結果、新たに14件の不正行為が確認され、特に悪質な不正行為が行われたと認められるダイハツ「グランマックス」、トヨタ「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」(いずれもトラックタイプのみ)に関しては、型式指定を取消すことになったという。物流業界にも深く関連する「トラック」だけに、非常に気になるところだ。詳細を見ていこう。

OEM生産のトヨタ「タウンエース」やマツダ「ボンゴ」も型式指定取消

国土交通省はダイハツからの型式指定申請における不正行為の報告を受け、不正行為の事実関係等の確認のため、同社に対して2023年12月21日から2024年1月9日まで立入検査を実施。その結果、ダイハツから報告があった46車種142件の不正行為の事実を認定するとともに、新たに14件の不正行為(試験車両に不適切な加工を行う不正行為が9件、規定と異なる試験装置を使用する不正行為が5件)を確認。合計で46車種156件に上ったという。

衝撃的なのが、特に悪質な不正行為(※)が行われたと認められるダイハツ「グランマックス」、トヨタ「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」(いずれもトラックタイプのみ。なお、「グランマックス」のトヨタへのOEMが「タウンエース」、マツダへのOEMが「ボンゴ」)の3車種について、型式指定を取消すこととなったとし、すでに関係法令の規定に基づく手続きが開始されていること。

ダイハツの発表によれば、2022年度の生産台数(海外向け含む)は、「グランマックス」が6万7834台(ただしバンタイプ含む)。「タウンエース」(「ライトエース」含む)は2万8381台、「ボンゴ」は2100台だったといい、それぞれ販売台数も好調だったことがうかがえる。その分、影響が出てきそうだ。

また国交省はダイハツに対し、「二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革」を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、国土交通大臣から是正命令を発出。さらに1カ月以内に再発防止策を報告し、その後四半期ごとに再発防止策の実施状況を報告するよう求めている。

なお、基準不適合の可能性があるダイハツ「キャスト」、トヨタ「ピクシスジョイ」の2車種に関しては、リコールが必要な場合は速やかに届出を行うよう指導したという。

※試験車両に対する不正加工により、申請に係る自動車と異なる構造の自動車を用いて試験を実施

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根本的な見直しは?

2023年12月20日に行われたダイハツ、トヨタ自動車による記者会見で、すでに型式取消について記者から指摘を受けており、ダイハツの奥平総一郎社長は「今の状況を考えれば深刻な状況であると思っている」とし、当局と相談の上、対応するとしていた。また、不正が起きた要因として企業風土そのものに問題があると第三者委員会から指摘を受けたことに関し、奥平社長は「経営の問題。社風にもあり根本から見直すべきではないかと指摘されている。社風を変えるべく取り組んでいくが、それでは不十分と考え、提案にもあるように外部指導を受ける。継続的な監視も受ける」と話していた。しかし現時点では経営陣の交代よりも、安心できる製品の提供に努めるとしていた。

しかし、これだけの不正発覚となると、たとえ「乗車しても問題ない」「使用しても問題ない」と案内があっても、万が一の想定をせざるを得ないケースも出てくるだろう。配送を支える「トラック」が絡むだけに、一日も早い全容解明及び改善が求められる。

出典:
国土交通省「ダイハツ工業の不正事案に関する国土交通省の対応について」
国土交通省 国土交通大臣「自動車の型式指定申請に係る違反の是正命令」