野菜販売・果物販売まとめ。方法や許可、利益率の目安など解説

ECのミカタ マーケティング部

野菜販売・果物販売まとめ。方法や許可、利益率の目安など解説

「自分で作った野菜や果物をもっと多くの人に食べてほしい」「野菜や果物販売で利益を出すことは可能だろうか」と悩む生産者は多いでしょう。

野菜や果物の生産者が農作物を販売する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。また、販売には特別な許可や届出、資格は必要なのかも気になりますよね。

今回は、野菜や果物を生産している方に向けて、販売方法の特徴やメリット、必要な許可や資格などの有無やその内容について解説します。

また、傷がついた訳あり商品や規格外の野菜や果物の販売についても紹介するので、参考にしてください。

野菜販売・果物販売の7つの方法

「野菜や果物を販売したい」と考えたとき、どんな方法があるのか気になりますよね。それぞれの特徴やメリットを押さえて、自分に合う方法を選びましょう。

農協

野菜・果物販売と聞くと、真っ先に農協での販売を思いつく方も多いのではないでしょうか。

農協とは、農家を中心とした組合員が互いに助け合う組織のことで、加入すると農業における指導が受けられたり、出荷施設が利用できたりとさまざまな恩恵を受けられます。

昔から一般的に野菜や果物を販売するために、農協に出荷することがおこなわれてきました。

農協を利用するメリットは、出荷した野菜や果物を基本的に全量を買い取ってくれることです。自分で販路を開拓する必要がないのがうれしいですね。しかし、農協が定めた基準に達していない野菜や果物は出荷ができないため、出荷するためには常に高い品質が求められます。

農協が野菜や果物を買い取る価格は市場価格に左右され、農家が金額を決められません。適正価格の設定が難しい人にとってはメリットになりますが、野菜や果物の販売で売上をアップしたいと考えるならデメリットになります。

道の駅・直売所

生産者が直接お店で販売する道の駅などの直売所の利用は、農協以外の販売経路で大きな割合を占めます。

自分で価格を決定できるため、高額で売れる可能性を秘めている一方で、供給量が需要を上回る場合は売れ残ってしまうおそれもあります。

また、委託販売による手数料が8~25%かかることや、販売時期や扱う商品によって売上が増減することも考慮に入れておきましょう。

出典:農林水産物直売所・実態調査報告~全国農林水産物直売所の実態調査から見た、直売活動の今~|農林水産省

インターネット販売

インターネットを介して消費者に販売する方法は、近年コロナ禍から需要が高まっています。近所のスーパーでは手に入りにくい珍しい野菜や果物を求めて、オンラインショップを利用する消費者も多いです。

インターネット販売では、自由な価格設定や、定期購入便などのインターネットならではのサービスの提供ができる点がメリットです。また、余った商品や規格外野菜といった訳あり商品なども販売できるのもうれしいですね。

一方で、在庫管理や顧客管理、梱包作業、購入者のアフターフォローなど、さまざまな作業による負担が増加するおそれがあります。

直送販売

直送販売は「新鮮な野菜が手に入る」と利用者に人気の販売方法の1つです。最近では、産地直送に特化した販売サイトもあります。

直送販売は利用者が多く、集客しなくとも売れやすいのがメリットです。一方で、ほかの生産者との価格競争が起こりやすく、売上が安定しにくいでしょう。

無人販売・自動販売機

無人販売や自動販売機は、人件費などのランニングコストが抑えられることがメリットです。また、自身が所有する敷地内であれば販売の許可は不要です。

一方デメリットには、立地や商品の内容に売上が左右されることや、路上での販売では許可が必要なこと、野菜や果物、売上金を盗難されるリスクがあります。

移動販売

移動販売は、店舗を持たずトラックなどで移動し、さまざまな場所で野菜や果物を販売する方法です。出店する場所やタイミングを自由に決められることや、店舗費用がかからないことがメリットです。

販売場所によっては許可が必要になります。たとえばマルシェなどのイベントなら、イベント運営者に対して手続きをおこないます。公道であれば、市町村の役所で道路を使用する許可を取らなければなりません。

また、天候や販売する場所によっては売上が出ないこともあり、収益が安定しないのがデメリットです。

生協・スーパー・レストランとの直接取引

生協やスーパー、レストランとの直接取引も、近年増えてきた野菜や果物を販売する方法の1つです。有機野菜や珍しい品種などを育てている方は、売上を上げるチャンスなので、あらかじめ取引先と関係を築いておきましょう。

