物流2024年問題への対応可否、スポットワーカーが一つの要に?
株式会社タイミー(以下:タイミー)は、登録する事業者582社を対象に「物流2024年問題」についての意識調査を実施、結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査名:物流2024年問題に関するアンケート
◆調査期間:2024年3月19日〜25日
◆調査対象:タイミーに登録している事業者582社
◆エリア:47都道府県
◆調査方法:インターネット
◆出典元:タイミー、物流2024年問題に関する意識調査レポートを公開(株式会社タイミー)
物流企業の3社に1社が完了の目処たたず
「物流2024年問題」について、タイミー導入事業者の約97%で対応が発生。
その一方「既に対応を完了している」企業は、13.9%に留まり、制度導入目前にしながらも2割近くの企業が「対応の目処がたっていない」と回答している。
直接的に影響を受ける物流業では他業種と比べ対応の度合いは大きいものの「現在対応中だが、完了の目処はたっていない」と回答した企業が34.9%を占める。
実に3社に1社以上の物流業社が規制開始を目前にした段階でも、対応の目処がたたない状況にあることが明らかとなった。
「スポットワーカー」活用に10pt以上の有意差
「物流2024年問題」に荷主、物流業者、自社配送網を持つメーカー、その他(荷受・倉庫)などの立場で関わりのある事業者を対象に、成果について聞いたところ「一定の成果が出ている」と回答した事業者は、全体の4分の1以上(26.4%)となった。
そこで「物流2024年問題」の対応で「一定の成果が出ている企業」と「成果が出ていない企業」を比較したところ「スポットワーカー」の活用について、業務の切り分け・荷役分離・人件費の変動費化にそれぞれ10pt以上の有意差がみられた。
「一定の成果」については、以下のような回答が並ぶ。
◆スポットワーカーを活用することで、ドライバーの待機時間を月10時間削減できた(飲食サービス業・荷主)
◆ポイントとなる作業工程にスポットワーカーを時間制で導入することで、センター内の作業時間短縮(−1時間)、拘束時間抑制(月間15時間以内)、全体労働時間短縮(1人あたり5分/日)の効果が生み出されている(物流業・荷主及び配送事業者)
◆販路を変えた事で、ドライバーの運転時間は往復3時間→往復1時間10分に削減できた。また削減出来た残りの勤務時間を生産作業に充当することで出荷量増加にも繋がった(農業・荷主)
荷役分離などでのスポットワーク活用が活発
4月以降スポットワーカー活用における頻度・募集人数について聞いたところ「物流2024年問題」の対応で「一定の成果が出ている企業」と「成果が出ていない企業」では成果の出ている企業の方が、頻度・募集人数ともに増やす傾向が見られた。
また「直近1年間、長期雇用を目的とした採用のために使用したサービス」を聞いたところ、1位「インターネットの求人情報サイト(55.6%)」、2位「公共職業安定所(ハローワーク)(43.1%)」、3位「タイミーで来たスポットワーカーの引き抜き(40.3%)」という結果となり、スポットワークが採用手段の一つとなっていることが明らかになった。
本調査では「物流2024年問題」において3割以上の物流事業者が対応の目処がたたない状況にあることが判明。対応で一定の成果を出している企業では、荷役分離などでのスポットワーク活用が活発なことが明らかになった。
こうした状況から「物流2024年問題」への対策において、「スポットワーカー」の活用が一つの選択肢として期待を集めるだろう。今後も募集頻度、人数を増やす傾向も見受けられるため、物流現場での人材に緩やかな変化が起きていくかもしれない。今後の動向に注目しつつ、持続可能な物流環境維持のための取り組みを進めていきたい。