国交省 物流の2024年問題に対応する改正法案の閣議決定を発表 荷主・物流事業者に対する規制も
国土交通省は、2024年問題に対応し、物流の持続的成長を図るため「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を2024年2月13日に閣議決定したことを発表した。
荷主・物流事業者、トラック事業者の取引、軽トラック事業者それぞれに対する規制の努力義務や義務化が行われるため、荷主となるEC事業者は特に確認しておきたい。
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法とは?
今回の閣議決定で改正された法律は、流通流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(以下、物流総合効率化法)と貨物自動車運送事業法の2つ。
物流総合効率化法とは、流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、「輸送網の集約」「モーダルシフト」「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律のこと(※1)。計画の認定が行われることで、事業者は営業倉庫に関する法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度やモーダルシフト等の取り組みに対する計画策定経費や運行経費等の補助が受けられるという。
また貨物自動車運送事業法は、トラック運送事業者として事業を営むために必要な営業所や車両数、事業用自動車などの基準を定めたもの(※2)。貨物自動車運送事業法ハンドブックでは、貨物自動車運送業を行う上で必要な法の解説や情報が記されている。
※1 出典元:物流総合効率化法について(国土交通省)
※2 参考元:貨物自動車運送事業法ハンドブック 平成30年12月改正対応(監修 国土交通省自動車局貨物課)
荷主・物流事業者、トラック事業者に対する規制を発表
物流産業を魅力ある職場とするため、働き方改革に関する法律が2024年4月から適応される。しかし、この法律適用で何も対策を講じなければ2024年には14%、2030年には34%の輸送力不足に陥るという。また軽トラック運送業においては、最近6年で死亡・重傷事故件数が倍増しており、安全対策の強化が求められている。
こうした状況に対応するため、流通業務総合効率化法と貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案が提出され、2024年2月13日に閣議決定された。
閣議決定された改正案は下記の3つ。
①荷主・物流事業者に対する規制 【流通業務総合効率化法】
②トラック事業者の取引に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
③軽トラック事業者に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
閣議決定された法案の内容
荷主・物流事業者に対する規制 【流通業務総合効率化法】
荷主(発荷主・着荷主)と物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定する。取組状況については、国が当該判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施するという。
また一定規模以上の事業者は特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付ける(特定事業者の荷主においては物流統括管理者の選任も義務)。中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分な場合、勧告・命令を行う。今回の改正に伴い、法律の名称を「流通流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律」へ変更する。
トラック事業者の取引に対する規制
元請事業者に対しては、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付ける。また運送契約の締結等に関しても提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む)等について記載した書面による交付等を義務付ける。
下請け行為の適正化については努力義務となっているが、一定規模以上の事業者に対しては管理規程の作成、責任者の選任を義務付けるとしている。
軽トラック事業者に対する規制
軽トラック事業者に関しては、必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、国交大臣への事故報告の義務付けを行う。
物流の持続的成長に向けてKPIを設定
荷主、物流事業者、トラック事業者、軽トラック事業者に対する規則的措置において、国土交通省は施行後3年で「荷待ち・荷役時間を年間125時間/人削減」「積載率向上による輸送能力を16%増加する」としている(2019年度比)。
荷主としてトラック事業者とやりとりするEC事業者もいるのではないだろうか。今回の法改正を受けて、荷主・物流事業者に対する規制に関しては特に確認をしておきたい。