取引価格の決定権は生協やスーパー側にあります。しかし、付加価値のある野菜や珍しい野菜などを一定数確保したいレストランやスーパーとの取引は、一般の販売方法よりも価格が高くなりやすいです。

天候や天災の影響で出荷できないと、取引先の営業にも損害が発生してしまうおそれがあるため、供給における徹底したリスク管理が必要です。

【詳細】野菜や果物のインターネット販売における選択肢

野菜や果物をインターネットで販売するには、大きく4つの方法があります。ここからは、それぞれの特徴についてみていきましょう。

自社ECサイトで販売

ASP型のECサイトを活用して野菜を販売することも可能です。ASP型のECサイトは、ShopifyやBASE、STORESなどのEC機能のあるプラットフォーム上に制作した自社ECサイトです。

デザインの自由度が高いため商品の魅力を伝えやすいことや、プラットフォームを利用する手数料は安い傾向にあります。一方、自社サイトでは集客のためにSNS運用やSEO対策をおこなう必要があります。

ECモールで販売

野菜や果物のインターネット販売を初めておこなう場合、ECモールでの販売から取り組むケースが多いです。

Amazonや楽天市場などは集客力がある一方で、出店している店舗の数が多いため、商品が埋もれたり、価格競争に巻き込まれたりするおそれがあります。

ECモールによって固定費やシステム手数料、販売手数料などが異なるため、それぞれのサイトにかかる費用を利用前に押さえておきましょう。

参考:

出品プラン|Amazon

プラン・費用|楽天

サービス・料金詳細|楽天

直送販売プラットフォームで販売

直接販売プラットフォームは、ECモールよりもターゲットを絞った集客力を持ちます。価格設定を自由にできるのもメリットです。

一方で、出店審査に通過するハードルや、商品ごとの手数料が高いことがデメリットです。また、競合との価格競争に巻き込まれる可能性もあります。

たとえば「食べチョク」は、会員数は100万人を超える、認知度が高い産直通販サイトです。出品にあたり、初期登録費用や月額費用、決済手数料などは無料ですが、顧客支払額の8〜10%を手数料として支払う必要があります。

出典:出品者募集|食べチョク

メルカリなどのアプリで個人販売

アプリを使って野菜や果物を個人販売することも可能です。

たとえばフリマアプリとして有名なメルカリでは、メルカリShopを開設できます。アプリ上で、出店から運用まですべておこなえるため、スマホだけで手軽に始められるのが魅力です。

メルカリで野菜を販売している人の中で、3~4時間のライブ配信中にメルカリでの野菜販売の売上が97万円になった事例があるようです。現在はライブ配信サービスは終了しましたが、メルカリなどのアプリは何となく眺めている人も多く、目に留まる機会が多いです。

メルカリShopでは初期費用や月額固定費はかからず、商品が売れたときに送料を含めた商品価格の10%がかかる仕組みになっています。そのほか、売上金を銀行口座に振り込むときの振込手数料がかかります。

出典:

メルカリShopsのショップ開設から運営まで丸わかりガイド|メルカリ

メルカリShopsの月額利用料はいくら?固定費は無料!必要な手数料について詳しく解説|メルカリ

野菜販売・果物販売に必要な許可・届出・資格は?

野菜や果物の生産者が直接販売する場合は、実店舗・ネットショップ両方とも許可は必要ありません。ほかの人が作った野菜や果物を仕入れて販売する場合に、野菜果物販売業が必要になります。

ただし、生産者でも野菜や果物を加工した商品を扱う場合や販売場所によっては、許可・届出・資格が必要になることもあります。ここからは、野菜や果物の販売にかかわる許可・届出・資格についてみていきましょう。

公道を利用する場合の利用許可

移動販売や無人販売で公道を利用する場合は、市町村の役所で道路使用許可をもらう必要があります。

食品衛生法に基づく営業許可(加工食品の場合)

生鮮野菜だけでなく野菜や果物を加工したジュースやジャムを販売する場合は、食品衛生法に基づく営業許可を保健所に取る必要があります。

出典:営業許可制度の現状について|厚生労働省医薬・生活衛生局

食品衛生責任者資格(加工食品の場合)

食品衛生法に基づく営業許可をとるうえで、食品衛生責任者の設置が求められます。1回の講習で取得できますので、ジュースやジャムなどの加工食品を扱う予定がある人は講習会に参加しましょう。

