8月の食品値上げは642品目、物流費要因の値上げが増加傾向に 帝国データバンク調査

ECのミカタ編集部

6月の食品値上げ614品目 「円安値上げ」全品目の3割に拡大 海苔製品で一斉値上げ

株式会社帝国データバンク(以下:帝国データバンク)は、2024年8月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。

◆対象期間:2024年7月31日時点
◆調査機関:株式会社帝国データバンク

◆出典元:定期調査:「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年8月 (株式会社帝国データバンク)

値上げ沈静化が進む一方「物流費」の影響も

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした8月の飲食料品値上げは642品目。8カ月連続で前年同月を下回る結果となった。4カ月連続で1000品目以下の水準にとどまり、値上げ沈静化の傾向が続く。

一方、値上げ要因では「物流費」の上昇による影響が広がりをみせている。24年(1〜11月)に予定される値上げ品目のうち、「物流費」要因の値上げが品目数ベースで68.2%と、前年の同時期(57.5%)と比較して上昇。急速に進んだ円安ドル高による輸入コスト増を背景に、「円安」要因の値上げは30.2%に達した。

「加工食品」「菓子」の値上げが目立つ

2024 年8月の値上げは「加工食品」が全食品分野で最も多い319品目。輸入小麦の輸送費上昇などを背景に、大手各社で乾麺やソースなど「パスタ製品」で一斉値上げが目立つ。

「菓子」(128 品目)は、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景に、「チョコレート製品」の値上げが中心に。また、チョコやレーズンの価格上昇で一部菓子パン製品でも値上げがみられた。

なお、9月以降は冷凍食品やハム・ソーセージ製品の値上げが予定されているほか、清涼飲料水 を中心とした缶・PET飲料、ビール類を除く酒類、アイスクリーム・氷菓製品、パックごはんなど、幅広い品目の値上げが見込まれている。

値上げの勢いに後退感がみられる

値上げの勢いに後退感がみられる

10月の食品値上げ予定品目数は、今年4月以来となる2000品目台で推移。今後の見通しについて帝国データバンクは「24年通年では、10月に値上げラッシュを迎えた後は11月、12月ともに総じて落ち着いた推移が想定され、1万5000品目前後での着地が予想される」とコメントしている。

現在、急激な円安の進行に加え、食品トレーやビンなど包装資材、物流費などのコスト増が複合的に発生している。さらに、大雨や猛暑、干ばつをはじめとする世界的な異常気象による原材料高も表面化してきた。

一方、実質賃金の伸び悩みによる購買意欲の低下を背景に、値上げ後の商品を買い控えるといった消費者の値上げ疲れ、PB製品など低価格の代替品志向といった動きが強まっている。

本体価格の「引き上げ」から内容量の減量などによる「据え置き・維持」へのシフトが食料品でも目立ちはじめており、値上げの勢いには後退感がみられるだろう。引き続き市場動向に注視しつつ、消費者に対して適切なアナウンスを行っていきたい。


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