国土交通省が倉庫事業者・貨物利用運送事業者向け相談窓口設置で価格転嫁・交渉健全化へ

三浦真弓【MIKATA編集部】

2024年4月15日、国土交通省が新たに倉庫事業者・貨物利用運送事業者向け相談窓口を設置したことを発表した。

適正な価格転嫁や価格交渉が進むよう促す狙い

物流の2024年問題が取りざたされる中、政府では物流の持続的成長に向けて「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」において政策パッケージをとりまとめ、2024年4月以降、物流に支障が生じないよう環境整備に取り組んでいる(※1)。

また、2023年(令和5年)11月29日、内閣官房および公正取引委員会において、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が策定された(※2)。この指針では、労務費の転嫁に係る価格交渉について、「発注者」および「受注者」それぞれが採るべき行動/求められる行動を12の行動指針として取りまとめられている。

しかし一方で、価格転嫁にはまだまだ課題があるのが現状だ(関連記事:「公正取引委員会が『優越的地位の濫用』に係るコスト上昇分の価格転嫁について調査! 実態は」)。

こうした中、3月には国交省が「標準的な運賃」について告示(※3)。「標準的な運賃」は、一般にトラック事業者の荷主に対する交渉力が弱いことや、2024年(令和6年)度からのいわゆる「物流の2024年問題」の核となる「年間960時間の時間外労働の限度時間設定」による運転者の労働条件を改善など、法令を遵守して持続的に事業を行っていくための参考となる運賃。トラック運送業がその機能を持続的に維持していくために重要な指標で、これを示すことで、効果的であるとの趣旨により設けたという。

さらに今回、新たに倉庫事業者・貨物利用運送事業者向け相談窓口を設置することで、適正な価格転嫁や価格交渉が進むよう促す狙いがあると考えられる。

なお相談は価格転嫁や価格交渉に関する相談はメールで受け付けている。
→ hqt-souko_riyou@gxb.mlit.go.jp

発注者となる企業は、倉庫事業者・貨物利用運送事業者からの交渉に正しく応えられるように準備をする必要があるだろう。

※1 出典元:内閣官房「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議
※2 出典元:公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針
※3 出典元:国土交通省「「標準的な運賃」について
※4 出典元:国土交通省「倉庫事業者・貨物利用運送事業者向け相談窓口の設置について