物流管理とは。管理項目や管理システムの種類を紹介

ECのミカタ マーケティング部

物流管理とは。管理項目や管理システムの種類を紹介

ECサイトの運営において商品の品質を重視する企業は多くありますが、物流管理や品質についてはどうでしょうか。

物流管理は、顧客満足度の向上や利益の最大化につながる重要な要素です。削減すべきコストセンターと捉えるのではなく、物流管理を経営戦略として取り入れる企業も増えてきました。

今回は、物流管理をEC事業に役立てるためにはどのような要素がポイントとなり、どのような仕組みが必要なのか、事例を交えて解説します。

貴社に最適な物流会社の無料ご紹介はこちらから

物流管理とは

物流管理とは「物流業務を最適化し、その状態を保つこと」を指します。

物流業務には、主に「輸送・配送」「保管」「荷役」「包装(梱包)」「流通加工」「情報」の6つの機能があります。

各機能を通じて商品の在庫量や品質を適切に保ちながら、顧客へスムーズに商品を届けることが目的です。

目的を達成するために、それらの工程を適切に管理することが物流管理なのです。

管理の範囲は幅広く、倉庫環境の整備や人的リソースの調整、在庫のロケーション把握等も含みます。

物流管理に関する資格

ここでは物流管理に関する資格をご紹介します。

資格名 できること 関連する管理業務
物流技術管理士 全体最適を目的とした物流業務の管理・分析、品質向上・効率化策の実践 物流品質管理、全体のマネジメント
ロジスティクス管理
(2級・3級)
ロジスティクス(原材料の仕入れから生産・販売に至るまでのフローを効果的かつ効率的に統制すること)の企画や管理など 在庫管理、コスト管理、物流品質管理
運行管理者 トラック(事業用自動車)ドライバーの健康状態や休憩、指導・監督等 輸配送管理

物流技術管理士とロジスティクス管理資格は、事業をおこなううえで必須の資格ではありません。ですが、資格を保有していることで物流やサプライチェーンマネジメントに関する専門知識と技術を備えていると客観的に判断されるため、現場では高い需要があります。

また厳密には資格ではありませんが、倉庫の適切な運営等をおこなう「倉庫管理主任者」という固有業務もあります。

倉庫業法では倉庫業者に対し、原則倉庫1つにつき1人の倉庫管理主任者を配置することを義務付けています。一定の実務経験がある者か、倉庫管理主任者講習を修了した者から選任できます。

同様に運送分野では、車両数に応じた運行管理者の設置が義務付けられています。

物流管理の工程・種類

物流の各機能において、サービス水準の安定化や効率の最大化を図るためには、正しい知識と経験に基づいた管理が必要です。

この項目では、物流における管理項目を紹介します。

物流品質管理

物流品質管理とは、提供されるサービスの質・機能を指します。

品質が高ければ必然的に顧客満足度も上がり、信頼関係構築に繋がるでしょう。

品質管理には、大きく6つの項目があります。

  1. 納期:指定日時の厳守
  2. 製品品質:製品の外観・性能・鮮度を良好な状態に保つ
  3. 正確性:指示どおりの出荷・配送
  4. 事故防止:安全管理の徹底
  5. 印象:ドライバーやオペレーターの適切な対応
  6. その他の品質:窓口対応、レスポンスの早さ、完了報告等

各項目について、ミスやクレームの発生割合の上限値を設けて基準値とし、それ以下に抑える管理が必要です。

ミスやクレームは未然に防ぐことが理想ですが、人が関わる以上、ゼロにすることは難しいでしょう。

トラブルが起きてしまった場合は、速やかな原因究明と、再発防止策の検討・実施、取引先やユーザー等への対応も必要となります。

在庫管理

在庫管理とは、自社で保有する商品や部品・資材などの数量や品質を正確に把握し、適切に保つことです。

在庫を抱えすぎるとスペースなどの保管コストが増大する一方で、少なすぎるとスムーズな商品供給ができなくなります。

そのため、売上実績や売上目標、季節性の需要閑などさまざまな要素から必要在庫を設定し、供給体制をつくる必要があります。

また、在庫は企業の資産です。定期的な棚卸をおこない、システム上の在庫数量と実在庫が合っているか確認することも重要です。

不適切な在庫管理は企業資産の減少や顧客のクレームに直結します。利益率やサービスの品質を左右する重要な要素といえます。

コスト管理

物流コストは大きく以下の4つに分類されます。

費用項目 概要
輸送費 商品や部品等を輸送・配送するための費用
保管費 倉庫の賃借料や維持費
荷役費 荷物の積み下ろしや出荷に関わる費用
管理費 システム利用料金や管理者経費等