出典:食品衛生責任者|東京都保健医療局

そもそも儲かる?野菜販売・果物販売の利益率や税金に関すること

野菜や果物の販売における利益率は、扱う品目や需要と供給のバランス、価格設定などを考慮に入れる必要があるため、一律に儲かるとはいえません。販売方法によっては手数料や人件費などのコストがかさむことも考える必要があります。

野菜販売の利益が一定の金額を超えれば、所得税を支払う必要があります。無人販売や移動販売などの利益も所得としてカウントされるため、所得控除の合計を超える利益が出た場合は確定申告をおこないましょう。

また、税金を納めていないことが発覚した場合は延滞税などがかかります。

【FAQ】野菜販売・果物販売のよくある質問

野菜販売・果物販売でよくあがる疑問について解説します。

有機野菜をネット販売したいときはどうしたらいい?

有機野菜やオーガニック野菜として生産・販売するには、有機登録認証機関に申請し有機JAS認証を受ける必要があります。認証を受け、有機JASマークの使用が認められた生産者以外は「有機」「オーガニック」という名称は使えません。

有機JAS認証を取得するには、農業経験が原則3年以上で、JAS基準にクリアしていることが必要です。また、取得には申請料や実地検査・調査料などがかかることも押さえておきましょう。

また、野菜の販売などでパッケージや商品説明に「無農薬」という表示を使うことは、特別栽培農産物に係る表示ガイドラインで禁止されています。

出典:

有機食品の検査認証制度|農林水産省

特別栽培農産物に係る表示ガイドライン|農林水産省

固定種野菜・在来種野菜とは?

固定種とは、親・子・孫と代々形質が変わらず固定されてきた品種をさします。在来種は、何代もの長い年月をかけてその地域の気候やその土地の風土に適応した品種で、必要以上に肥料や農薬に頼らなくても栽培が可能です。

一般的に、固定種は種苗会社が形質を固定したもので、在来種は農家が自家採種したものをさすことが多いです。

現代の農業では、人工的に作られた一代限りの雑種であるF1種の野菜が主流です。大量生産や安定した供給が可能で、スーパーなどで購入できる野菜のほとんどは、F1種といわれています。

在来種は見た目や味のバリエーションに富んでいるものが多く、付加価値をつけて販売できます。また自家採種できるので、種を仕入れるコストを削減できるのもメリットです。実際に、固定種・在来種の野菜に限定したネット販売なども存在しています。

不揃い野菜はインターネット販売がおすすめ?

不揃い野菜は規格外野菜とも呼ばれ、出荷先の基準を満たせなかったものをさします。厳しい水準がある農協では販売できないため、ネットで販売する生産者もいます。

しかし、そもそも規格外野菜が出ることは少なく、5%にも満たないともいわれています。また、規格外野菜を安く販売すると、基準を満たした野菜が売れなくなるおそれがあるため、適正な価格で出すことが重要です。

傷物野菜はインターネット販売がおすすめ?

傷物野菜も不揃い野菜と同じく規格外野菜と呼ばれ、農協では販売できないため、ネット販売をおこなう生産者もいます。また、規格外野菜を扱うサイトも増えています。

野菜など専門商材を扱うEC運営は代行・コンサル会社への相談がおすすめ◎

野菜や果物を販売する方法はさまざまで、扱う商品の種類やコスト、価格設定に合わせて自分に合うものを選択するのが重要です。

生産者が野菜や果物を直接販売する分には許可や届出は不要ですが、販売場所や加工食品を扱う場合など許可が必要になるケースもあります。

近年は、インターネット販売の需要が高まっているため、ECサイトやアプリなどを活用した販売方法を取り入れる生産者も増えています。

インターネット販売は、作業が煩雑化しやすいのが特徴です。また、消費者に商品を知ってもらうためにSNS運用やSEO対策なども必要になります。生産者だけですべてをおこなうのは難しいため、EC運営代行やコンサルティングを活用しましょう。

ECのミカタでは、ECサイトに特化したメディアを運営する専門コンシェルジュが、ヒアリングをもとに目的に応じた運営代行会社やコンサルティング会社をご紹介します。コンシェルジュへの相談や運営代行会社の紹介は無料なので、野菜のインターネット販売を検討している方は、ぜひ一度ご相談くださいね。

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