越境ECが将来性のスコア伸長トップに! 「今後伸びるビジネス」2024年上半期ランキング発表
株式会社日経BP(以下:日経BP)は2024年5月14日、マーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「消費トレンド」「テクノロジー」の潮流を見極める「トレンドマップ2024上半期」を発表、注目キーワードをランキング化した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
「トレンドマップ2024上半期」の分析手法
調査は2024年4月に実施。日経クロストレンド編集部がマーケティング分野の30キーワード、消費トレンド分野の32キーワード、テクノロジー分野の30キーワード、計92キーワードを選定。それぞれを認知する人に、そのキーワードの「将来性」と現時点での「経済インパクト」とを5段階で尋ねてスコアリングした。
質問の選択肢は下記の通り。
◆将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)
1.将来性は低い/2.将来性はやや低い/3.どちらとも言えない/4.将来性はやや高い/5.将来性は高い
◆経済インパクト
1.どの企業も収益を得られていない/2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している/3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している/4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している/5.社会全体になくてはならない存在
◆出典元:日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」2024年上半期ランキングを発表(株式会社 日経BP)
消費トレンド分野にて「越境EC」が高い伸びを示す
23年11月に実施した前回調査との比較で、今回将来性スコアが伸びたトップ3は、マーケティング分野では「サブスクリプション型コマース」「CX(顧客体験)」「チャットbot(対話型AI含む)」となった。
また、消費トレンド分野では「越境EC」「節約志向」「TikTok売れ」「共働き」、テクノロジー分野では「VUI(音声ユーザーインターフェース)」「生成AI(ChatGPT、Copilot in Windowsなど)」「フードテック」が並ぶ。
一方、経済インパクトについて、全体でスコアの伸びがトップだったのは、マーケティング分野の「パーソナライゼーション」。そのほかのジャンルについては、消費トレンド分野では「越境EC」、テクノロジー分野では「生成AI(ChatGPT、Copilot in Windowsなど)」が高い伸びを示した。
◆各分野でスコアを伸ばしたキーワードランキング(2023年下半期調査との比較)
インバウンド月間300万人時代の受け皿「越境EC」
前回の調査から、将来性スコアが最も大きく伸びたキーワードは消費トレンド分野の「越境EC」であり、0.27ポイント増の3.67となった。
経済産業省の調査によると、2022年の越境EC市場規模は米国向け(米国の消費者が日本から商品を購入)が前年比6.8%増の1兆3056億円、中国向け(中国の消費者が日本から商品を購入)も同5.6%増の2兆2569億円と伸長。
直近では訪日外国人の数が2024年3月に単月では初となる300万人超となるなど、インバウンド需要は加速の一途をたどっている。今後も日本で出合った商品を帰国後に追加購入する際の受け皿として、越境ECに期待を寄せる企業の増加が将来スコアの上昇という形で表れたといえるだろう。
「リユース消費」と越境ECによる可能性
今回の調査では新たに、マーケティング分野の「イマーシブ(没入体験)」、消費トレンド分野の「リユース消費」、テクノロジー分野の「宇宙テクノロジー」「五感テクノロジー」がキーワードとして追加された。
中でも注目すべきは「リユース消費」であり、消費トレンド分野のジャンル別将来性スコアランキングで15位に。現在、Z世代を中心にエコに対するブランド姿勢によって共感度が左右される傾向が強まっているという。
リユース品は越境ECとの相性も良く、日本で販売・使用されたリユース品が海外バイヤーから「Used in JAPAN」と称され、保存状態の良さなどから「高品質・低価格」という意味で注目されている(※1)。
また、メルカリは2024年4月30日より英語、繁体字中国語、韓国語の3言語対応のWebページを展開(※2)。国内外に対する顧客へスムーズな利用環境を提示した。
越境ECの伸長とリユース消費への注目度向上によって、これまで以上の市場拡大、活性化が期待できるだろう。2024年下半期へ向けた施策検討に、本調査内容を参考にしてみてはいかがだろうか。
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※2 関連記事:メルカリが英語、繁体字中国語、韓国語の3言語対応のWebページを展開