商品の発送については配送業者へ委託する場合が多いため、輸送費は比較的可視化がしやすい傾向にあります。

一方で、保管費・荷役費・管理費は見えにくいコストです。

特に倉庫を自社で運用している場合は、それぞれの項目にどの程度の物的・人的資源を投入しているかを把握し、適正かを判断する必要があります。

画像リンクの例 画像リンク

代表的な物流管理システム

ここでは、代表的な物流管理システムを2つ紹介します。

どちらも日常業務をサポートするのみでなく、前項目で挙げた各種管理をおこなううえでも大きな助けとなるシステムです。

また、カスタマイズをすれば基幹システムと連携できる点も強みです。

WMS(倉庫管理システム)

WMSとはWarehouse Manegement Systemの略で、物流センターの作業を管理・サポートするためのシステム(ソフトウェア)です。

物流センターでは製品の入荷・検品、在庫管理、ピッキング、梱包、納品書・伝票の作成などさまざまな作業が発生します。

WMSを導入することで在庫登録やロケーション管理、出荷オーダーの管理、各種帳票・ラベルの印刷、進捗管理を一元化しておこなえるため、作業効率が各段に向上します。

また、誤出荷の検出や手入力作業の省略も可能となるため、ヒューマンエラーの削減にも貢献します。

WMSには大きくクラウド型・オンプレミス型・パッケージ型の3種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

また、物流業務を委託していれば3PL業者のWMSを使う選択肢もあります。

カスタマイズの柔軟性や許容できる導入・ランニングコスト、必要とされるセキュリティレベル等を踏まえて選ぶのがよいでしょう。

TMS(輸送管理システム)

TMSはTransport Management Systemの略で、製品出荷後から配送先着荷までの輸配送管理に特化したシステムです。

TMSを利用することで、適切な配車管理や配送ルートの最適化などの配送計画と、リアルタイムでの貨物の追跡といった運行管理が可能になります。

WMSと連携させることで、効率的な出荷順の決定・短時間での配車といった相乗効果も期待できます。

物流管理の事例

「物流を制する者は市場を制す」という言葉もあるように、大手企業では物流を経営戦略の重要な要素として捉え、さまざまな工夫をしています。

ここではEC事業において有名な2社の事例を取り上げてご紹介します。

ZARA~インディテックス社の物流管理~

世界的なファストファッションの大手「ZARA」を展開するインディテックス社では、物流を経営戦略実現のための重要な手段と位置付けています。

入れ替わりが激しいファストファッションにおいて、服の鮮度(=流行)を落とさないスピードと適切な在庫調整を実現させるための施策をしています。

販売対象別の物流センター

インディテックス社では従来、物流機能はすべてスペインに集約されていて、そこから世界各国の店舗向けに商品を輸送する仕組みを取っています。店頭に並べる商品は本社ではなく各店舗が決めるというフローを徹底しているからこそ、商品は製造国から一度スペインに集約されたのち、店舗からの発注を受けて出荷する仕組みとしているのです。

とはいえ、これは消費者ではなく店舗とのやり取りであるため、オペレーションとしてはBtoBになります。EC事業はBtoCのオペレーションが必要で、異なる物流機能が必要になります。

そこでインディテックス社はZARAのEC事業向け物流戦略として、世界各国にローカルな、BtoCの物流センターを設置しています。

効率性を高めるために、販売対象で物流センターを分けているのです。

RFIDタグの導入

RFIDタグ(Radio Frequency Identification・電波を用い非接触で複数のタグを読み込み可能なシステム)を導入しました。

導入により物流センターからの出荷が自動化され、数量・モデル・サイズ・カラー等の出荷ミスを防げるようになりました。

店舗・オンラインの一元的な在庫管理

店舗販売とネットショップの在庫の一元管理を実現しています。これにより例えば店舗に在庫がない場合などにおいて、ユーザーは店舗内にある端末からオンラインショップの注文をおこなうことが可能となっています。

参考:店舗のデバイスからオンラインショッピング|ZARA Japan

Amazon.com~アマゾンジャパンの物流管理~

オンラインショッピングの最大手であるAmazonは、顧客最優先の物流管理を導入しています。

効率性を重視し、倉庫作業を高度に自動化していることは広く知られていますが、物流センターの設置にも工夫があります。

保管用倉庫(FC・フルフィルメントセンター)

