年末商戦に見るECと実店舗の関係

この記事のまとめ

・イベントの贈り物に関する「子供」と「恋人」の2パターンの消費者動向調査を比較
・数字から見えてくる「EC」と「実店舗」の弱さと強み
・EC事業者が、贈り物絡みのイベント商機を制するポイントは……

商機の取り込みは万全?

この数日私は、自分で消費者動向調査を行ったり、同様の内容の他社調査結果をチェックしたり、ギフトサイトを比較したりしていて、漠然と思っていることがある。なんとか形にできないものかと、事例を並べながら考えてみた。

◆子供に対するクリスマスプレゼント消費者調査

ジーエフケー・ライフスタイルトラッキング・ジャパン株式会社(以下GfK Japan)は、クリスマスプレゼントにおもちゃ(ゲーム機、ゲームソフトを除く)を購入予定の、4歳から9歳の長子を持つ親に実施したアンケート調査より、サンプル数1,200の子供に対するクリスマスプレゼントの検討状況を2014年12月24日に発表した。

この調査によると、クリスマスプレゼントの購入は12月が56%を占め、11月が17%、具体的に決めていないが27%という結果が出ている。
また、クリスマスプレゼントを購入する場所についての質問では、11月中はECサイトが多く、12月に入るにつれ実店舗の割合が上がっていくという結果が出ている。
半数以上が12月に購入予定かつ、12月は実店舗購入率が高い。つまり、「子供にあげるクリスマスプレゼントに関しては実店舗が強い」という傾向が見て取れるのではないだろうか。

◆恋人がいる男女のクリスマスプレゼント消費者調査

先日の記事と重複してしまい恐縮だが、弊誌編集部で「恋人がいる男女400人に聞いたクリスマスプレゼントに関する意識調査」では、プレゼント準備開始時期や情報収集手段、購入場所などについての消費者動向調査を行った。

※参考記事:http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=4288

この調査結果では、クリスマスプレゼント準備開始期間についての質問で、「1週間前」が最多33.8%、「2週間前」が次いで26.3%、という結果が出ている。
また、クリスマスプレゼントを購入する場所についての質問では、「実店舗」が64.5%、「インターネット(EC)」が35.5%、という結果であった。
半数以上が12月中に購入予定で、約6割が実店舗購入予定とのこと。やはりここでも「恋人にあげるクリスマスプレゼントに関しては実店舗が強い」という傾向が見て取れる。

以上、「子供」と「恋人」に対するどちらの調査でも同様の結果がでていることが分かるだろう。
この結果から、「贈り物の絡むイベントは大きな商機であるが、ECはまだ完全に取り込みきれていないのでは」ということが考えられる。贈る相手が子供でも恋人でも、日々忙しく直前購入が多くなり、となるとECでは到着が当日に間に合うか、万が一失敗した場合のリカバリーのスケジュール感など不安材料も多く、安全牌として実店舗で……というパターンが多いのではないだろうか。

こういった傾向に関しては、Amazonが実際に対策を練っていた。
12月17日に、クリスマスイブに商品の配達が間に合う注文のタイミング目安を主な都市別に表で公開したのだ。WEBページにて地図を色分けし、注文締め切り時間の目安を日別だけでなく具体的な時間帯まで案内した。「この日の何時までに注文してもらえればイブに間に合います」という目安があれば、イベントの贈り物を購入する際に消費者が感じる不安材料を減らすことができる。贈り物が絡むイベントの商機をつかむカギがこの発想にある気がする。
消費者が不安に感じるであろうECのウィークポイントを期間限定でもいいから軽減、もしくわ消し込み、それをしっかりとアピールすることが大切なのではないだろうか。

年末年始のイベントに備え

大きなイベントであるクリスマスも終わり、次なるイベントに目を向ければ「福袋」が見えてくる。
各種百貨店や家電量販店など、ECによる福袋の予約を開始しているところも非常に多く見受けられる。ここでも「EC」と「実店舗」それぞれ強み弱みがあるだろう。お正月の朝、寒い中行列を作り店頭に並び福袋を購入する行為は、単純に福袋の購入のみが目的ではない。出かける準備をしているとき、開店時間を待ち寒さを堪え並んでいるときの高揚感から実際の購入の瞬間など、全ての「体験」も含めての文化のようなものではないだろうか。

そのような背景で福袋という商機をつかむには、ECの強みと弱みをしっかりと認識し、対策を行うことが重要になってくるだろう。どのような切り口で展開するかは、扱う商材などにより千差万別である。お正月に備え、最後のやれることは何かを練ってみてはいかがだろうか。


2014年も「ECのミカタWEB」をご贔屓いただき誠にありがとうございました。編集部は本日が仕事納めです。来年も変わらぬご贔屓のほど、お願い申し上げます。
お世話になりました、EC業界に関わる全ての方々。良いお年をお迎えください。