豊富な在庫・需要予測・ロボット化を柱に、製品保管をおこなう倉庫(以下、FC)です。

注文を受けたら迅速に対応できるよう、需要予測を立て在庫管理し、製品の棚入れ・棚出しはロボットがサポートすることで効率化を図っています。

ここから出荷される製品は、配送パートナー企業に引き渡されるものと、仕分け用拠点に送られるものに分けられます。

仕分け用拠点(DC・ディストリビューションセンター)

仕分け用拠点(以下、DC)は委託先へのスムーズな引き渡し・効率的な配送を目的とした拠点です。

DCでは、FCから出荷された梱包済みの製品を受け取り、配送ルートごとに製品を仕分けして配送業者へ引き渡します。

配送業者は個人事業主や地場企業など、大小さまざまな委託先から構成されており、ラストワンマイルを担っています。

保管と仕分け拠点を分けることで効率的な管理・配送を実現している事例です。

画像リンクの例 画像リンク

物流管理をするうえで大切なポイント

この項目では、物流管理をするうえで押さえておきたいポイントを、2つのキーワードをもとに解説します。

KPI

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字で、日本語では「重要業績評価指標」といいます。

物流管理においては、コスト・生産性・品質といった項目を測るための定量的なデータを指す言葉です。

物流現場においては、業務プロセスの妥当性を判断するのは難しいのが実情です。

なぜなら、管理者がすべての現場の実態を把握することは非現実的といえるからです。

そこで、プロセスを数値化するKPIが重要な役割を果たします。

KPIを用いることで、3つのメリットが期待できます。

  1. 問題の可視化:プロセスを定量的に表すことで、効率性を可視化できる
  2. コミュニケーションの活性化:違う立場や違う拠点での担当者においても、客観的な数字を用いることで認識を整合させ、効率化・合理化への共通目標ができる
  3. 合理的で公平な評価:外注であれば物流事業者、自社運用であれば企業内の人事評価において公平な評価が可能になる

KPIは経営効率化を図るうえで欠かせない要素といえます。

参考:物流事業者におけるKPI導入の手引き(案)|国土交通省

サプライチェーンマネジメント(SCM)

サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)とは、原材料や製造業者などの供給業者から最終消費者までの一連の流れを見直し、全体の最適化・効率化を図る経営管理手法です。

SCMを実施する際は、販売店や営業担当者からの情報を基に需要予測を立て、予測された数字を踏まえて調達・生産・在庫・出荷・販売計画を立案・実行します。

実際に計画を実行した後、在庫の過不足はなかったか、計画通りの売上に達したか、プロセス中にトラブルは無かったか等のモニタリングをおこない、評価します。

PDCAサイクルを回し精度を上げることで、各工程でのリードタイムの縮小、在庫圧縮によるコストダウンが可能です。

メリットが大きい一方で、ステークホルダー全体で取り組む必要があるため、実施には大規模な投資が必要となります。

物流管理の効率化はアウトソーシングがおすすめ◎

物流には輸送・配送、保管、荷役、包装(梱包)、流通加工、情報の6つの機能があります。

物流品質維持のためには日々細やかに情報を把握し、在庫やコスト、製品品質やクレームの分析をおこなう必要があります。

多くの情報を横断的に分析するためには、システムや専門的な人材が必要不可欠です。

とはいえ、自社でシステムを構築し、物流管理に詳しい人材を登用し体制を整備するのは膨大なコストと労力がかかるでしょう。

そのため、物流管理に関する取り組みはプロのサポートを受けることをおすすめします。

「ECのミカタ」を利用すれば、最短1営業日で自社の希望に合った物流のプロとマッチングできます。何から相談すればよいか分からない方でもご安心ください。これまで40,000件以上のEC運営に関する相談に応えてきたコンシェルジュが、現状の課題やご希望をヒアリングし、最適な企業を複数社紹介します。

また、相談からマッチング、企業との商談までいっさい」費用がかからず完全無料で利用できます。

EC物流に関するお悩みは、ぜひECのミカタで解決してくださいね。

貴社に最適な物流会社の無料ご紹介はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ マーケティング部

ECのミカタマーケティング部です。
日々、EC事業者様に役立つノウハウやサービスを模索
しております。こんな、いいサービスがあるよ!などの情報がありましたら
ぜひ、ご連絡下さい!

ECのミカタ マーケティング部 の執筆記事